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したたるしずくを浴びて

今年もこの季節がやってきました。

そう、3年生にリコーダーの斡旋をする季節が。
それは支援学級のお子さんでも例外ではありません。
発達段階によってはおうちの方と相談して、「買わない」という結論に至ることもありますが、わたしの経験ではほとんどの3年生が、もう間もなく未知の楽器との遭遇を果たすことになります。

リコーダーとの邂逅を果たしたこどもたちに初めてのリコーダー指導をしていると、下部の穴から謎の液体がしたたっているのを頻繁に目撃します。
通常学級ではどうなのか分かりませんが、支援学級ではもう年中行事のようになりつつあります。
最初は頑張りすぎたことによって、内部の飽和水蒸気量のキャパを超えて結露したものがしたたっているのかな、と思っていました。
が、こどもによってはその液体はいついかなる時もまったく出てきませんし、わたしがお手本で演奏していてもそのようにはなりません。
特定の子だけが、リコーダーの学習の度にそうなる。
息を吹き込む過程で、おそらく唾液がリコーダーに吸い込まれていっているのだ、という結論に達しました。

さて、そんなリコーダー初心者のこどもたちも、3学期ともなるとかなり熟練してきて、教科書に載っている曲なら吹けるようになってきます。
3学期には多くの学校で6年生を送る会や、それに準じた行事が組まれます。
3年生はリコーダーで演奏を披露するというのがオーソドックスな発表。
練習にも熱が入ります。

楽譜を自分で目で追うのが難しい子には、つきっきりで楽譜を指差しします。

ぽたっ……

ラの音を指さすわたしの手の甲に、リコーダーからしたたるしずくが落ちてきました。

という話を通常学級担任の同僚にすると、高確率で「えっ……」「ヒエェ」とひかれます。
ひかれない時は、「いやー、大変だね」と同情されます。
ひかれもせず、同情もされないときは、「そんな大変なお仕事をされてるんですね。尊敬します」と謎の賞賛を浴びせられます。

ち! が! う!!

そんな反応されたいんじゃないのよ。
もっと、日常の面白エピソードとして楽しんでもらいたいのよ、わたしとしては。

特性のある子たちの担任だから、と思われているのかな、何だか「笑ってはいけない」みたいな思い込みがある方が多いような気がしています。
いらんのよ、その思い込み。
わたしもあなたと同じ、教員免許をもった教員ぞ?
別に、笑ったからといってケツバットの刑に処したりしないけど。
特別に高尚な仕事をしているわけではないのです。
もっと、フラットに、同じ目線で、仕事やこどもたちのことを話したいなぁ、と思っているだけなのです。

なんてことを、土曜の夜に書いてしまうわたし。
意外とまじめ人間なんだな、という新たな気づきを得ました。
いや……違う。
この仕事が、たぶん、すごく好き。


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