マエディベアが教えてくれたこと
まいど✋
tica ishibashiです。
一撃で仕留める系のエッジ効いたファッションイラストを描いたり、広告衣装作ったり、アパレル企画やディレクションしたり、大学や専門でイラストやアパレルブランディングを教えたり、ファッションを軸に事業展開しているクリエイターです。
最近はまとめてファッションクリエイターと名乗っています。(今ダサいと思った人、安心して。来年流行るから。知らんけど)
さて、noteは読み専でしたが、記録の為に初めて書いてみます。
大して文章力も無いので、話し言葉で綴っていきますがどうぞお付き合いください。
さてさて、今日書いておきたい話は
マエディベアの制作についてです。
マエディベアってのはアートディレクター/デザイナーの前田高志さんの発想で生まれた子熊のキャラクター。
前田さんは元任天堂のデザイナーで現在は独立されて株式会社NASUの代表取締役、オンラインサロン「前田デザイン室」の室長をされています。
制作のきっかけってなんやったかなーと思い出してみたら、前田さんと出会った頃に私が遊びで描いた似顔絵を、TwitterにUPされていたことが始まりでした。
いやー、私描くのうまいわ。 え?
出会った頃はスリムでシュッとされていた前田さん。
今はもう少しコロンとされていて、愛らしいシルエットになっています🧸
このTweetのリプでマエディベアが出てきたのよね。
「カキ鐵おごります」で気持ちに火が付いた私wwwww
牡蠣だぜ。そりゃ揺れる。(私は牡蠣が大好物。前世はきっとラッコです。)
ぬいぐるみ制作の経験はなかったけど、広告衣装で着ぐるみみたいなヘッドバーツは作ったことはあって。
この案件は素材調達からパターン制作・パーツ造形・裁断&縫製まで仕上げたので、ぬいぐるみもまぁ作れるだろうと。
軽いノリで前田さんにDMを送り、正式にお仕事としてご依頼いただいたので、年始にNASU事務所で打ち合わせしてきました。
前田さんのイメージは明確で、マエディベアのストーリーはもうすでにあって。どんなクマなのか、どんな想いがあってどんな夢を持っているのか…どんどんワードが出てきて、ああもうこれは良いものができるぞと確信。
3月に前田さんが初著書を出版されるという事もあり、発売日には間に合わせよう、となりました。
その後、打合せのイメージからマエディベアのデザイン画を作成。
ここからは制作について書いていこうと思うんだけど、
私はファッションに特化したクリエイターだけど、ぬいぐるみ作家でもないし、人形の仕事が欲しいわけでもないんだよね。
「え?なんでぬいぐるみ作ってるの?」とか「絵の仕事をすれば良いのに」と思う人もいるかもしれない。
でも
次に繋がる実績を作るだけが全てじゃない。
何かワクワクする面白いこと、一見無駄と思えるアソビが、自分のクリエイティブを更に磨いてくれる。
前田さんの仕事ぶりが正にそうだし、一緒にお仕事したいなと思っていたから、この依頼は必ず遂行したかった。
直感で思ったんだ。
この仕事は絶対に楽しくなるぞ、と。
そうこうしてたらあっという間に日は過ぎ、やっベーーマエディベア作るぞーーーーと奮起して、まずは模型を作って形状を模索。
どう作っていけば上手くいくかは自然と想い描けていて、頭の中ではもう完成してたからあとは手を動かすのみ。デザイン画を見ながらペタペタと立体を作っていきます。
大体の形状が定ったら、ラインを引いてドレーピング(立体裁断)用のボディに。
ドレーピングしながらいよいよ型紙、パターンを作っていきます。
服の作り方の知識を駆使しまくり。(てかそれしか知らん)
パタンナーの皆さん…この画像を見て、生地がたぶれてる!そこは切り替えてダーツ取るでしょ!とか突っ込みたくなっているかと思います。重々承知しております…服飾学生時代のパターンの成績は中の下だったんです…何卒ご理解ください…。まぁ生地もストレッチボアだし、合わないところはいせ込んだりして、カバーできるはず!中身もわたを詰めるから多少大丈夫なはずだ!!(ポジティブ)
パープルとイエローのボア生地も到着して、さ〜早くパターン(型紙)仕上げるぞーとしたところで前田さんからカラー変更の依頼が!
数日前に決定した「勝てるデザイン」の表紙カラー!そりゃそうだ!
しばきません(笑) お任せあれですよーー\(^o^)/
てことでハヤブサの如くmacをタイピングし、カラー提案書を作成。
もう3月に入り「勝てるデザイン」本のプロモーションは既に始まっていて、前田さんも超多忙。オンラインで打ち合わせする時間も勿体無いはず。イメージ違いや意思疎通の無駄を省くためにも、ここはきっちりと資料を作りました。ボア生地の色見本の中から表紙カラーに出来るだけ近いカラーリングになるように再考して、シュミレーションと一番ベストなカラーに導いたロジックもきっちり入れて提案。
前田さんにも即OKをいただけて、マッハで材料手配。
この時、マエディベアの髪色をゴールドからネイビーにする要望があり、以前のヘッドパーツ制作で余っていたネイビーのファーがまだ手元にあったら「大丈夫ですよ!」と即答したんだけど、、、それが毛足の揃ったファーで髪の毛として使うには形が合わず、急いで資材屋さんに問い合わせ。
幸運にもボンボン用のダークネイビーのフォックスファーが1つだけあり、調達することができました。特別な資材は巡り合わせだから、こういうところも前田さんの持っている「勝てる力」だな〜と感じたり。
カラーも決まり、材料も揃ったところで、型紙の作成。
ドレーピングからパターンを興します。縫代は裁断の時に目分量でいけるやろと思って引いてなかったんだけど、これがあとで痛い目に合うんだなぁ・・・
あとはもうチョキチョキぬいぬいチクチクするのみ。
↑痛い目あって縫代引き直してる図。
初めて作る、ぬいぐるみ・・・・
小さいパーツの縫製を舐めてました。
いやぁ、鬼むずでした。作り直すこと3回。
左右対象になるように形を作り、縫う。これが本当に難しい。
元々縫製は苦手で、広告衣装やユニフォーム制作なんかは縫製工場さんや外部パートナーに頼んでいますが、今回自分で縫ってみてまた痛感・・・・
カーブの難しさったら!縫い縮みや縫い伸ばしにならないよう力加減を工夫し、ひと目ひと目に細心の注意を払い、、、んああああああ!!!!!
縫製ってのは本当に技術が必要な仕事だなと、指にシルクピンを刺してしまったりして文字通り痛感。
服とかさ、あんな安く売っちゃダメよ。縫製ってホント大変なんだから!工賃ももっと高くすべきだ!!縫製士さんに相応の報酬を!!!小中学校の家庭科で雑巾縫わずにシャツを作らせたらいいんだよ!一枚作るのにどれだけ高度な技術が必要かわかるはずだ!!感謝して服を着るようになるはずだーーーーーー!!!!!!(note内ひとりデモ)
特に今回は小さなパーツだったので余計に大変でした。
全世界のぬいぐるみ縫製士さんを尊敬します。
売り場で小さなぬいぐるみ見つけたら拝みます。ご苦労様です、、と。
そんなこんなで難産だったマエディベア。
「勝てるデザイン」の発売日までもう時間がなく、ミスやハプニングは許されない。
ただ失敗を重ねた分、手も慣れてきて、ちゃんと形になっていきます。
これがこうなって
こう!!!!!!!
はい、私、天才!!!!
あんな縫製苦手なのに・・・すごいわ私・・・・本当に天才かもしれない、、てか天才、、、(自己暗示で自発的にドーパミンを出しています)
瞳と鼻のパーツもオリジナルで作りました。
粘土で形成して、ネイル用のジェルを塗布してUVランプで固めています。
目はツヤツヤのクリアジェル、鼻はしっとりマットジェルでコーティング。
この質感の違いはこだわりました。クリアのジェルネイルは光源が反射すると本当にキラキラつやつやするから、きっと潤んだ瞳になるだろうと。
あとは手縫いでキュッキュッと口元のふくらみや口の中の形状を作っていき、髪のファーと目鼻を縫い付けて、眉を書いたら・・・
お待たせしました。
国宝級の顔面が爆誕ですよ。
ふわぁあああああああああああああ!!!!!
キャ、キャ、きゃわああああああああああああ
やばい・・・私はすごいものを作ってしまったかもしれない・・・
か、か、か、可愛すぎる・・・・
興奮を抑えつつ、慎重に体と頭を縫い付けて、、、、
生まれたままの姿のマエディベアが完成。
初めまして、マエディベア。
君を待ってたよ。
マエディベアには、可愛いちんこが付いています。
これにはストーリーがあるので、今後物語が生まれていくはず。
パンツを履いて、お着替えをして、、、
前田高志氏著書「勝てるデザイン」マスコットキャラクター
マエディベアが完成しました!!!!
かわいい!かわいいよおおおおおお!!!
前田さんは翌日から東京に行かれるので、早く渡したい!!!!
この子は勝てるデザインのマスコットキャラクターなんだから、本の発売日には前田さんの横にいないと!!!
Uber並にチャリを走らせ、夜の大阪市内を駆け上がり、NASUへ直行。
そして、ご対面。
無事、書籍発売前に前田さんへ届けることができました。
かわいい!!クオリティめちゃ高い!!と、とてもとても喜んでもらえて、私も嬉しくて。
喉の奥がじんわりと熱くなって、感動のある仕事ができたなと達成感を味わいながら帰路につきました。
この感覚は、私が描くイラストで感動してもらえたり、ときめいてもらったりした時の達成感と同じ。
冒頭でも書いた通り、私はファッションクリエイターで、ファッションイラストや衣服デザインがメインの仕事です。
ぬいぐるみ制作は本業ではないし、これからやりたい仕事でもない。(いやわからんけど、多分ない。)
フリーランスは実績が大切で、次に繋がる仕事をしていくのがもちろんなんだけど、でもそれだけが全てじゃなくて。
あの時、前田さんからの依頼を「ぬいぐるみは専門外なので難しいです」と断っていたら、この達成感も、感動も、無かったもの。
褒めていただいたディテールの発想もクオリティも、培った経験が全て生きている。縫製にしても、この縫代は片倒しが良いなとか、割った方が収まりが綺麗だな、とか。学生時代や新人の頃に先生・先輩方に教えてもらいながら、がむしゃらに勉強して知識を吸収していたからこそ、今それが体感で出来る。
一見繋がらないように見えても、針仕事を通して今までのものづくりの経験が生かされて、こうして形となって、ちゃんと感動を呼ぶ仕事になった。感動があれば必ず何かに繋がっていく。
そうか、そうだ。
全て同じだ。
人の心をずきゅんとさせるのが私のやりたい仕事なんだ。
無駄なことなんて一切ない。
全て「今まで」と「これから」に繋がっている。
マエディベアがそれを教えてくれました。
ありがとね、マエディベア!
前田さんに可愛がってもらうんだよ^^
おわり。
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