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君が恋をしたなら vol.4「帰る?」
ユキトからのメールは、普段はなんともなく静かなものだが、土曜日となると人が変わったかのように急かすメールになる。
毎週末、ユキトの地元まで行くのが当然になる。
ふ『ユキトさぁ、たまにはこっちに出てこいって言ったがよくない?』
私『あー、確かに。遊ぶ場所ならこっちのほうが多いしね…。』
でも、私はそれができかねていた。
一度こっちにおいでよとメールしたらシカトされたことがあるからだ。
私『でも、ユキト地元ラブな人だから、こないんじゃないかなあ…。』
そういうのが精一杯だった。
毎週末通い妻になっている私。それにプラスふみ、というのが定番化してきた。
ふみにも悪いなあと感じるようになってきた。
ふみもそろそろ彼氏が欲しいって言ってたしな…。
そんなこんなで、今日もユキトのところへ向かう私たち。
毎度のこと、カラオケyou。
どんだけカラオケが好きやねんって感じ。確かに好きだけどさ…。
そして今日もカラオケは大盛り上がり!
今日はマルオは車で来ていた。
せっかくならドライブでもしようと、マルオの車に乗り込もうとしたら、腕を引っ張られた。
『俺らはこっちね』
と私の車へ。
かくしてドライブは始まった。
ユキトの運転で、どんどん山の中へ入っていく。
私『ちょ、どこ行くん?』
ユ『大丈夫大丈夫!』
後ろをマルオの車がついてくる。
ふと、見晴らしのいい場所へ出た。
そこで車を止めた。他にも数台車がいるようだ。
マルオたちは私たちの後ろに車を止めた。
そこからは、遊園地の観覧車が見えた。
私『きれーい!』
ユ『だろ?』
自慢気な顔をしてユキトが言う。
ユ『俺、ムード重視派だからな』
私『よくこんなところ知ってるね!』
ユ『まあ、前の彼女と…。ってそんな話はどうでもいいの!』
ユキトの手が頬に触れる。
そのまま優しく唇を重ねてきた。
キスし終わってからのユキトはノリノリで喋り続ける。
軽くジャンプしたりしておどけてみせてくれる。
内容はたいしたことではなかったけど、私にはそれが嬉しかった。
ユ『ちょっと移動な』
と言ってユキトはハンドルを握った。もう少し小高いところで停車する。
後ろをマルオたちがついてきていた。
ユ『はぁー、もうー。もっと気をきかせろっての。』
私『どうしたの?』
ユ『狼さんがね…パクッとお前を食べちゃう予定だったの!』
その言葉に警戒する私。
私『パクッとって…。』
ユ『冗談だよ、冗談』
そう言っておどけてみせたけど、目は笑っていなかった。
ドライブも堪能したし、帰ることに。
またしてもユキトが
ユ『帰るの?俺帰っちゃうよ?』
と始めた。
私『じゃあ、帰らないでって言ったら一緒にいてくれるの?』
ユ『なんだ、お前帰って欲しくないの?』
しょうがないなぁ、と車を降りてくるユキト。
なんだ、こいつ、自分が帰りたくないだけじゃん、という気持ちをよそに、ユキトに話かける。
私『だけど、もう、帰らないと』
途端にユキトの態度が悪くなる。
なんてわがままなんだ…!きゅん…。
変なところにきゅんとなる私。
結局この日はこれでお別れした。
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