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何をしたらいいか分からない」から、共に切り拓き最後まで走り切る【支援事業者インタビュー#3 みらいスタジオ】

TIB STUDIO事務局がお届けする支援事業者インタビューシリーズの第三弾。TIB STUDIOに参画する16社のスタートアップスタジオ事業者を紹介します。各社が持つ独自の強みを紐解きつつ、メンターの方の考え方やバックグランドについてもお伺いしていきます!
第三弾は、株式会社みらいスタジオの代表取締役 兼城 駿一郎さんにお話を伺いました!

兼城 駿一郎 氏
沖縄工業高等専門学校専攻科卒。学生起業を経てリクルートホールディングスに入社。 その後スタートアップを6社創業し、資金調達やM&AによるExitを達成。その経験やネットワークを活かし2022年に株式会社みらいスタジオを設立。一般社団法人沖縄スタートアップ支援協会代表理事・一般社団法人スタートアップスタジオ協会理事・一般財団法人高専人会理事を兼務。

ー最初に、兼城さんについて教えてください!

兼城:私は沖縄で生まれ育ち、高等専門学校(以下、高専)を卒業する22歳まで過ごしました。

そもそも高専に入学したのは、自分でIT企業を作りたいと思っていたからだったんです。「社長」という仕事を初めて知った小学生の当時、ITバブルでライブドアや楽天といったIT企業がテレビで取り上げられ「野球の球団を買うぞ!」という話をしているような頃でした。それを見て、「社長になるならIT企業がいいらしい」、と思ったんです。ちょうどその頃沖縄に高専ができ、プログラミングを学べると聞いたので、ここしかないと飛び込みました。

高専には計7年間通いました。プログラミングの大会やビジコンに出たりして、技術とビジネスの両面から学びました。そして県の民間企業のプログラムでシリコンバレーに派遣させてもらい、起業の本場を見た後、在学中の20歳で学生起業をしたんです。

でも、なかなか儲けることができなくて。月に10万円ほどの広告収入では、やりたい規模のビジネスはできないと悩みました。そこで、組織を大きくする方法とビジネスを学ぶために一旦就職することを決め、「もう一度起業するために3年学ばせてください」と伝えたうえでリクルートに就職し、東京へ出てきたのです。

リクルートでは新規事業の立ち上げやスタートアップの買収を担当。2年目には在籍しながらSaaSのスタートアップを立ち上げ、3年が過ぎた頃にはお客様ができて出資を受けることも決まりました。そしてリクルートを退職し、立ち上げたスタートアップを、外部資金を調達したり展示会やピッチに出たりしながら、共同創業者と合わせて3名で伸ばしていきました。

徐々にバリュエーションも上がってきていたその頃、家族が病気になってしまい、家庭にコミットせざるを得ない状況になったんです。様々な葛藤がありましたが、最終的には役員を退任することとなったのが、私のキャリアの前半戦でした。

ーそこからどのような経緯で株式会社みらいスタジオ(以下、みらいスタジオ)を設立したのでしょうか?

兼城:退任してからは、それまでのご縁で仕事の依頼をいただいたり、フリーランスエンジニアとしてITコンサルの仕事をしたりしていました。

また、リクルートの頃からボランティアで全国の高専生のキャリア支援をしていたのですが、それを組織化する必要が出てきたために、共同創業者として株式会社高専キャリア研究所(以下、高専キャリア)にジョインすることとなったんです。そして、事業として全国の高専生やそのOB・OGのキャリア支援を始めました。

始めてから5年ほど経った頃、就活や進学以外に、起業したいという相談も来るようになってきて。そこで、「高専生に出資したい」という同じ思いを持っていた東工大連携のVCである株式会社みらい創造機構(以下、みらい創造機構)に2019年に高専キャリアを売却することにしました。

みらい創造機構と統合したことで、よりスタートアップの事業開発やプロダクト開発支援に踏み込んでいけるようになりました。そのうえで、さらにうまく事業開発・プロダクト開発支援と高専生への出資をうまく融合できるのではないかと考えていたタイミングで「スタートアップスタジオ」というモデルに出会ったのです。

これなら、高専生のエンジニアコミュニティを競争優位にしながら、スタートアップ創出に正面から向き合っていける。その思いから、みらい創造機構からカーブアウトを行う形で株式会社みらいスタジオ(以下、みらいスタジオ)を立ち上げました。

みらいスタジオは現在、スタートアップスタジオモデルでの起業家支援とプロダクト開発支援事業をしながら、起業したい高専生を含め、就活・進学したい高専生のキャリア支援をしています。

ー全国規模のエンジニアコミュニティを持っていることが、みらいスタジオの強みにもなっているのですね。その他、みらいスタジオにはどんな強みがありますか。

兼城:私たちのSlackのオンラインコミュニティには、全国から1,400人以上のメンバーが集まっており、ソフトウェアだけでなくハードのエンジニアも含めて高い技術力を持っている人材が揃っています。さらに、エンジニアだけでなく起業家や研究者も多く在籍しています。

その中から、チームとして伴走するメンバーを探すためでも、今後コアメンバーとして一緒に働くメンバーを採用するためでも、どちらでも活用いただけるコミュニティであることが私たちの強みです。

また、私たちが培ってきたネットワークも強みの一つです。これまで、一般社団法人沖縄スタートアップ支援協会で全国のスタートアップや投資家を呼び込む取り組みや、沖縄にVCを誘致する事業を続けてきており、また沖縄で今後始まる認定VC制度の事務局も担っているので、エンジェル投資家やVCとの強固なネットワークを持っています。

ーみらいスタジオと相性がいい起業家はどんな人でしょうか?

兼城:一番相性が良いのは、組織も立ち上がっていないような状態の起業家ですね。「企画をどう技術に落とし込んだら良いか分からない」「どのようにプロダクトを開発するかわからない」「どのくらい投資をするのが適正かわからない」など、まだ何も形になっていないような状態から伴走するのが私たちのスタイルなんです。

「何からしたらいいかわかりません」くらいのレベルでご相談いただいても、柔軟に寄り添い、まだ緩いアイディアを一緒に考えたり、費用対効果を考えながら資金調達方法を決めたり、一緒にエンジェル投資家をまわったり。アイデア段階から、資金面も含めた事業戦略におけるプロダクト開発まで伴走します。

ー「何からしたらいいかわからない」から伴走いただけるのは大変心強いですね。また、兼城さん自身も今まで6社のスタートアップ立ち上げの経験がありますが、どんな支援の特徴がありますか?

兼城:実体験をもとにリアルなお話ができることですね。

実は私が携わってきたのは、ITや高専生のキャリア支援だけではなくて。これまでに会社を6つ、社団法人と財団法人が4つ、合わせて10社立ち上げた経験があるんです。

学生起業でスマホアプリ、リクルート時代にはSaaS、その後は高専キャリアとみらいスタジオ。それ以外に、銀座でアートの会社もやっていまして。77歳のおじいちゃんのアーティストとタッグを組み、作ったアクセサリーを百貨店で販売するリアルのスモールビジネスもしています。

また、そうした経験の中で成功や失敗が偏っているわけでもありません。MAでの売却・買収のどちらも経験がありますし、社長を辞めた経験もあれば、前の社長が辞めて自分が社長になった経験もあります。そして、ビジネスオーナーとして伸ばしている会社もあれば、エクイティで伸ばしている会社もあります。また、自分で立ち上げたスタートアップがまさに伸びている中で抜けるという、歯がゆい経験もあります。

綺麗なキャリアで成功してきているだけではなく、歯がゆい思いをしたり失敗したりした経験がある私にこそできることがあると感じています。実際にスタートアップの方からも、「実はステークホルダーに相談しづらいメンタルの悩みがあって」「途中で辞めたいけどどうしたらいいかわからない」という相談をいただくことも少なくありません。

ーTIB STUDIOを通じて、「こんな方とお会いしたい」という思いをお聞かせください。

兼城:私たちはビジネス、開発、資金調達の全部をご支援できますし、採用のお手伝いもできます。起業したいと思いながらも、どう一歩踏み出したらいいかがわからずメンターを求めている方や、壁打ちしながら一緒にやっていける人を探している方など、起業家の卵のような方は、年齢・性別・属性問わずご相談いただきたいです。

「まだサラリーマンとして働いているのですが良いですか」という話もよくいただくのですが、そこも含めオールOKです。私自身もサラリーマンをしながら会社を立ち上げた経験があるので、本業をしながらどうやって最初のビジネスを立ち上げていくべきなのか、どのタイミングでフルコミットに変えるべきなのか、といったことも含めてご相談に乗ることができます。

ー年齢や現在の職業、事業領域なども問わず本当にオールOKなんですね!

兼城:そうですね。「高専生の起業支援してるんですよね」ってよく言われるんですよ。それもそうなんですが、「高専生と一緒に起業家の支援をしている」という側面が強いんです。ですから、「エンジニアじゃないです」「高専関係ないです」という方もぜひご相談いただけたら嬉しいですね。そしてスタートアップスタジオというモデルを知り、リスクを抑えつつ楽しみながら起業に挑戦してほしいと思います。



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🚀 TIB STUDIOとは

TIB “STUDIO”とは、スタートアップ支援事業者の支援を受けながら
資金調達に向けて事業検証に取り組む「起業支援プログラム」です。
審査の段階から事業領域や希望に合わせて最適なスタートアップ支援者をマッチングし、事業フェーズに合わせた支援を行います。
▶︎TIB STUDIOについて:https://tib.metro.tokyo.lg.jp/studio/

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