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はさみ

ずっと泣いていたら
とても疲れて
座った場所から
動けなくなってしまった
       
世の中には
どんなにがんばっても
どうしようもないことが
あるのだと
知ったあの日

ただ泣き続けた
大きな重い石が
体に取りついたかのように
ぺしゃんこに潰されて

朝になって昼になって暗くなっても
ただそのまま

ときどき泣き止めば
涙は枯れない
どんなに泣いても

体の半分を
なくしてしまったかのように

泣く

そしてわたしは

はさみを取り出して何度も切ってみる
何もかも切ってみる

呪いの言葉を嗚咽と共に吐き出しながら

何もかも粉々にしながら



初出 現代詩フォーラム 20040413

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