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アナログ備忘録。のようなもの 3

前回ペン先について書きました。
今は情報も画材の種類も昔より増えていて、記憶の中の知識だけでは全然追いつきませんね。
種類に関しては自分が今まで知らなかっただけなのかもしれません。
自分の記憶の掘り起こし作業や情報の確認をしていると、ついつい調べものに夢中になります。
「こんなのもあったのかー」から「知らない画材使ってみたい」「使うとしたらコレかな・・」と脱線してハマります。

今回はインク類やベタ(黒く塗る部分)について書きます。


・インク

漫画を描くためのインクです。
カラー原稿や2色原稿など特殊な印刷の場合以外は基本的に黒色で原稿を描きます。

墨汁、製図用インクなど色々あります。今はマンガ用インク、というものも出ていますね。
NICKER(ニッカー)、呉竹、開明、アイシー、パイロット、アートカラー、多数のブランドがあります。
漫画専用インクの種類も豊富で、乾くと耐水性、黒が濃い、伸びが良いなど品質も良いのが多いです。

いま、学校の授業で固形の墨とか使うのかな‥


墨汁は重ね塗りすると光沢が出て綺麗なのですが、渇きの速さや耐水性などの使い勝手はインク系が良いです。
乾きが早いインクはペン先が痛みやすいということでもあるので、そのあたりも加味して自分の使いやすい道具を選ぶのが大事です。
自分が墨汁から製図用インクに切り替えた時には、線を少し引いた後にちょっと次の線を引く前に確認や考えたりしている間にペン先が渇いていることに驚きました。インクが一度乾いてしまうと、乾いたまま拭き取るにしろ少し濡らしてから拭き取るにしろ手間がかかりますし、傷みやすくなって(先が開きやすくなる)しまいます。
耐水性が弱くて描いた後のインクを手で擦ってしまいやすくても、やはりこのインクが良い!伸びが良くて描きやすい!色が好き!という人もいます。

自分が子供の頃は墨汁もクラスの半数持っていたかどうかだったので、せっせと習字用の墨を磨って小さい瓶に溜めて使っていました。ペン入れ前の精神統一儀式のようでしたね・・(遠い目)。時間かかったし。
墨汁と製図用青インクしかなかった住宅街の文房具屋の時代からはるかに進みました。生活環境にもよりますね。
自分の使用歴をあげると、最初は書道用の墨汁(固形墨を磨った墨液)→開明墨汁→ドローイングゾルK(製図用インク)、という順で使用しています。
好みのインクが選べて使える良い時代です。

2色原稿、そういえば今はあまり見なくなったような。
通常の原稿は印刷の関係でグレー(中間色)が使えないのですが、2色の時は赤と黒のインクで薄めたり混色の中間色が使えて、フルカラーではないけれどカラーで特別感のあるページでした。
黒と赤の墨汁から始まって、カラーインクなどで中間色の幅が広がってきたような気がします。

・ベタ

黒く塗りつぶす部分のことをベタと呼んでいます。
今は結構通じる単語のような気がするのですが、どうでしょう。
ペン用のインクがそのままベタ用の場合が多かったですが、近年は便利さでベタ用に筆ペンやマーカー、ミリペンなどを使用することが多くなりました。
インクが高めのを使っていると、それをベタに使うのはもったいないという時もありますし。

商品名はあえて書いていません


筆ペンは呉竹、ぺんてる、パイロット、マクソンなどが良く聞くブランドでしょうか。
水性の顔料インクは乾くと耐水性が出るので使いやすいと感じています。
油性は紙の裏うつりがしやすいので注意が必要です。
油性、水性のどれを使うかは描きやすさの他にホワイト(次回書く予定ですが修正や効果を入れるための白いインク)を入れる時に相性の問題もあるので合わせて選ぶのが良いと思いますが、いずれにしても顔料タイプがベタやペン入れには扱いやすいと思います。
カラーなどで混色したり、モノクロでもグレーに薄めて使いたい時などは染料タイプが溶けやすく向いているので使う場面によって使い分けが良いでしょう。

ミリペンはパイロットのドローイング、サクラクレパスのピグマ、.Tooのコピックがポピュラーです。
ミリペンは製図用サインペンなのでペン入れなど細かい作業に向いています。ちょっとした細かいベタにも使えます。ロットリングの製図ペンなどは線引きには良いですがベタにはあまり向きません。
太いマーカーでベタの広い部分を塗ってしまうという方法もありますね。
油性マーカーは裏うつりしやすいので(上質紙110~135㎏でも染みてきます!)注意が必要ですが、乾きが早くムラが少なくしっかり塗れて時短には良いです。
また、水性に比べてやや滲んだように広がる特性があるので、先端の太さより太くなることを考慮に入れて塗ることも必要です。あとシンナーみたいな臭いがして(有機溶剤の臭いなのですが)大量に吸うと体に良くないので、その際は換気に注意しましょう。

ベタを3回重ねも昔の話・・。

ベタを塗る際にはみ出さないように、あらかじめ細かい部分だけ先に塗ったりペン入れの線より太い線で枠取りをしてから塗ったりする方法もあります。
枠取りについては、面倒だったり時短で省いたり、そもそも縁まできっちり塗るのが上手で必要無かったり、と人によって様々ですが。

ベタの塗り方はぶっちゃけ印刷に黒く出てくれれば何でもありです。
原稿は描いたものが印刷に出るかどうかがポイントなので、道具は何を使っても良いのだと思います。
とは言え、塗りムラがあると印刷に出てしまう場合もあるので、自分は2、3回塗り重ねるような塗り方をします。
気にならないなら重ね塗りにこだわらなくても良いかもしれません。
生原稿が綺麗だと芸術品として自分は崇めてしまいますが、つまるところ作家本人の好みとこだわりによります。
気になってもとにかく時間が無い!という切ない場合も多々ありますので。 
墨の場合は重ねていくときれいな光沢が出ます。が、べたつきやすくなり、消しゴムなどをかけるときに引っかかりやすくなるので注意です。(逆につるつるして滑る場合もあり)
筆ペンでもベタは消しゴムが引っ掛かることがあるので、広い範囲のベタは消しゴム掛けをした後に塗るのが安全かなと。
たまに乾いていないインクを擦ってしまう可能性もありますしね。
活版印刷の時はムラの出やすい向きがあったので、重ね塗りの最後は横方向で塗る癖がついていました。

黒く印刷に出ればOKと言いながらアレコレ言うあたり、ベタにこだわっている部類なのかも、自分。
墨の色味のある光沢やインクのマットな黒色、好きなんですよ。
ネームが見やすいという理由でセリフ部分に赤マーカーを使うという方法があったのですが、印刷には大丈夫とは言え赤マーカーはあまり使いたくない派でした。
印刷技術も変化してきているので、昔ほどこだわらなくてもきれいに印刷されるようになったと感じます。ので、そこまで気にしなくて良くなってきていますけれどね。

最終的に読者が見るのは印刷物なので、消えそうに細い線と広い黒いベタ部分、両方のバランスを取って良い感じに印刷してくれる印刷技術と職人の技にいつも凄いなと感じます。
そういえば、今でも輪転機を回しての印刷という認識で良いんでしょうかね?
検索、検索・・。


・参考サイト

ぺんてる株式会社HP
https://www.pentel.co.jp/
株式会社ライオン事務器HP
https://www.lion-jimuki.co.jp/
株式会社カズキ高分子
https://kazuki-corp.co.jp/
開明株式会社
http://www.kaimei1898.com/index.php
株式会社G−Too (ジー・トゥー)
https://www.icscr.jp/
開明株式会社
http://www.kaimei1898.com/index.php
ゼブラ株式会社
https://www.zebra.co.jp/
株式会社サクラクレパス
https://www.craypas.co.jp/index.html
株式会社G−Too (ジー・トゥー)
https://www.icscr.jp/

上記サイトを資料参考にさせていただきました。
ありがとうございました。

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