パンが膨らむお話。イーストって何?
師走って11月から始まるんでした?ってほどバタバタしています。こんにちは、Threebread店主です。
今回は当店SNSでも告知した通り、イーストの話です。皆さん、イーストってなんだと思いますか?
イースト、酵母、イースト菌
この3つの違いを説明できる人って、パン屋と研究者くらいしかいないのかもしれません。
イースト(=yeast)は英語で、日本語に訳すと「酵母」です。
つまり、イースト=酵母です。
では、酵母とは何か。
酵母は総称で、端的にいうと菌類の一種です。
酵母は菌なので人間の目には見えませんが、私たちの身の回りに多く存在しています。
そして、特にパンに用いられる「イースト」と呼ばれているものは、酵母の内の、「イースト菌」のことを指しています。
やや強引な説明なのですが、とても単純にお話しするとこんな感じです。
イーストって実は菌なんですよ。私はこれを知った時、衝撃がありました。
そして、イースト菌は植物由来の菌です。人工的に培養して製品にしていますが、化学物質とか、小麦を異常に膨らませる怪しい粉ではないので不安がらないでくださいね。
よく聞く自家製酵母って?
天然酵母から始まって、最近では自家製酵母と呼び方を変えましたが、そんな酵母を使うパン屋さん、自宅ベーカーの方も増えました。
自家製酵母もイースト菌同様、パンを膨らませる種です。
自家製酵母にもちょっとだけ棲み分けがあります。
先程、酵母は沢山存在すると書きました。酵母は果実や穀物の実と皮の間にも多く存在するようです。なので、自家製酵母もこれらを使って作ります。
果物、野菜由来
レーズンやりんご、その他様々な果物や野菜で作られます。日本ではメジャー。
ルヴァン種、サワー種
小麦やライ麦粉を元に作られます。
サワー種はドイツパンに使用される、酸味を感じる酵母です。
諸外国ではこれらの方がメジャーです。
どの酵母も1から作ると、完成するまで1週間かかる代物です。気が遠くなりますよね。作られている皆さまは本当にすごい。
それぞれの違い
パンにすると、イースト菌、自家製酵母はそれぞれ特徴が出ます。
イースト菌は比較的あっさりした食感に。よく膨らむので、小麦の香りを感じやすいです。
自家製酵母は、旨味が強く、またパンの中身(クラム)もしっとりと瑞々しくなります。
果物や野菜由来のものは、元にした果物などの香りがパンに出ます。
その他、パンを作る作業の点でも違いがあるのですが、それらを総合的に見ても、どちらが優れているとはいえないと私は思っています。
生かすも殺すも職人次第
イースト菌の良さ、自家製酵母の良さをパンで表現するのは簡単ではありません。
当店はイースト菌を使っていますが、イースト菌のポテンシャルを活かすパン作りを心がけています。
自家製酵母は旨味が強くなるのですが、イースト菌同様、ちゃんと作ってあげる必要があります。
相手は菌、生き物です。目に見えない彼らですが、一つ一つに心地よく呼吸してもらう必要があります。
これは間違いなく作り手、職人の手にかかっています。パン作りは本当に奥が深いです。
パンが膨らむ菌の話、少し理解していただけたでしょうか。
力説してきた菌たちも、オーブンに入れて焼かれると死んでしまいます。少々気味が悪いですが、焼かれていくパン生地を見て、私はお疲れ様と心の声をかけたりします。
それはさておき、パンのことが分かればもっとパンが美味しくなるはず。菌たちに思いを馳せながら、明日からももりもりパンを食べましょう!
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