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伝統と文化とパンの名づけ

今年は雪が少なくて助かっています。こんにちは、Threebread店主です。

パンやお菓子は名前の決まっているものも多くあります。例えば、当店でも作っているカンパーニュやカイザーゼンメルは、ご当地B級グルメのそれと同じように、定義の存在もあります。
パンの歴史は大変古く、長い時間の中でその形が決まり人々に愛されてきました。

ここ何年かで、シュトーレンがたくさん作られて食べられるようになりましたよね。シュトーレンは、ドイツの宗教的・伝統的な発酵菓子です。ドイツでは法律で材料が決められているほど、国民に愛されています。
現在日本ではしばしば自由なシュトーレンが販売されます。私はこの事を少々嘆いています。

ラウゲンのパン


食べ物というのは、作り手の自由が許されます。そうやって様々な食べ物が生まれて発展してきました。ただ、この伝統的なパンを、他国の解釈で名前も変えずに販売することはオリジナルへの敬意がないのではないかと感じています。

視点を変えると、私の場合なのですが、自分の身の回りでオリジナルとはかけ離れたそれが販売されていて、私自身もそれをそのものだと認識していた時、オリジナルは実は違うんですよって言われたらとてもがっかりします。今までの食を返してとすら思います。
文化を取り入れるときに、受け手はダミーかどうかは分かりません。だからこそ、作り手である私たちは、せめて定義は守っていくのが責任だと思います。

少々熱くなりました。

最近そんな食べ物が売られているのを立て続けに見かけてしまい、伝統とは、文化とは、とずっと考えていました。
でも、日本人のカリフォルニアロールへの解釈と同じように、オリジナルの文化から見たら、いくらレシピを踏襲したつもりでも亜種には変わりないのかもしれません。私のシュトーレンもドイツの職人のレシピで作ってはいますが、水も粉もバターもメイドインジャパンですからね。

ベーコンセサミのカンパーニュ
これも亜種なのか…?


当店では、名前の決まっているパンについては定義を守っていきたいと考えています。その上で、自分のオリジナルのパンは自由にしたいなと。
パンの背景を感じることは楽しいです。きっといろんな人がいろんな思いで作り、食べ、楽しんできたんだと思います。私もその一端になれたら、パンを作るものとしてこの上ない喜びです。

シュトーレンは売れ行きも大変好調でした。お客様からも様々嬉しいお声をいただいています。来年も同じレシピで、更にうまく作れるように頑張ります。とりあえずは、その前に来る夏のサマーシュトーレンも楽しく作りますよ!



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