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#1 本の紹介: 小学校でのオンライン授業の進め方のヒントが満載!「自由進度学習のはじめかた」

保育・教育アドバイザーの松本くみ子です。こんな本を待っていました。

「子どもが自ら学びだす!」と書かれています。スリーエイブル教育スタイル研究所の「3できメソッド」の狙いと一致しています。

この本を手に取り、最初に驚き、感動したのは、既にコロナ休校中の取り組みについて書かれていること。コロナに翻弄されてきた期間は同じなのに、既に実践を本にまとめている……。そんな筆者の仕事の早さにただただ驚きました。そして、エネルギーを頂きました。

テーマ:学びの楽しさを取り戻す

本書は、「学びの楽しさを取り戻す」をテーマに書かれています。著者は小学校の先生とのことなので、現場感あふれる内容となっています。類書はたくさんあります。しかし、本書に関しては、ただ現場感があるだけではありません。様々な実践について、心理学の理論で説明がなされていたり、ご自身の「学びの定義」が明確に書かれていたり、実践内容とともにその根拠が示されていました。著者が修士号を取得されている所以かと想像しました。

これまで、効果があると思って取り組んでいたものの、本当にその取り組みが適切なのか自信が持てない先生方に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

自由進度学習とは

著者は,自由進度学習を「授業の進度を、学習者が自分で自由に決められる自己調整学習の一つの手法」であると述べています。

多くの先生は、「そんなことできるわけがない」と思われるのではないでしょうか。子どもたち一人一人が自由に学習を勧めたら、授業が成立しないのでは?と、私も思いました。でもよく考えてみれば、教師が思うように授業を進めても,聞いている子どもたちの理解度は、一人一人違います。進度がゆっくりな子どもがいることよりも、理解度が低い子どもがいることの方が子どもに不利益が多いのではないでしょうか?

本書に書かれている自由進度学習は,進度を選ばせることで、子どもたちの理解度を統一することができる手法なのではないかと思いました。進度を選ばせつつ、授業を成立させるために「めあて」や「振り返り」などをどう進めていけばよいか具体例が書かれていました。今度大学のオンライン講義で試してみようと思います。

中でも、特にやってみたいと思ったのが、「子どもが見通しをもてる工夫をする」です。大学の講義内容はシラバスで全て公開されているので、それだけでも見通しが持てるかもしれません。しかし,少し離れた回と関連がある場合もあります。それについては、これまで気づいたときにしか伝えてこなかったので、学生には見通しを持って学べるよう、事前に伝えるようにしたいと思います。

自由進度学習の効果の捉え方

子どもたちの主体性とはなにかを取り違えてしまうと、子どもたちが関心を示した=主体性という誤解が生じます。子どもたちが関心を持ちやすいからとアニメを多用する先生もいらっしゃいますが、それは果たして主体性といえるのでしょうか?アニメはあくまでも導入であり、その先に学びに誘導する工夫が必要なのだと思います。

著者は、子どもたちが関心を示した先の行動として、必ず、学びの深まりや行動変容を捉えて記述しています。実践研究を行っていく上で、この視点は忘れてはいけないと、改めて思いました。特に中学校や高校では、効果は定期テストに現れるかもしれません。でもテストの結果だけで判断するのではなく、本書の著者のように、普段の授業や活動における子どもたちの行動変容の中に効果を見出すことが、これからの教育者に必要な力なのではないでしょうか。

まとめ

これからの時代、学ぶ側である子どもたちを主体とした教育の手法をいくつか知っておく必要があります。その選択肢の一つとして、自由進度学習はとても良いと思います。そして、なによりも著者が本書の中で述べている考え方こそが、重要だと思います。面白い授業をしたい、授業のやり方を変えたいと考えている先生がアイディアを得るのにおすすめの一冊です。

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