気を遣わせない心遣い
朝、目が覚めたら、世界が回っていた
物語でも物理的にでもなく、私の視野全体の話
ベッドから洗面所に行くまでの道のりを往復するのに
30分かかった。結果、歩けなくなった。
メニエル発作が出た。
数ヶ月ぶりのそれは私の想像よりはるかに辛いものだった。
事の発端はきっと、週末の仕事。
私は職場をひっきりなしに走り回っていた。
忙しいのは当たり前。みんな同じ条件の中、文句も言わずに笑顔で働いているのだから、私だって頑張らなきゃ。やり遂げなきゃ。患者さんを守らなきゃ。
業務時間中の緊張感は
終わった後の私を妙に疲れさせた
体じゃなくて、心が疲れていた
それに気付いたのはこれを書いている今。
発作が治ったあとのこと。
病は気から、なんて言うけど、本当にその通り。
体が疲れるだけならまだましだ。
心が疲れた日は、文字通り、なんにも出来なくなってしまう。
そして結果、発作を起こしてしまう程には
追い詰められてしまっていた。
発作が出て仕事を休んだ日の夜、上司に連絡した。
「休みを頂いてすみません。ご迷惑をおかけしました。」と言う私に返ってきた言葉は
「気を遣うのをやめなさい。」だった。
続けて、謝る必要はない、とも。
そして、思い出した
私が働くこの職場が掲げる社訓の中に
「気を遣わせない心遣いを」という言葉があることを。
きっと上司は、私が仕事中に感じていた緊張感を察していたんだろうな。
他の人だって頑張ってるんだから頑張らなきゃ、と気を張っていた私に気付いていたんだな。
周りに気を遣わせない心遣い、というのは
きっととても難しい。
でも、この上司の一言で私の心は格段に軽くなった
私の心を気遣ってくれた上司のおかげで。
どの職種でも、それぞれに大変なことは沢山あって
悩みながら模索しながら、それでも日々は続くけど
要らない気を遣うことなくはたらけるっていうのは
実はとっても幸せなことなのかもしれない。
心底疲弊して歩けなくなった私の"らしい"はたらき方は
まだもう少し、ここで、上司と一緒に探していきたい。
そしてきちんと心遣いのできる大人へ
少しでも近づけますように。