アルファベットも全部言えなかった私が英語で仕事ができるようになるまで⑥英語を使う仕事を手に入れる

就活時、私は海外、グローバル、英語を使うという条件を設定して就職先を探していた。そしてグローバルに展開しているIT企業に内定した。大企業なので、様々なビジネス分野があり、配属先の部署を決められる前に、課題の提出や面談などでアピールする機会が与えられていた。

TOEICの高得点を目指す

TOEICの高得点があれば英語力のアピールにつながると考え、私は暇な時間を活用してスコアを上げるべく勉強した。就活や卒論を終えた大学4年は、単位が取れていれば、ひたすら暇な日々で皆旅行やバイト、友達と遊んだりして過ごしているため、勉強するにも十分な時間が確保できたのだ。

TOEICでの課題はリーディングだった。留学経験があり、アウトプットを重視して勉強してきた私はリスニングが得意だったがリーディングのスコアはなんとリスニングの半分ほどしかなかったのだ。リーディング力を高めるために、私はとにかく多くの英文を読み慣れることに注力した。ここでの勉強法は英語の新聞を読んで、和訳するというものだ。これは大学の授業で講師に教わった方法である。そうすることで熟語や文法を学び、数をこなすことで長文を読むテクニックなどを身に付けていった。

一つの記事に大量に知らない単語が出てくるので、調べて覚えようとすることで、ビジネスや議論に使われる単語数がどんどん増えていくだけでなく、文脈の中で理解するために記憶に残りやすかった。さらに新聞記事を読んでいるので世界で起こっていることや問題となっていることなど、世界の時事も頭に入ってきてとても有益な方法だった。これに加えてTOEICの問題集なども解くようにしていた。一定期間勉強を続け、いざTOEICを受けてみるとリーディングのスコアが以前より100点も上がっていて驚いた。

TOEICは問題の出題形式を完全に把握し、戦略を立ててテクニックを得て取り組めば、さらに高得点を望めるのだと思う。しかし、配属が決まった時点で、私にとって適切なアピールのツールではなくなってしまったと判断し、私は勉強をやめた。そのため、最高スコアは765である。

配属先の検討

私は営業の職種で選考を受け、内定をもらっていた。入社後の配属を決める際、会社は様々な分野にビジネスを展開しており、選んで希望を出すことができた。私は英語を使うことと、海外出張や駐在に行くことを目指していたが、ビジネス分野だと物流、商社、メーカーなどであった。いずれかの分野において、営業職をやるのだと思っていた。営業職だと、最初は国内ビジネスについて学び、3年目くらいから仕事ができるようになったら、海外に関連する業務を担当させてもらえるようになっていくとのことだった。

一方で、私は営業ではなく購買や調達といった職種にも興味を持った。配属希望面談の際、コーポレート職についての資料を読むことができ、その中に購買という職種を見つけたのだ。私はこの部署を強く志望することとなる。就活の時点で実はすでに購買や調達の業務に興味を持っていた。就活ではメーカーやITの分野を見ていたが、だいぶ系統は違うが、インテリア関係にも興味がありインテリアの「バイヤー」には憧れたのがきっかけだった。

グローバルな部署

この購買の部署は世界各国にある拠点と連携して供給体制を支える立ち位置で、グローバルベースで働きたい私にとってぴったりの場所だと思ったのだ。配属に関する人事面談にて、私は営業職でのやる気を前提に置きつつ、この購買の部署に対して大いに興味を持ったことを猛アピールしたのだった。面接にあたった人事の方はとても柔軟に、私の話に耳を傾けてくださった。しかし現実問題、この部署への配属枠が極めて少ないことが告げられた。

もともと内定したこの会社は大企業なうえ、いま伸びているIT業界は人手が必要になるという状況で、新卒の大量採用に乗り出していた。営業、開発、エンジニア含めて数百人の新卒採用を行っていたのだが、その中でもこの部署への配属枠はたったの一人だった。加えて、その枠専用の選考で審査されて選ばれるらしく、可能性は限りなく低いと言われた。それでも私の熱意とアピール具合をくみ取って、人事の方は、可能性は限りなく低いが、関連部門に話してみると言ってくださった。

ドキドキの配属発表

入社後研修にて、配属の発表がされるとき、私はきっと営業職だろうと思った。しかしなんと希望した購買への配属に決まっていた。奇跡の配属だと思った。配属されたのは私ともう一人同期がいて、その人はインターンシップから選考に進んで内定になったとの事だった。購買の部署の中でもさらに複数の分野に分かれており、自分の得意なことや、やりたいことをプレゼンして、そこから配属先や担当業務が決められることになった。大きな組織だと本当にいろんな役割や分野などがあるのだと驚いた。

私は得意なこととして、英語も上げたが、そのほかにも他部門との連携やクリエイティビティなどもアピールした。配属は普通にグローバルなバイヤーとして調達関連の仕事をすることになると思っていた。しかし意外にもクリエイティビティや広い視野で物事を捉えたり、本質を見極めるといった能力が評価されたのか、新しい制度仕組みを作るシステム開発系のプロジェクトチームへの配属となったのだ。

文系出身でゴリゴリのシステム開発

新人の最初の配属でプロジェクトに入れることは名誉なことだと思った。しかし文系出身でシステムに関して全く知識のない私がこのプロジェクトに参加することは結構大変だった。普通は基本的な業務の中から基礎を身に付けていくのだと思うがいきなり応用に取り組むような感じだった。文字通りの「On the job training」であった。

もとSE出身のメンバーが多いチームの中で技術的な専門用語が飛び交う打ち合わせに参加して、システム開発に関する知識を学ぶ日々だった。打ち合わせを聞いていても本当に日本語を話しているのかと疑うほどに全く理解できず、かつコロナの状況もあり、最初からすべてオンラインでの実施だったため、結構カオスな状況だった。

やりたいことはできるのか

そのプロジェクトが属するビジネス分野はもともと国内のビジネスが該当し、英語を使う機会は全くなかった。コロナによって簡単に海外に行くことはできなくなり、代わりにオンラインツールの発達により、出張などの機会は激減、海外とのかかわり方もスタンダードが変化していった。

もちろんエクセルやビジネスメールの出し方など基本的な業務スキルが身についていく実感はあったのだが、私はだんだん自分が何をやっているのかわからなくなり、正しい方向へと進めているのか不安になっていった。しかし配属されて3カ月がたったころ、転機が訪れる。組織のトップの方と個人的にお話しする機会をいただき、そこで自分の居場所や担当について見直すきっかけとなったのだ。

はっきり言って手に入れる

配属されてから3カ月の間は、とりあえずやるべきことをちゃんとやってきた。しかしこのタイミングで今まで思っていた疑問や不満や不安などを全て上司に打ち明けた。上司は驚いた様子だったが、そのままを受け止めて柔軟に対応を考えてくださった。

私は今入っているプロジェクトと兼務する形で、並行して隣の部署の先輩から海外への発注業務の一部を教えてもらえることになった。英語で話すということはなかったが、メールで英語を使って海外の拠点とやり取りをする業務をさせてもらえた。英語でのビジネス文章の書き方ややり取りを学び、発注関連の書類も英語だったので、英語に触れる機会が少しでもあることに安心できたのだった。

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