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侍タイムスリッパーみたよ

ちまたで噂の『侍タイムスリッパー』が近所の映画館でも上映開始していたので、見てきました!
初見の勢いだけの感想なので、色々間違ってたらすみません。
ネタバレしかないよ!

ワンクッション

『侍タイムスリッパー』って?
この映画のことです!

元々インディーズの映画だったんだけど、口コミで人気が出て(?)、全国の映画館でも上映開始したとのこと。
侍が現代にタイムスリップ!って聞いて、我々が思い浮かべる大抵のことはだいたい全部やってくれるベタな感じもあるんですけど、まさか最後にあれほど手に汗握るシーンに辿り着こうとは思わなかった…。

ここからネタバレ

幕末の会津の侍が現代日本にタイムスリップし、とっくの昔に江戸は終わり、『暴れん坊将軍』などというタイトルしか聞かなければ「???」みたいな作品まである現代。
時代に取り残された侍の悲哀を描く映画なのかな…と思いきや、主人公の高坂殿、思いもかけず適応力高い。
タイムスリップ先が東映京都撮影所だった御縁もあり、『斬られ役』として芝居の道に入る。
ここまでのやりとりも、コミカルだしベタなこと全部盛りだし高坂殿がピュアピュアでともかく可愛いんだけど、でもその辺りまでは、ベタな感じベタな感じ〜〜〜。とほのぼの見ていた。
高坂殿の中の人がとっても演技派だったのでついていけたけど、そうじゃなかったら前半はちょっと飽きた…かもしれない。
現代人の台詞回しがなんとなくぎこちないというか違和感があって…。特にヒロイン…いやお顔立ちは本当に可愛いんだけれども…。

でも!!!中盤で物語の流れがきっぱり変わって!!!
敵対していたもうひとりの侍、風見殿(山形殿)が同時にタイムスリップしていたことが発覚してから、ぐいぐい引き込まれていって最後の真剣での『仕合』のときにはもう完全にどっぷりハマってました。

高坂殿と風見殿の立場の差がエグい……
風見殿が、まだ若く柔軟な年頃で時代劇最盛期の日本にタイムスリップして一躍スターとなり、己の信じた新政府側が今の豊かな日本を作り上げたことを知っているのに対して。
高坂殿は、時代に適応する力はありながらも時代劇が失われつつある日本の斬られ役で、己がいなくなったあと、会津の人々がどんなに悲惨な目にあったのかを知ってしまう……。

最後、高坂殿に斬られる覚悟で挑んだ風見殿の心境はいかなるものだっただろう。「俺は十分満足した。あとは、この数奇な運命をともにしたかつての敵に、せめて花を持たせてやりたい」だろうか…。

かつての敵と知りつつだんだん心を通わせていく二人の構図と、
敵とは知らずに友情を育んだのであろう劇中劇の二人の構図が絡み合うのが大変にエモかったです……。

そして複数の構図の対比でいうともうひとつ。
取り残されたものは何だったのか。

冒頭で、「時代に取り残された侍の悲哀を描く映画なのかな」というなんとなくの先入観を感じていたところへ、
ああ、そうか、
時代に取り残されたのは『時代劇』という文化だったのか、と気づく。

言われてみれば、私が物心ついた頃、祖母の家に行く度にテレビで水戸黄門が流れていた。(私の年齢については言及しない)
当時はどうとも思っていなかったけど、あの頃って、時代劇ほんとにたくさんやってたんだろうな。
それが今では、こうしてインディーズの映画の撮影に使えるくらい、撮影所も空いていたりするのかもな、なんていう背景もつい想像してしまう。

でも、でもさ、SHOGUNも人気みたいだし、GHOST OF YOTEIなんかも控えているし(ゲームだけど)、海外で日本の時代劇の需要があるならこれからまたじわじわ予算がつくようになって、脚光をあびたりとかしないかな…!
THE 13 LORDS OF THE SHOGUN(鎌倉殿の13人)とか、海外展開を意識したタイトルなのかなって思ってたけどそういう動きしてるのかな…?(アレがいわゆる時代劇かと言われると、私にはちょっとわからないけど)
『十一人の賊軍』『室町無頼』『八犬伝』とか、映画館では結構時代物やってるイメージだけど、テレビでは大河ドラマくらいしか見かけないよね。

それはそれとして緊迫のラスト、殺陣の迫力がともかくすごくて、このシーンだけでも大興奮でした。
のめり込みすぎて記憶がふわっとしているんですが、カメラかなり長回しじゃなかった…?あの気迫を長く演じ続けるの並大抵のことじゃないよね…。本当に眼福でした。

細かいこというと、物語序盤の股立を取る高坂殿のシルエットがめちゃ可愛いなあとか、男着物で汗をかくとそこに汗がたまるのかとか、洋服で着物仕草するの違和感爆発してて最高だなあとか思いました。
あと変身ヒーローを見る度に「変身が終わるまで待っててくれる敵の皆さん、やさしいし紳士的だな」って思っちゃう子供だったんですけど、そういえば日本には名乗りの文化があるから、そりゃ変身シーンは待っててくれるよね、という気づきを得ました。(序盤の高坂殿、闇討ちにも関わらず山形殿が羽織を脱ぎ捨てて襷掛するの待っててくれるんだなあって思って…)

いやあ、面白かった。どこかしらで配信などが始まったら、友達とわいわいしながら見直したい映画です。

追記

最後のオチ的に、「三人目のタイムスリップ」が起こっていたことにじわじわ面白さを感じています。
彼、他の二人みたいに上手く「立ち回り」できるかな?
不安になっちゃうよ〜〜〜はやく高坂殿に見つけてもらってね!!!笑

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