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人生を変える、素晴らしい「話し方講座」

素晴らしい話し方・発声に関する講座に参加したのでまとめてみます。


唐突ですが、筆者は発声・話し方に自信がありません。

お話にならないほど「すごく下手」というわけでもないと思うのですが、以前から、本人はそれなりに声を出しているつもりでも、聞き返されることが結構あります。
それを意識して、少し大きめに声を出そうとしても、前に出ていくというよりは、自分の中で(頭蓋骨の中で?)の音響が大きくなるだけ、のような気もします。また、慌てると吃音が出ることもあります。

声の出し方の本を読んで、改善を試みたこともありますが、少し良くなったかな~というくらいでした。

そんな折、最近知り合った友人が、イベント「生きる・伝え方の極意 発声編」を主催するというので参加してみました。
講師は、渡辺克己さん、という方です。

自分の備忘録も兼ねて、整理してみたいと思います。


<追記>
その後、渡辺氏が開催した少人数の特別レッスンに参加してみました。
体験記はこちら→ 言葉と気持ちを届ける「話し方特別レッスン」体験記


まず目からウロコ

講師の渡辺さんは良く知られたCMやTV番組でナレーターを務めていることもある美声なので、声の出し方のコツ、のようなコンテンツを想定して参加したのですが・・・

良い意味で全く裏切られました。

もちろん、後述するように声の出し方や話し方の注意点も豊富に教えていただいたのですが、それらは脇役・テクニックであって、

最も大切なのは、話すときの心構え、何のために声を出すのか、自分は何のために話すのか、といったコミュニケーションの本質が講師のメッセージだったのです。
むしろ、話し方は生き方・生きざま、というくらいの熱い講座でした。

「表現しない思いは、無いのと同じ。世界とつながるために声を出すのです」

言葉を渡す

では、どう話すか。

「相手に声を渡すのです。相手が心地良い、聞きやすいスピードで話すべきです」

自分の話しやすいスピードより、コミュニケーションは相互作用であることを忘れず、相手のinterestが沸き起こる場となるように、言葉を渡していくというのです。

考えてみると、筆者はこれまで自分の頭に浮かんだことを、すぐに声にしないと忘れてしまうことを恐れて、あるいは、自分が言いたいことを言いきらないうちに口を挟まれることを避けるために、頭に浮かぶスピードで全てを声に出してきたように思います。相手に渡してはいなかったのです。

それは、極端に言えば、「話す」というよりは「つぶやく」に近い。
少し大きめの声でブツブツつぶやいているのと同じ状態だったのかもしれない、と思い知らされました。もちろん、いつもそうであるわけではないのですが、そういう場面も少なからずあったかな、と。

なお、「読みやすい文章」も、
読み手が「読む速度」と「理解する速度」が一致する、読みながらスーッと脳に染み込んでいくような文章、と言われています。
(竹村俊助さんNoteより)

言葉と動作と

「場面と気持ちを意識して、
ゆっくりでもいいので、音節でわけて、
身体性を意識して、動きながら、言葉と動作を連動させて(一歩前に出るなど流れるような動き)、
一つの単語が一つのボールであるかのように、ボールを渡すように言葉を渡す」
「一つの所作で、一つのメッセージ」
「特に、動詞には動きをつけて、イメージを出す・伝える」

かなり衝撃的でした。

これと比べると、筆者は今までボールを、相手が受け取れるかどうか、考えずに凄いスピードで投げつけてきたような気もします。これも、いつもそうだ、というわけではないのですが、多々反省するところです。

プレゼンテーション

相手が一人ではない、プレゼンのような場合はどのように考えたらいいのでしょうか。

「プレゼンも、1対(1×N)、というように捉えます。
全員に、とか、誰かに、ではなく、それぞれ一人一人に話すのです。
また、一人に話す、のを、それ以外の全員に見せる、ことも意識します」

「一人一人に向けて丁寧に、一人をサッと「終わらせる」のではなく、
 間に一息つく、景色を楽しむ、ようなタイミングを入れていく」

マーケティングの極意とも重なります。
マスに向かって漠然とメッセージを投げるのではなく、一人一人に伝えようとしなければ全く伝わらない、というのと同じですね。

発声の注意

では、声はどのように出したらいいのでしょうか。

「音をしっかり出す、
一つ一つの音をしっかり平等にバラつかないように、
音節の末尾の音も、息を「引く」のではなく「出す」ことで、空間に投げていく」

ついつい、音節の最後の音や助詞などは小さくしがち、また自分流のイントネーションをつけがちですが、まずは音の粒をそろえるのが基本、ということでした。

体験した練習方法

・Whisper
息をしっかり出していくことを意識するために、ささやくように話しつつ、しかし、遠くまで届ける

・Mickey Mouse
声帯を振動させ体で共鳴させる(体は楽器)ことを意識するため、あえてMickeyのような高い声・抜ける音で話す
(しかし、ゆっくり、一音一音聞き取れるように)

・デーモン小暮閣下
どうしても最後の音が小さくなりがちなので、デーモン閣下のようにしっかり最後の音を投げていく(吾輩「は~」、悪魔「だ~」)

・ボール渡し、握手
一人一人にボールを渡しながら、あるいは握手しながら、一音節ずつ相手に「渡す」、あわてて次の人にいくのではなく、しっかり「渡す」、またそれを周囲に見せる

個性・自分らしさ

では、みんなが同じ話し方を目指すべきなのでしょうか。個性やその人らしさは関係ないのでしょうか。

「話し方は人によって違うのが当たり前、むしろ違うべき。みなそれぞれ、自分の良い声・話し方を取り戻せばいいのです」
「周囲の情報をちゃんと受け取り、それを反映しつつも、自分の体内時計・リズムを大事にする(自分勝手ということではなく)」
「熱量をキチンと伝える。ロゴス(論理)・パトス(パッション)・エートス(人格)を伝える。
中でも、エートスが大事。嘘つかない、自分を過度に守らない、弱さをさらけ出す」

哲学的なところまで話は展開しました。

テクニックとしての声の出し方に囚われるのではなく、また万人が同じ話し方を目指すわけではなく、何のために自分は話すのか、話し方に込めたい自分の生きざまは何か、どのように話すと相手にしっかり「渡せる」のか、を意識すれば、自ずから「自分の良い声・良い話し方」が取り戻せる、ということなのです。


この講座を体験して以降、筆者の話し方への意識は明らかに変わりました。
周囲がどう感じているか、は分かりませんが、自分としては。

機能としての声の出し方もそうですが、相手に届ける・渡す、という意識になりました。

極端に言えば、世界との関わり方が全く変わった、とも言えると思います。すぐにどうということではありませんが、これから生きていくにあたって、とても大切なことを教えていただいた、と感じます。


「赤ちゃんは生きるために声を出して泣きます。あなたは何のために声を出すのですか?
 生きざまを表現して、世界とつながるために、ある意味生きるために、声を出すのではないですか


ところで、講師の渡辺氏はこのような講座を小学生向けにも実施しているそうです。
願わくば、筆者も小学生のころに受講したかったな、人生違ったかも、なんて考えたりもします。

最後に、
とにかく、とてもお勧めの講座・講師です。
このnoteは、ある意味ネタバレではありますが、文字で読むだけでは伝わらないこと、その場に参加しないと理解できないことがとても多いと思います。(ここまで読んでいただいて申し訳ないのですが)

なので、どこかで渡辺氏が講師を務める講座があったら、万難を排してでも参加することをお勧めします。

<追記>
その後、渡辺氏が開催した少人数の特別レッスンに参加してみました。
体験記はこちら→ 言葉と気持ちを届ける「話し方特別レッスン」体験記

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