国力を決めるものは何か?
超大国アメリカや、中国やロシア、日本、イギリス、ドイツ、フランスなどは大国とされる。これら大国は、どのようにして大国の地位を維持できるのだろうか?
経済力(GDP)
カネが全てではないが、経済規模が大きければ、他国へ経済支援したり、他国からモノを買ったり、大きな影響を及ぼすことができる。アメリカ、中国、ドイツ、日本は経済大国とされる。ただし、中国は一人当たりGDPはまだ少ない。だが、総額は大きいので、一帯一路など海外インフラプロジェクトで存在感がある。ドイツはユーロ圏最大の経済大国であるため、周辺から出稼ぎ労働者がくるため、人手不足になりづらい。
軍事力
アメリカやロシアは、軍事力で存在感がある。弱い国の後ろ盾になることで、影響を強めることが可能だ。特にアメリカは、日本や韓国など多くの国に米軍基地を配置し、守る姿勢を見せている。もっとも、トランプ氏はアメリカが一方的に守ることには反対のようだ。ロシアは、核保有国であるため、ウクライナ侵略をしても、他国はうかつにロシアを攻撃できない。
立地や国土
立地や国土など、地理的な要素も大きい。アメリカは、太平洋と大西洋の両方に面して、しかもパナマ運河経由で海運の効率が良い。両隣のカナダとメキシコは友好国であるため、国防の観点からは鉄板である。唯一の脅威は、米本土に届く長距離弾道ミサイルだ。日本の場合は、北朝鮮や中国、ロシアなど、潜在的な敵国に囲まれており、地理的な要素としてはあまり良くない(悪い)。だが、不幸中の幸いなのは、海に囲まれた島国であることだ。上陸作戦は極めて難しい作戦であり、陸続きよりも守りに強い。ロシアの場合は、広い領土じたいが天然のバリケードとなる。特にシベリアは極寒の地であるため、ここから攻め入るのはほとんど不可能だ。北の北極海は氷のため、航海が難しい(もっとも、温暖化で溶ければ、北極海経由でロシアを攻撃することが可能となるかもしれない)。
資源・エネルギー
中東の産油国や、ロシア、アメリカ、中国、オーストラリアなどは、資源やエネルギーを外交カードに使うことが可能だ。ドイツはロシアからの天然ガスパイプラインに依存していたため、ウクライナ支援が他国よりも遅れた(今はロシア依存をやめて、ウクライナを支援している)。中国も、レアメタルが豊富であるため、外交カードに使うことができる。日本は資源・エネルギーがボトルネックになりやすいため、代替資源などの研究は不可欠だ。
国民の賢さ・民主主義
あまり触れたくない話題ではあるが、日本などの先進国では、突拍子もない政策をやる危険性は低い。マスコミや有権者が見張っているからだ。ところが、軍政の途上国では、国民は力を持たず、戦争をしかけたりしている。ただ、まあ、先進国のアメリカで、議会襲撃事件があったり、先進国のフランスでテロが多発したりと、最近はもはや関係ないのかもしれない。日本は他国よりは国民が我慢強く、テロに走ることは少ない(もちろん、ゼロではない。安倍晋三元首相暗殺や、過去にはサリン事件があった)。
ソフトパワー
文化や伝統などの力で有利になることだ。アメリカはハリウッドやディズニー、日本は漫画・アニメやゲーム、韓国やトルコはドラマが強い。フランスやイタリアは高級ブランドファッション、ドイツは高級自動車が強い。これから、イスラム諸国(インドネシアやトルコ、マレーシアなど)が経済成長すれば、イスラム系のコンテンツも盛り上がるだろう。先進国は製造業が少しずつ弱くなる傾向にあるため、ソフトパワーの力は不可欠だろう。日本も観光収入が拡大している。課題は多言語対応など山積しているが。
次の大国
将来的には、アメリカ・インド・中国による覇権争いだと考える。だが、中国はアメリカに挑戦的な態度を取りすぎたため、半導体製造装置などで輸出規制を受け、苦しくなるだろう。インド、インドネシア、メキシコ、ベトナム、トルコなどが次の大国候補であると考える。インドは人口が多く、うまくいけばGDPも日本などを抜くだろう。インドネシアも同じだ。トルコとインドネシアは、今までのサウジアラビアがリーダーであったイスラム諸国の関係に変化が生まれる可能性もある(もちろん、サウジアラビアの、2つの聖地を持つ強みは極めて大きいが)。トルコとメキシコ、ベトナムは、中国から工場が移転して、経済成長するだろう。トルコは地中海経由でヨーロッパ向け、メキシコは北米向け、ベトナムはアジア域内向けだ。
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