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石油の海運航路は極めて危ないことを知らない日本人!2つのチョークポイント!

世界には、非常に狭い海域(海峡)を通過しなければ、遠回りしなくてはならない場所がいくつかある。それをチョークポイントと呼ぶ。ホルムズ海峡とマラッカ海峡がその典型だ。両方とも、中東から日本や中国、台湾、韓国への石油輸送に欠かせないが、海賊などが現れるため、危険なチョークポイントである。

ホルムズ海峡の場所を確認しよう。アラビア半島の北側にある。地理または世界史を勉強したことがある人はイメージしやすいが、そうでないと厳しいかもしれない。

ホルムズ海峡

上の地図は、ちょうどホルムズ海峡を示している。南側のアラビア半島から、角のように北側へと突き出ている部分がホルムズ海峡だ。水深は深いので大型タンカーも通れるが、小さい島も点在しているため、通過するのは難しい。

もし、過激派イスラム勢力がここを封鎖すれば、東アジアの国々は石油を確保できなくなる。いわば、生命線をイスラム勢力が握っていることになる。鬼滅の刃の冨岡義勇ではないが「生殺与奪を他者に握られている」状態だ。

お次は、マラッカ海峡だ。こちらは、マレー半島とインドネシアの間にある、これまた狭い海域だ。こちらもやはり、海賊が出現する。

マラッカ海峡

こちらは、イスラム過激派はいないので、安心して良いかというと、そうでもない。インド洋の最大の強国はインドである。昔は弱かったが、今は着々と海軍が強くなりつつある。インドは、中国と領土問題を抱えている。そのため、もし、中印で戦争になれば、インドは切り札として、マラッカ海峡を封鎖する可能性がある。そうなれば、中国は石油を入手できず、万事休すとなる。もちろん、中国は核保有国なので、核兵器でマラッカ海峡封鎖を解除するように脅すかもしれない。が、核兵器は実際には使えないシロモノだ。もし使えば、インドも核兵器で反撃し、世界破滅の危機になる。

そして、ここからが恐ろしい話だが、おそらく、インドはマラッカ海峡を封鎖する際に、どこの国の船か(船籍を)区別することはない。つまり、日本向けの石油タンカーも封鎖で通れなくなる。一応、遠回りすれば日本まで行けるが、輸送コストが上がるし、リードタイムも長くなる。石油危機のようになるかもしれないのだ。

なお、ホルムズ海峡については、マラッカ海峡とは異なり、代替ルートはない。そして、ホルムズ海峡の場合は、ヨーロッパ諸国も他人事ではない。ホルムズ海峡を通過してアラビア半島の南側へまわり、今度はスエズ運河経由で地中海へ抜けて、ヨーロッパ諸国へ石油を輸送している。今はロシアからの天然ガスパイプラインに頼れないため、ドイツが最もこのチョークポイントの影響を受ける。ドイツは、メルケル首相時代にロシアと蜜月関係となり、天然ガスパイプラインにエネルギーのかなりの割合を依存していた。しかし、その後、ロシアがウクライナ侵略をしたことで、ロシア頼みが崩れたのは有名な話だ。フランスは原発が多いのでまだなんとかなるが、ドイツは厳しい。

日本のマスコミは、なぜか、こうした地政学のことを報道しない。極めて遺憾なことだ。とれる対策は、原発や自然エネルギーを増やすこと、石油備蓄を増やすこと、代替燃料を増やすことくらいしかない。

また、電気自動車を普及させることも一手だろう。電気自動車は、実は、いざというときは、電池として電力の供給源にもなるのだ。災害時にも役に立つので、やはり、電気自動車は増やすべきだろう。プラグインハイブリッド車(PHEV)でもかまわない。

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