データセンター建設ラッシュ!日本企業にとって追い風が吹く!

アメリカ合衆国の大手IT企業が、積極的に対日投資を進める計画がある。特に、データセンターで顕著である。

有名な経済系ネットメディアが3つも記事を書いているので、それを読んでいただくのが早いかもしれない。だが、私の個人的な見解も記しておきたい。

なぜ、日本へのデータセンター建設投資が目白押しなのかというと、いくつかの要因があると思う。データセンターというのは、基本的には広大な土地がある場所のほうが適地だ。そのため、本来は日本のような広大な土地が少ない場所は適当ではない。それなのに建設ラッシュが控えているのは、「米中経済対立で日本がアジアでは適地となる」「AI特需」「ガバメントクラウド」など、複数の要因があると思う。

まず、米中経済対立だ。今、アメリカと中国の関係は冷え切っているとまでは言えないが、非常に厳しい。バイデン氏は対中輸出規制や対中関税などを発動している。これは、中国が経済的に勃興し、さらにハイテクでもアメリカを脅かし、軍事でもアメリカよりも優位になることを絶対に阻止することが目的だ。特に、半導体やAIの分野で米政府は神経をとがらせている。軍事ドローンや精密誘導ミサイルなどにも、半導体は必要だ。また、AIが軍事利用される危険性もある。実際、イスラエルはパレスチナへの攻撃に際し、AIを実戦利用したと言われている。そこで、中国が脅威であるならば、日本や韓国、台湾に頑張ってもらわないと困る、とアメリカは考え始めているのだ。かつて、昭和の終わり頃はアメリカは日本を敵視していた。アメリカという国は、「常にナンバーワン」でないと気がすまない国であるようだ。

もう一つは、AI特需だ。OpenAIのChatGPTやGoogleのGeminiなどAIは、大量の計算能力を必要とする。そのため、巨大なデータセンターが必要になるのだ。中国政府は欧米系のAIを禁止して中国独自のAIを普及させたい意向であるため、そうなるとアジアで二番目の経済大国である日本にデータセンターを建設するのが合理的になる。韓国や台湾は、一人当たりGDPでは日本に並んだが、まだまだ「総額」では日本が圧倒的に経済規模として大きいのだ。

最後に、ガバメントクラウドである。日本政府は、地方自治体や中央政府のIT環境について、古いサーバーではなく、クラウドに移行しようと計画している。個人的には、あまりに時期を集中させるのは人手不足だし得策ではないと考えるが、お上の考えることだから仕方がない。AWSやGCP、Azure、Oracle OCIなどがガバメントクラウドの指定クラウドサービスになっているため、MircosoftやOracleは対日投資を活発化させる予定である。

データセンターは、工場ほどではないが、非常に経済的な恩恵が大きい。まず、当たり前だが建設するのに施工業者が儲かる。そして、ケーブルを引き込む必要があるのでケーブル業者も儲かる。大量の半導体も必要なので半導体業者も儲かる。また、ケーブルや半導体、ラックなどを搬入する物流業者も儲かるのだ。さらに、データセンターはつくって終わり、ではない。内部で保守や監視をする人員が必要なのだ。

データセンターは24時間365日なので、そこで働くのはあまり得策ではないと思う。シフト制で夜に働くこともあるかもしれない。それでも、女性や高齢者など、働きたくても働けない人の働き口ができるのは良いことだと思う。未経験者がデータセンターで働くための研修なども、これから実施されるようになっていくだろう。

日本経済は、人口減少で深刻な停滞が心配されているが、こと「雇用」に関しては、ほとんど不安はないと言ってもよい状況になるだろう。選り好みさえしなければ、誰もが働ける経済環境になる可能性すらあると予想している。

ただし、もちろん懸念点もある。最大の懸念は電力不足だ。データセンターは大量の電力を消費してしまう。これから、発電所の建設や、電力制御のパワー半導体の量産、電力損失の少ない変電・変圧設備やケーブルの開発なども活発化していくだろう。

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