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スケーリング

【宇宙物理学最後の謎に迫る】東京大学教授・戸谷友則/宇宙になぜ生命があるのか/「戸谷論文」の衝撃/宇宙論の現在/宇宙はクリーム色?【EXTREME SCIENCE】 (youtube.com) 
 茂木先生が「宇宙と生命のスケール的関係について、斬新な見方」とコメント為さっておられますが、まさにその通りと思います。
 リサ・ランドールが言う様なスケーリングで、極めて巨視的方向に移動させていくと、ビッグバン宇宙論になり、インフレーション宇宙論になり、その膨張の計算検証可能領域を戸谷先生の宇宙論が示し、中世のトマスが「神の知」論で「非有のイデア」として論じた無限の可能宇宙群(我々のこの宇宙がその中の一つとして選択されたという考察)に通じるシミュレーションをされた野村先生の宇宙論が提示されます。
 スケールの位置で観点のフレーム(ミンスキー)が定められ、そのフレームに「システム」を眺め、その法則性や原理を抽象すれば、そのシステムを対象にした学問領域が構築されます。生命についてもこの事が妥当し、この地球環境における生命システムが、分子生物学とネオダーウィニズムのフレームで分析されているのが、現在の生物学領域だと思います。
 「ChatGPTが生み出す新しい言葉が社会を変えるか  AIとALIFEをめぐって #3  池上高志/下西風澄」21 Jun. 2024 の中で、池上先生は次の発言をされています。

「中間層というのは、構成論的なアプローチで理論を導き出すためには必要なものなんですね。つまり、物理化学的な物質的基盤に言及せずに、生命とは何か、意識とは何かといったことを抽象化して記述するために不可欠なレベルだと思っていて、僕はまさにコンピュータのなかに中間層をつくって見せることができないかと考えてきたわけです。下西君が言うように、知覚や認知には量子力学は直接的には関係ない。そして、世の中をどう見ていくかとか、その時つくられる現象論は、中間層を要求するものだと思う。だけど、対象とするものが持っている物理的な重さとか大きさ、まさにそれが身体性ですが、それは中間層とは無関係にそこにあるものだと僕は思っているんですね。」

 これは社会学領域でルーマンのシステム理論が示している認識に通底していると思います。対象と認識、システムと抽象された法則・原理、その量子的ミクロから宇宙的マクロに至るスケーリングによって捉えられた「情報」が、学問的領域を定めるのだろうと思います。

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