『半沢直樹』を物書きの視点で観た。
とりあえず話題のテレビ番組を、ネットで一通り観ての感想。
うん、まあ楽しかった。
個性豊かなキャラクター!
それを演じる演者たちも、役に負けない個性派揃い!
顔芸と称される鬼気迫る演技!
そりゃああれだけの芸達者な役者陣を目一杯遊ばせてやりゃあ、面白くもなるわな。
じゃあ、お話としてどうなのか?
というのがライターとしては気になってみたので、観ながらつらつらと考えていたことを書き連ねる。
要はこれ、現代版必殺仕事人なんだと、途中でそう気付いた。
なんというか、『お約束の復讐劇』なのだ、これは。
言葉的にはアレですけど、否定をしたいわけじゃない。
そう、『お約束』『定番』『セオリー』……
これらの何が悪いのか? 手垢にまみれたどこかで観たような話ばっかりしてワンパターンだな、なんて心ない事を言う奴が、そう言う奴が少数であるにもかかわらず声だけがデカい。
そんな輩のおかげでドラマはあれやこれやと側だけを整えて、奇を衒うことばかりに気を取られて、すっかり弱体化してしまった。
だから最近、どうだ? オリジナルでヒットしたやつってあるのか?
どれも原作付だの海外のリメイクだの、過去のヒット作のリバイバルだの、コミックからの原作拝借だのばかりだ。
無論この半沢直樹も御存知原作小説がしっかりとしているからだと思う。
テレビやドラマの文句が言いたいワケではない。
そのお話である。
キャラクターの魅力が十分なのは理解した。
OK、わかったみなまでいうな。
キャラの、演者の妙がこのドラマの魅力だ!
と言われるほどシナリオを書くものにとってキツイものはない。
そのキャラクターを活かしきる台詞回しを書いてこそのライターだ。
(まあ、どうもネットでの噂を観ていると今期はそのあたりに不和が生じているらしいが……)
いずれにせよキャラクターが勝利の鍵!となってしまうとシナリオライターは立つ瀬がないのだ。
ではこの物語はどんな話だったのか?
それを考えてみよう。
結局、乱暴に言ってしまえば、この作品は『時代劇』なのだ。
必殺仕事人。あるいは水戸黄門でもいい。
古き良き定番に定番を重ねた様式美的なワンパターンに則ったお話なのだ。
無論、それに「裏切り者は誰か?」「誰が犯人か?」というミステリー要素が見事なアクセントとなって、話のドキドキ感を高める。
お話の構成は完璧!
王道中の王道を行っている。
『下剋上』『勧善懲悪』『立身出世』と王道の大三元だ!
つまり『半沢直樹』は王道の役満なのだ。
その全てが『復讐劇』に端を発するのだから心憎い。
主人公が「なんのためにそれをするのか?」というのを、視聴者、読者に疑問に持たせちゃダメなんだよね。
その行動の原点、理念がハッキリしている。
そこが人々の共感を呼ぶ……。
いや、最近の視聴者にはもっとわかりやすい方がいいのかもしれないが。
まあ最後の最後に大どんでん返しを披露して、「ざまあみさらせ!」ってなる爽快感が、やっぱりよかったのだろう。
やはり基本となる王道は学ぶべきところがたくさんあるなぁ。
とそう思ったのである。
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