Writing With Logic 5
この本の使い方(p.p.4-7)と並んであまり読んでくれない箇所は練習方法(p.128)です.この通りにやらないと初級者はなかなか成果がでません.残念ながら,英語を教えている人が自分の教え方に取り入れるのにこの本を手にすることが多いようです.そういうつもりで書いたのではないのですが….
いくら英語の知識を積んでも,あるいはライティングのコツを学んでも,書くことに対する考え方が大きくずれているとなかなか書けるようにはなりません.これは,もう1つのこの本にも云えます.
もちろん,本書の心臓部はChapter 2のセンテンスをつなげる力を身につける箇所ですが,ライティングの上で大事なのはChapter 3 Section 0: ライティングのプロセスを知る(p.p.162-165)という部分です.この部分は,アメリカでは小学校から大学までライティングの授業としては当たり前として繰り返し身につけさせられる部分なのですが,文法事項の習得とか,例文の暗記とか,模範解答の暗記とか,それがライティングに一定の効果があるとはいえ,本質からずれたことだけやる日本人英語学習者が多いということは知っておいた方がいいです.
正直,『ゼロから覚醒』も『15の論理展開』も当たり前のことを書いただけのフツーの本なのですが,よくわからない変わった本と認識されているようで頭をかかえてしまいます.
著者としては「フツーの本ですよ.できない人ほどこのやり方でやった方が効果がでます.類書はむしろ,『ゼロから覚醒』も『15の論理展開』であまり洗練されてはいないけれども意味は通るテキストが作れるようになってから,表現面での向上を目的にやるものですよ」と云いたいのですが,学習者が選ぶことですからね.
『ゼロから覚醒』をやるだけの十分な語学力がない人は,…というと本来ならばこの本がいいのですが,絶版中で,いろいろ動いたのですが,復刊はできそうにないので,また新たにライティング用の英語のしくみをまとめた本をだそうかと思っています.まあ,出版社が見つかればの話ですが.それまでは,この本あるいはより新しいこの本ですかね.自分が関わった本でよければこれですが.
「意味順」を使っていない本では,もちろん,『ゼロから覚醒 英文法』も悪くはないのですが,ライティングの基本にはちょっとここまで必要ないかもとも思います.同じ著者の方が,学研からワークブック形式のものを出しているのでこれでいいんじゃないでしょうか.単に文法の基礎を学ぶだけならば,この昔からのベストセラーもいいんですが,若干ライティングのための考え方の基礎としての英語のしくみや知識とするとちょっと違うかな,とも感じます.もしくは,これか.
たぶん,これを読んでも英語が苦手な人ほど何を云っているかほとんどわからないと思いますが,ぼくは個々の文法ルールと習得や分析の仕方よりも,自分が英語を生み出す上でどう基礎知識をリンクさせていくかという観点でここでいくつか教材を紹介しています.文法説明の適切さや文法事項の目的別網羅度はほとんど重視してしていません.
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