誰が為の正義 【映画イチケイのカラス】

今日は、映画『イチケイのカラス』を観てきました。こういう言い方をすると、なんも感じていないみたいだけど、あえていうならいい映画だった。キャラクター達も設定も脚本も、ここがイマイチだったというようなことが全くなく、すっきりとしたいい映画だった。昨日放送されていたドラマを見てから映画を見にいったこともあって、あのシーンはそのシーンの関連か。とか観ながら思えたし。キャラクター達はドラマの時から、メイン二人以外は結構変わっていたのも、映画としてうまくいっていたのだと思う。だから、ドラマちゃんと観てないよっていう人々にもおすすめできるところはあるかなと思う。

この先は、ネタバレというほどではないけど、中身から考えた感じたことなので、一応線引き。


法律が関係するドラマは大抵、重要な回は法律の意義、法律を破るだけの理由があるとき、みたいなテーマが扱われることが多い。これは、きっと犯罪をする理由を作り込むこみやすいのと、犯罪ってなんでやっちゃいけないの?という答えのない問いへのキャラクターごとの個性にそった回答をだせることが大きいのだと思うけれど。それにしっかりと答えを出し、それが綺麗事で終わらないことまで見せてくれるのは、流石の一言だった。何事も綺麗に終わらないけど、綺麗に生きることの強さをみせつけていたなと感じるようなエンドだった。

あと、誰のために働くのか、誰のための正義感か、ということが扱われていていて、それに坂間千鶴が悩み続ける構造も良かった。真っ直ぐ過ぎるくらいに正義感の強い彼女が、ちょっと法律を違反しつつ、不完全な法律の現実と向き合っていくのは、ひねくれ人間からすれば、眩しすぎるくらいに美しくも見えて。また、それに影響を受ける周りの人々の感覚を悩ませながら変えていくのも見方によっては、狂わせているようにも、成長させているようにも見える。

それと対比されるように、「回り回って自分のため」と思いながら、周りのモヤモヤまで晴らさせるように周囲を巻き込んで、真実に迫っていく入間みちおという存在がかっこよくも、頼もしくも見える。そして、裁判官と弁護士という二つの違う立場から、今回の2種類(見方によっては3種類)の事件を解決していく様子が見事に描かれてい他と感じた。

スペシャルドラマと映画と、人生の目標とか、働く目的とか、過去の失敗とか、いま人生の岐路が迫ってきた大学生にとっては、ちょうどいい具合に考えさせられ、ちょうどい具合の答えを出してくれる、いい映画だった。

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