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海外のカスタマーサポート資料を読む_1

こんにちは。「バンドルカード」というto C サービスを展開するカンム社にて、CS/業務プロセス周りをやっている平湯(ヒラユ)です。

前書き

(本題読みたい方はとばしてください)
私たちCSチームは、ユーザーがサービスを利用するうえで「分からない時間」 を減らすことを目指して日々奮闘しています。

だいぶ前に「おもてなし幻想」を読んでから海外の資料をもっと読みたい欲が高まっていました。(エフォートレス!!)

アウトプットすることで身体に染み込ませたく、海外のカスタマーサポート関連の記事から得た学びを発信していきたいと思ってます。

ちなみに、自分が特に知見を得たいと思っているのは以下の観点です。これ以外に学びがあったときにも発信していきます。

①現場管理
→品質管理(教育)、コスト管理(人員体制)

②顧客接点チャネル・ツール
→展開しているチャネル、ツール機能

③VOCの仕組み
→検知 ~ プロダクトフィードバックの仕組み

④カスタマーサポートの役割
→顧客にとって & 会社としてどういう存在であることを目指しているか

※私の記事にある「CS」は「customer support(カスタマーサポート)」を指します。「customer success(カスタマーサクセス)」の記事を探している方はご要望と違う可能性があります。


記事紹介

今回の記事はこちら。Five9(ファイブナイン)社の記事です。

タイトル:Making Customer Service a More Human Experience

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カスタマーサービスをより人間的な体験にすることについて、その理由や実現方法を解説している記事です。
原本はこちらからDLできます。(Five9社のサイトにとびます)

Five9社は、コンタクトセンター向けクラウドソフトウェアを提供するSaaSベンダーです。本社はアメリカ(北アメリカ)で、日本では事業展開してないようです。
他リサーチ会社と連携してカスタマーサービスに関する調査レポートをまとめたりもしてます。(https://www.five9.com/about

本題

以下、記事の内容です。

導入

優れた顧客体験(CX)は、「早くて簡単なやり取り」と「正確な解決策」で構成されている。これらを支えるのは、オムニチャネル化を実現させる"クラウド型コールセンタープラットフォーム"である。この"クラウド型コールセンタープラットフォーム"は、CRM(customer relationship management)やUC(unified communications ※1)のような主要なアプリケーションと統合されている。

Five9は、「より良い経験」とは、「より人間的な体験(human experiences)」だと考えている。ガートナー社の調査によると、顧客体験を向上させた場合は、顧客がサービス切り替えの機会に直面したときに「利用し続ける(切り替えない)」とする割合が平均82%であったのに対し、一般的な対応をした場合は61%だった。また、口コミが肯定的になる可能性が97%あり、86%のウォレットシェア(顧客内シェア)の増加に影響を与えた可能性がある。(※2)

顧客が求めているもの

顧客との距離を縮める方法を理解しているブランドは、顧客のニーズに機敏に対応できるようになる。ただし、距離を縮めるということ= それを実現するための技術をもっていること、だけではない
それは、顧客があなたとつながるたびに、耳を傾け、関与し、対応し、積極的に顧客に会う方法を、意図的により人間味のあるものにするコンタクトセンターを設計することだ。
【図:顧客が求めているもの】

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顧客は自分の時間を大切にしてほしいと思う。
・59%の顧客は、課題を解決するのにたくさんの労力がかかる企業とは関係を続けたいと思わない
・38%の顧客は優れた顧客サービスを提供されないとそのブランドはビジネスを展開できないと思っている
・一回での迅速な解決はもちろんのこと、問い合わせした際に自分を認識し、自分の問い合わせ記録(過去のやり取り)を持っていることを期待する顧客が74%存在する
(※3)

また、顧客は自分の求めるチャネルでサポートを受けたいと思っている。
顧客は様々なチャネルで問い合わせしたいと思っているが、カスタマーサービスが必要な場合は電話を使用することを好む傾向にある。電話が好まれるのは、既にセルフサービスでのオプションを試していたり、緊急性が高いために人と話したいことが理由であるかもしれない。
【図:顧客はまだ電話が一番】

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はっきりしているのは、顧客がCXに求めることはこれまでと同様に高く、サービスで差別化できるブランドは顧客維持・ロイヤリティ・収益に貢献している。
(※3)

提供するための苦労は現実的なもの

シームレスでより良い体験を与えるには、すべての部分が同期的でシームレスであるべきだ。当然、顧客にとって楽に見えて、かつ、楽と感じなければいけない。それには適切な「人」「プロセス」「技術」が必要だ。

一方で、本来あるべき姿を困難にしている理由は以下かもしれない。
・レガシーなシステムや時代遅れの社内システムにより機敏な対応ができない
・サイロ化されたシステムにより、データの共有が容易ではなく、セールス、サービス、マーケティングの連携を妨げている
・顧客が電話をかけてきたときに、エージェントがすべての顧客データを利用できない
・人員配置のニーズを正確に予測することが困難
・ボリュームのピークと底を管理する簡単なスケーリングができない
・エージェントがシームレスな体験を提供できるようにするための最新のツールが欠如している
・エージェントを雇用する際、顧客サービスを提供するための能力よりも、席を埋めることを優先して雇用している

より良い顧客体験の阻害リストは無限にあるが、より「人間的な体験」を提供するためのリストは割と少ない。以下、2つの主要な側面を見ていく。

CXがなぜ「HX(human experience)」なのか

CXとはブランドのサービス体験を通して、顧客にどのように感じてもらうかである。CXはよくコンタクトセンターで議論されるが、それはサービス体験上のどこかで良くない経験があったときに顧客が向き合う場所だからだ。
ブランドは、コンタクトセンターで信頼回復のチャンスを得ることになるが、チャンスを逃すと、顧客が失敗するだけでなく、SNS上でネガティブな発信をする顧客を生み出してしまうことになる。

顧客はそのブランドを好んでいる他の顧客を支持するし、自分が好きで、尊重しているブランドを支持する。
優れたCXとは「本当に優れたHX」のことである。顧客は、そのブランドがどのような感じ方を提供してくれるかに反応する。愛されている、賞賛されている、尊重されていると感じさせるようなポジティブな体験であればあるほど、そのブランドを評価し、そのブランドにお金を使い、そのブランドのことを友達に教えてくれるようになる。
どのようにしてこのような「人間的な体験」を促進していけるか、それには2つの基本的な要素がある。

1. Responsivecness(応答性)
顧客のニーズは時間経過とともに変化する。それらの変化に対して積極的に対応する能力は、関係を維持するために不可欠。
Responsivecnessとは、市場・顧客のニーズ・法令・急な成長/好長期にも適応出来る能力のことである。コンタクトセンターが市場や顧客の状況に対応しているほど、ビジネスの継続性を確保し、危機を克服し、ロイヤルティを向上させることができる。
Responsivecnessを開発するには、"その場にいることを約束する"こと以上のものが必要だ。それにはクラウドを利用した技術とプロセスが必要であり、世界が崩壊しても稼働できるようにしなければならない。
オムニチャネルオプション、スケーラブルな人員配置、簡易な在宅勤務のセットアップ、効率の良いルーティング、エージェントが楽に触れるデータ、そしてエージェントが解決に集中できるようにするというAI支援機能は、すべてResponsivenessのためのものである。これは、エージェントが顧客との関わりに集中できるように、自社の技術とプロセスを信頼できることから生まれる。

2. Empathy(共感)
顧客との関わりを持つには共感が必要不可欠である。共感とは、感情的な知性の一部であり、他人の感情を見分けて理解し、感じること。つまり、他人の状況に身をおいて想像し、なぜそのように感じるかを理解すること。
単に話を聞いたり質問に答えたりする以上の関係性をつくり、思いやりをもったコミュニケーションをとり、顧客が簡単にあなたのブランドにポジティブな感情を得やすいものにする。
また、それは人間らしくさせるものでもある。より多くの共感を得るためには、自然に共感を得れる人材を採用し、共感的にコミュニケーションするように訓練し、カスタマーサービス体験全体で意図的に共感を大切にする必要がある。
これは技術を含めて、決定するすべての物事の要素であるべきだ。コンタクトセンターのソリューションを導入する際にソフトウェア・アプリケーション・プロセスが、より共感を得やすくするためのものになっているかを判断する必要がある。
・本当のヒアリングに集中して顧客の力になることにおいて邪魔にならない技術になっているか?
・顧客が今いる場所(チャネル)でその瞬間に必要なデータを提供しているか?


より人間的な体験(HX)を提供する方法

より人間的な体験戦略の重要なアンカーとしてのResponsivenessとEmpathyをもって、クラウドコンタクトセンターテクノロジーがそれを提供する上でどのようにサポートすべきかについて、7つの側面から詳しく見ていく。

①know me
顧客は連絡するときに自分の履歴を把握しておいてほしいと思う。
顧客は自分自身を特定し、過去にあなたに連絡したときとその理由を繰り返したいと思わない。友人を認識して過去の話をするように、ブランド側が自分の履歴を認識していると大切にされていると感じる
コンタクトセンターは上記を実現するためのCRM機能やスクリーンポップを予め組み込んでおくべき。これによって情報検索の時間を共感を得る時間に変えられる。AI主導のエージェントアシストによる次善のアクションの提案、およびよりよいスクリプトを使用すれば、顧客の感情を知り、顧客とのエンゲージメントに集中できる

②meet me
8つ以上のチャネルを展開しているコールセンターは顧客満足度が92%向上し、1~4つのチャネルを提供していると50%の向上だった。
(※4)
音声、電子メール、SMS/テキスト、チャット、ビデオ、ソーシャルメッセージングアプリのいずれのチャネルであっても、顧客は自分の好きなチャネルで会ってほしいと思っている。電話の普及が続く中、顧客は明らかに電話接続するための最良の方法を選択できるオプションを求めている。

③empower me
コンタクトセンターはオムニチャネルだけでなく、ビジュアルIVRやナレッジセンターによるセルフサービスを提供すべきである。多くの顧客はエージェントと話すことなく解決策を見つけたいと考えている。
その課題に取り組む場合、顧客の時間や個人の好みを尊重することでHX(人間的な経験)を提供できる。顧客にセルフサービスを提供することで、コール数の増加の偏向やコールセンターコストを改善できる。

④remember me
顧客はチャネル同士がつながっていて、簡単に別のチャネルへ移動できるし、その際に同じことをしなくてもいいことや体験が切断されないことを望む。これは顧客が自分のことを知っていてほしい(know me)という願望に帰着する。コンタクトセンターは、CXジャーニー全体のオムニチャネルへ簡単につながり、かつ、各チャネル間を簡単に切り替えられるようにすべきだ。

⑤respect me
顧客は自分たちの時間を尊重してほしいと思っている。実現するためには、保留にしないことと、一回で解決することで、顧客の時間を節約する必要がある。
コールセンターは、自動的かつ正確にコール数を予測し、適切なエージェント数を配置するための包括的なマネジメントシステムを準備すべきだ。また、柔軟に行動できるエージェントのスケジューリングを活用して、急激なコール数の増加に耐えられるようにもすべきである。知能的なオムニチャネルルーティングにより初回問い合わせで解決できれば、正しい人数で、正しい回答時間で対応できるようになる。事前に構築されたUC統合機能により、UC機能を使用している専門家(SV)に簡単にアクセスすることができ、初回解決率は改善する。必要に応じてSVを直接会話に参加させることもできる。最終的には、顧客の問題を初回に解決することが顧客を尊重していることになる

⑥support me
より人間的な体験を提供するためには顧客のニーズを先取る必要がある。予約のリマインダー、フォローアップ、出荷の通知、商品在庫、バックオーダー、在庫切れの更新、サービス中断の通知を積極的に行うことは、顧客が連絡しなければいけない前に、顧客と積極的にコミュニケーションをとる方法の一部だ。積極的にコミュニケーションを取り、潜在的な問題が発生する前に解決できれば、より多くの顧客がサポートされていると感じるようになる

⑦assure me
顧客は必要としたときにそこにいることを保証してほしいと思っている。また、顧客は、データのプライバシーとサイバーセキュリティがしっかりと確保されており、安全で信頼性の高い体験を提供していること、そして顧客の安全を守るために何をしているのかを知りたいと思っている。コンタクトセンターは最新のセキュリティ認証を取得しており、データの安全性を確保していることを顧客に保証するために必要な自信を与えなければならない。

最後に

今日、顧客はブランドに対して、知られている、尊敬されている、大切にされていると感じさせるような素晴らしいカスタマーサービスを期待している。Responsivecness(応答性)とEmpathy(共感)を開発し、より人間的な体験をサポートできるクラウドコンタクトセンターを選択することで、ブランドを差別化できる。顧客はそれに気づき、評価し、ロイヤリティを高める。

--End--

※1
UC(ユニファイドコミュニケーション)は、「電話」「電子メール」「ビジネスチャット」「Web会議」「ビデオ会議」などの多様化するコミュニケーション手段を連絡先情報のデータをベースとして統合し、状況に応じて最適な手段を選択したり、複合して利用したりできるシステムのこと。

※2
このデータは、リサーチ会社であるガートナー社による以下の記事が参照元。別途解説したい。

※3
このデータは、five9社とZogby Analyticsが行った1000人の消費者へのアンケート結果が参照元。2018年、2019年も引き続き電話が最も好まれてる。
本記事では2019年版が引用されているが、2020年版も出てる。
こちらも次回以降解説予定。数値結果が見えるので面白いかも。(以下リンクはDLサイトへとびます)

※4
このデータは、Nemertes社というリサーチ・コンサルを行っている企業のレポートが参照元。読みたいけど高くて買えない。。$1,995 …

所感

ちょっとマーケ寄りな資料になってるので、まとめや論点が「ツールは重要」に意図的に帰着させるような書きぶりですが、学びはいくつかありました。

まず整理します。


・優れたCXは、①早くて簡単なやり取り・②正確な解決策の提示、である
・①②を支えるのは、オムニチャネル化を実現する "クラウド型コールセンタープラットフォーム" だ
・上記技術があるだけではダメで、より良いCXには「HX」が必要
・なぜなら、顧客は自身が支持したそのブランドが自身を大事に扱ってくれるか気にしているから
・大事に扱っているという体験(人間的な体験 = 「HX」)の促進はResponsivecness(応答)とEmpathy(共感)が重要な要素である
・さらに、それら2つの要素を "クラウド型コールセンタープラットフォーム" でどのように提供しているか、7つの観点で紹介する(Know Me、Meet Me、Empower Me、Remember Me、Respect Me、Support Me、Assure Me)

品質管理の観点で、当社コンタクトセンターには「Empathy(共感)」が不足していると感じました。
今回の記事では、それを技術(クラウドコールセンターシステム)的に揃えるべきという話が主眼ですが、技術でHXを提供できる環境が整っても、結局使うのは人(AI化しても管理するのは人)だし、受け手ももちろん人。サポートを提供する個人が「Empathy」し続ける必要があります。
当社は技術的にも未だ不足している環境ではありますが、現状の問い合わせに対する返信内容を見ると、"他人の状況に身をおいて想像し、なぜそのように感じるかを理解すること" ができてないものが散見されます。なんというか、対応フローが既にあってその「型」にはめにいくような対応になってしまっている感です。
今回の記事を読んで、共感性の教育に関する資料も探して読みたいです。

あと、電話が最も好まれているのは辛いなと率直に思いました。ただ、今回の記事では、セルフサービスを試す→埒が明かなくて直接話したい欲が高まる→電話、というルートが多いのではと書いていました。自身の体験としてもそれはあるなぁという感覚です。
そうであれば、乱暴に、電話するルートをかき消していくことは顧客体験としては悪で、セルフサービスの充実とバランスを見ながら工夫してく必要があると思いました。セルフサービスが充実しているかは、CES等の満足度スコア計測で把握する、で、把握した痛みを修正する。このサイクルをぐりぐり回すことにリソースをかけていくことになるのかなという想像です。(本当に電話する理由の大部分が上記であればですが)

当社は未だ顧客満足度と利益(顧客LTV)との相関性を調査してる段階です。ここにかけられるリソースが明確になったら、実態調査のうえでセルフサービス充実のためのサイクルを全力で回していく予定です。
シームレスな体験は本当にめちゃくちゃやっていきたい。(エフォートレス!)

おわり


次回は、Five9社とリサーチ会社が消費者アンケートを取った結果に関する記事を読もうと思ってます。(今回読んだ記事の引用元にもなってる記事)英語は得意ではないですが、ガンバリ。


CSチームでは、新規事業のCS/オペリードと、CS/オペレーション責任者を募集しています。お話するだけでも結構ですので、ご興味持っていただけた方はぜひお会いする機会を頂戴できるとありがたいです!


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