「日本の生産力の向上を実現したい」元リクルートワークス研究所『works』編集長が採用管理システムsonar ATSのThinkings CHROに就任
Thinkings株式会社の執行役員CHROに、リクルートワークス研究所が発行する『Works』の前編集長であり、HR業界に広い知見を持つ佐藤 邦彦氏が就任しました。
自社の採用強化はもとより、採用管理システム「sonar ATS」導入企業とともに、HR業界全体における人事業務の価値向上を目指す考えです。人事歴18年を超える佐藤さんの人事としての仕事観や、CHROとして成し遂げたいことについて聞きました。
―これまでのキャリアを教えてください。
新卒で入社した外資系コンサルティング会社で、業務改善やIT導入支援などのコンサルティングに従事する中で、人事領域に興味を持ち、株式会社アイ・エム・ジェイに未経験人事として入社。そこから現在まで一貫して人事に携わる仕事をしてきました。
成長フェーズの会社で「採用」「育成」「労務」「制度」の仕事をひと通り経験。2011年にIMAGICAグループに移り、グループ全体の採用・育成の効率化を担いました。その後、ライフネット生命と電通デジタルにて人事部長を務め、幅広い人事の業務やメンバーのマネジメントも経験しています。人事業務は分業縦割の会社も多いため、ここまですべてを経験している人事担当者は、そういないと思います。
2020年4月からは、リクルートワークス研究所の人事プロフェッショナルの研究雑誌『Works』編集長に就任。一社の人事業務ではなく業界全体を俯瞰できたため、人事業界の現状と課題、そして未来のあるべき姿も私なりに見えてきたように思います。人事の仕事をさらにアップデートさせていく一助になりたいと思い、2022年10月にThinkings株式会社にCHROとして参画することになりました。
―Thinkingsに入社をした理由はなんだったのでしょうか。
「sonar ATS」というサービスを通して、導入いただいている企業の人事業務の価値向上に貢献できると考えたからです。また、2社が統合したという珍しい歴史を持ち※、上場を目指す過渡期というThinkingsのタイミングも、とてもエキサイティングに感じました。
※2020年1月に2000年創業の株式会社インフォデックスと2013年創業のイグナイトアイ株式会社が合併しThikings株式会社となりました。
―具体的には、Thinkingsでどのようなことをやっていきたいですか?。
日本企業は採用したあと、個々人の能力を開花させることが苦手です。日本独自の、総合職採用という概念が、プロフェッショナルを育てにくい要因になっているかもしれません。採用したあと、人材をどう活かすかが、今後のHR業界に求められることだと考えています。
Thinkingsが提供する「sonar ATS」は、新規採用の管理はもちろんのこと、社内で人員を募集する際の「社内公募」の管理システムとしても活用できます。拡張性が高いので、人材を活かす領域でも貢献できるんです。
このような、創造的な使い方ができるsonar ATSの機能と、私の培ってきた人事の視点を活かし、仲間とともに、HR業界全体の底上げを目指したいですね。自社の業務だけでなく、あらゆる企業の人事業務に貢献していきたいという想いが強いです。
さらに、上場を目指す成長フェーズの会社で、裁量を持って現場に入れることもとても楽しみです。人事の全業務をCHROという立場で担えるこの貴重なチャンスを活かし、Thinkingsのさらなる成長にも貢献していきたいですね。
―長年、人事をご経験されてきた佐藤さんが考える「人事」に必要なスキルとは何でしょうか。
「3C」というフレームワークがありますよね。基礎中の基礎なのですが、その3つをきちんと理解して仕事を進めることがとても重要だと思います。
3Cの1つめは「Company(自社)」です。自分が勤める会社がどんな事業をしていて、どんな人が集まっていて、どんな歴史があるのか。そして何が魅力なのか。人事に関わらず、自社の理解ができていないビジネスパーソンは意外と多いんです。しかし自社のことを知らないのに、商品を売ったり、開発したり、また人を採用することなどできるわけがありません。
2つめは「Competitor(競合)」です。事業の競合の他に、採用にも競合がいますね。
そして最後が「Consumer(顧客)」。求職者や従業員がここにあたります。当たり前すぎるように思うかも知れませんが、この3つの軸を理解できているか改めて考えてみてください。
例えば労務や制度設計に置き換えると、提供先の「Consumer」は従業員でもあり、経営陣でもあります。人件費を下げたいと思っている経営者と、給与を上げてほしいと思っている従業員。人事からすると両方が「お客さま」なのです。お互いの相反する要望にどう折り合いをつけて制度構築を遂行していくか。経営において非常に重要なことにも関わらず、丁寧にできる人は少ないですね。
―佐藤さんは、人事の仕事である「採用」「育成」「労務」「制度」をすべて経験されていますが、どの領域が最も大事なのでしょうか?
企業のフェーズによって重要なウエイトは異なります。
例えば、スタートアップ企業では採用が重視されますよね。その分、採用に重きを置き過ぎてしまい、「入社した人材のケア」に手が回っていない会社が多いです。そのケアに紐づいてくるのが人事制度運用です。制度がうまく運用されていないと、「どんなキャリアを描けるのか分からない」「どんな評価をされるのか分からない」と社員が感じてしまう。せっかく採用しても定着しない悪循環に陥るケースも多いですね。
成熟期を迎えた会社では、緩かった「評価制度」を適正にするために、労務や人事制度の重みが増す会社もあります。加えて、採用難の時代ですから、“今いる人材をどう活用するか“に改めて向き合う必要性が出てきます。
さらには規模が大きい会社になると、配置により能力を発揮できていない人材が一定数出てしまいます。「不活性人材」とも呼びますね。この人達に、どうモチベーションを上げてもらうかが生産力を上げる鍵です。
人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出す「人的資本経営」とはまさにこのことです。
―佐藤さんが考える、キャリアのあり方について教えてください。
「キャリア自律」が必須の時代が来ると思っています。「キャリア自律」とは、働く個人が自らのキャリアについて主体的に考え、自らのキャリアに責任を持ち、自らキャリア形成に取り組んでいる状態のことです。
欧米の「ワークコミット」の考え方に対して、日本では「組織コミット」が求められます。
しかし組織に面倒をみてもらえる状態で雇用されていても、「キャリア自律」は養われません。例えば、すべての仕事に“有期雇用5年”と期間を設けるなど、思い切った仕組みが必要かも知れません。
終身雇用で守られていると思うと、どうしても向上心が薄れ受け身になってしまう。数年単位で区切れば、目標と今すべきことがイメージしやすくなり、自然と自分のキャリアに対しての意識が高まっていくのではないかと思うんです。
会社の用意したレールで過ごす40年と、「キャリア自律」をして過ごす40年では濃度が全く違います。きっと年収も変わってくるでしょう。仕組みを変えることはなかなか難しいでしょうが、「キャリア自律」の考え方は、多くのHR業界の方と関われるThinkingsでのキャリアを通じて発信していきたいですね。
―「5年ごと」の方向転換は佐藤さんのキャリアともリンクしていて面白いですね。新卒3年目で人事の道を選択したことやこれまでのキャリアについて、今どう考えていますか?
結果的には向いていたと思っていますが、人事の道はたまたまでした。正解を探すというよりは、選んだ道を正解にしてきたという感覚でしょうか。この選択をして良かったと思えるところまで、失敗を繰り返しながらも諦めないこと。そして少しでもプラスが上回る状態にすること。そうすることで、キャリアはいくらでも正解にできます。今いる道に確証がもてない人や、不満がある人は、考え方を変えてみてもいいかもしれないですね。
—今後、ThinkingsのCHROとして目指すことを教えてください。
ヒト・モノ・カネ・情報は企業の4つの経営資源と呼ばれますが、これまではカネやモノが特に重要とされていました。しかし現代では「ヒト」のウエイトが年々増えています。つまり人事の仕事も重要性が増しているんです。
Thinkingsの業務では、多くの人事と関わることができます。人事の仕事の価値をさらに高めたり、より成果が出やすい状態を創れるのではと思っています。
また、人生において重要な要素を締める「働くこと」を楽しくしていきたいですね。日本は幸福度が低い国だと言われます。ですがワクワクしながら働き、仕事が楽しみになれば、もっと幸福を感じやすくなるはず。
ThinkingsのCHRO業務を通じて、人事のやりがいの向上と、その先にある日本の生産力の向上までをいつか実現できたら最高です。
Thinkings株式会社は、『誰もが意志ある仕事をするために誰もが使える方法をつくる』というミッションのもと、採用管理システム「sonar ATS」を中心とした、HRTechカンパニーです。テクノロジーの力で『採用業界のインフラをつくる』仲間を募集しています。
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