ストレッチーズメイン

漫才を一直線にやっていけると確信を持てたストレッチーズ、新たな目標は?

今回は福島敏貴さんと高木貫太さんによるコンビ、ストレッチーズさんをインタビューしてきました。M-1の振り返りや幼少期の話、来年の展望などをじっくり伺ってきたので最後までご覧ください。

『笑あがき』で学んだこと

立川:お2人は2年前にNHKで放送されていた漫才の指導やダメ出しを先輩芸人からしてもらってネタを強化していく『笑あがき』に出演されてましたよね。まずはパンクブーブーさんに教えてもらった前後で変わったことを教えてください。

髙木:パンクブーブーさんには笑いやすいリズムで台本を作るということを教わりました。今まではボケのおもしろさを考えたりしてたんですけど、リズムを意識して台詞をできるだけ短くすることを考えるようになりました。

立川:それを意識して成果が出た実感はありますか?

髙木:たしかに安定してウケるようになったのはそれ以降かもしれないです。

福島:僕らは漫才が下手だから、ウケるためには奇をてらったことをやらなきゃいけないと思ってたんです。でも「おまえらは俺らに似てるかもしれない。上手いし器用だから俺らみたいに会場を盛り上げて、M-1とかでも決勝にいこう」みたいに言われたんですよ。そっちのタイプに見られてるんだってことを初めて人から言われたし、しかもM-1王者からだったのですごく驚きました。

髙木:当時は流行りそうなフレーズを入れまくったりとか、変なキャラクターを入れてみたりとかしてた時期だったので、一直線に漫才をやっててもいけるんだと希望が持てました

立川:成功した方の意見ですもんね。ちなみに以前はどんなキャラクターでやってたんですか?

髙木:「〇〇すぎ」ってツッコむやつとかですね。例えば、赤すぎとか。本当にウケなくて、最後苦し紛れに「ウケなさすぎ」と言ってウケる感じでした。

福島:あとネタの設定に入る前にお客さんに「メモの準備はいいですか?」と言ったりするのとか。

髙木:福島が完全にセンターマイクの前に立って僕がその真後ろに立って、後ろから福島の頭を叩くってネタはほぼ全員にやめろって言われましたね(笑)

福島:1個本当に流行らせたいなと思ったのは、ネタの最後に「ごきげん養老孟司」と言うのがあるんですけど、これは1回もウケなかったです。「バカの壁」で10年以上前にベストセラーになった方ですね。

髙木:養老孟司がニッチ過ぎる(笑)名前を言われただけじゃピンとこないから養老孟司さんもびっくりしてるよ。

ストレッチーズ②

今年のM-1は初めて準決勝を意識した

立川:M-1では3回戦の動画を見たらめちゃくちゃウケてたので、もっと勝ち上がると思ってました。今年は特に今までとは違う思いがあったりしますか?

髙木:毎年M-1は力を注いでるつもりではあるんですけど、去年は結構良いネタができて、本当に手応えがあったんですよ。でも2回戦で落ちて凹みすぎちゃって、結局追加合格で上がれたんですけど、M-1を意識しすぎちゃったなと思いました。

今年は気楽にいけるところまでいこうみたいに進んでいったんですよ。そしたら3回戦ですごいウケたので急に焦りだして、初めて準決勝とか上を意識した年でした。結局準々決勝で負けちゃったので、来年こそって感じですね。

立川:ネタ作りで1番意識してることは何ですか?

髙木:ここ2年くらいは新ネタを6本おろすライブをしてるんですけど、そこでは自分がお客さんで見に来て来てよかったなと思うかどうかを意識してます。

立川:ネタを作ってるのは高木さんですか?

髙木:そうですね、最初の台本は大体作ってきて、そこにボケを足してもらったり言い方を変えてもらったりしてます。

立川:ネタに関してアドバイスしてくれる人は周りにいますか?

髙木:事務所の先輩もライブとかネタ見せのたびに言ってくれるんですけど、1番お世話になってるのはヤマザキモータースさん。ヤマザキさん主催のライブにも月に何回か出てますし、ネタ見せも別でやらせてくれたり定期的にネタのダメ出しはいただいてて、ほとんどのネタを見ていただいたと思います。

立川:同世代の芸人さんで特に意識してる人は誰ですか?

髙木:最近は漫才師が多いので、自ずと切磋琢磨できる良い環境だと思います。まず同期の宮下草薙さすらいラビーに関しては前の事務所から同じでずっと仲良くやってるし、他にも納言とか、ジョウダンアオナナテンパイとか…

福島:出し忘れてる人いない?ノブナガは言った?

髙木:ノブナガは映画ばっか撮ってるからいいんじゃない?(笑)

髙木②

『男はつらいよ』にあやかって…

立川:福島さんは日本酒検定をとったり、ビールを1年間禁止されたりしてましたが、きっかけは何でしょうか?お酒はずっと好きなんですか?

福島:よくご存知ですね。ビール禁止の方が先です。ヤマザキモータースさんの紹介で事務所の大先輩の上島竜兵さんとちょくちょく飲ませていただいてるんですけど、最初はあまり話題がなかったんですよ。だから仲良くなるために上島さんが1番好きな『男はつらいよ』の全話を1ヶ月くらいで見て、上島さんとの話題もできたし、僕自身も『男はつらいよ』にハマってしまったんです。

作者の渥美清さんに関するエピソードで、ある神社で「酒と煙草を一生やめるから仕事をください」と懇願したら、その日の夜に『男はつらいよ』の仕事がきたという話があるんですけど、僕も酒と煙草をやってるのでそれを真似してみたいと思ったんです。でもどっちもやめるのは厳しいなと。『男はつらいよ』ほど仕事はもらえなくていいので、ちょっとあやかってビールを1年やめるに至りました。

髙木:ビールだけっていうのが甘いんだよな。酒は飲めるんだって思っちゃう。

福島:でも結構きつかったよ。1番好きな飲み物だし、打ち上げだったら最初はビールだったりするし。それが1年間1滴も飲めない。発泡酒もホッピーももちろんダメで…

髙木:自分で勝手に決めたルールじゃん!(笑)

福島:それでビールをやめてる間にいろいろなお酒を楽しんでる中で、日本酒にハマったんですよ。それもあって、日本酒検定3級を取りました。

立川:上島さんはどんなアドバイスをしてくれますか?

福島:「まずはネタ頑張ろう」とか、「おまえらなら大丈夫だよ」とか、明るい言葉をかけてくれます。僕は今28歳で芸歴6年目の若手芸人としてやってますけど、上島さんが28歳のときはTVに出てるし食えてる状態だから「もう全然若手じゃねえぞ」みたいに発破を掛けてくださる貴重な存在ですね。

立川:すごく良い関係ですね。どれくらいの頻度で会ってますか?

福島:月に1、2回ですね。一緒に仕事したことはほとんどないので、忘れられないように頑張ってます。自分から電話するのがほとんどです。こないだ、名古屋の御園座でダチョウ倶楽部さんが一座旗揚げ公演で西遊記の舞台をやられてたんですけど、それも夜行バスで観に行きました。

立川:高木さんはかわいがってくれてる先輩はいますか?

髙木:僕は最近アルピーの酒井さんによく飲みに連れて行ってもらってます。同じ事務所だとパニーニの木坂さんとは家が近くて、よく2人でも飲みに行ったりします。あとアントワネットの王子は芸歴0年目の頃からずっと仲良くしてくれて、毎年年の瀬は銭湯に一緒に行って、「今年王子がかわいがった後輩ランキング」では毎年1位が僕になるっていうくだりがあります(笑)

立川:福島さんは菊田軍団ですよね。最近は集まってますか?

福島:夏前にほぼ全員でディズニーに行ったんですけど、それ以来集まってないです。菊田軍団は一緒にディズニーへ行く集団かもしれません(笑)あとは引っ越し祝とか、節目ごとに集まってますね。

立川:ハナコさんがモリエールで単独やったときに僕も現場にいたんですけど、本公演の前に菊田軍団ライブみたいなのやってましたよね。

福島:なぜかジグザグジギーの池田さんも来て(笑)、菊田さんが当時毎日あげてた動画で菊田軍団メンバーの好きなものをランキング形式で紹介してましたね。

福島

幼少期に見てたテレビ番組

立川:趣味関連のライブとかやったりしてますか?

福島:僕はやってないですね。

髙木:僕はぷよぷよが好きなんですけど、ぷよぷよ好きな芸人が何人かいるので、ぷよぷよのライブをしようって話はちょっと持ち上がってます。真空ジェシカの川北さんとか、ママタルトは2人共やるし、さすらいラビーの中田とか。eスポーツで盛り上がってるので、仕事に繋がると嬉しいですね。

立川:僕、ストレッチーズさんが出演されていたオールナイトライブで髙木さんが幼少期に『ドラえもん』、『サザエさん』、『ちびまる子ちゃん』を見せてもらえなかったと言っててめちゃくちゃ驚いたんですよ。

髙木:そんなの見に来てくださってるんですか?僕本当にサザエさんは通して30分見たことないんですよ。雰囲気はわかりますけど、具体的な話は1話もわからなくて。

立川:トム・ブラウンのネタ全然わからないじゃないですか(笑)

髙木:母がめちゃくちゃ尖ってて、サザエさんとかはおもしろくないって言ってたんですよ。その代わり爆笑オンエアバトルとかロンハーとかは見せてもらってました。教育がどうこうじゃなくて、単純におもしろいものしか見せたくなかったらしいです。だからサザエさんの三河屋とかも1週間くらい前に知りました。裏口から入ってくるんですよね。

ライブで大喜利の企画とかあるじゃないですか。そこでたまにMCをやらせていただくんですけど、ボケでサザエさんネタも出るじゃないですか。いつもヒヤヒヤしながら回してます(笑)

立川:なるほど(笑)福島さんは自分の家だけの変なルールはありますか?

福島:僕は逆にネタ番組をほとんど見れなかったので、オンエアバトルはプロになってから初めて見ました。バラエティやエンタは見てましたけど、全部は見てないというか、やってたら見るみたいな。親はそもそも芸人さんをあまり知らないんですよ。大学卒業してプロになると言ったら猛反対されて、そのときに「お笑いで食えてるのはたけししかいない」と言われて。

髙木:そんなことないわ(笑)

福島:それで何も言い返さなかったら「あと、さんまも食えてるか」と言われました。一応親の中でその2人は食えてるみたいですね。タモリさんは食えてないみたいです(笑)

髙木:そんなことない(笑)それに比べたらうちの母は1年目くらいのときに「最近ライブ誰と出てるの?」と聞いてきたので、知らないだろうと思って名前を出したら「ジャイアントジャイアンと同じライブに出てるの!?」とめちゃくちゃテンション上がってました。

髙木

2020年はYouTubeチャンネルを開設予定

立川:オーディションとかで特技を披露するとき何をやってますか?

髙木:それが全然ないんですよ。芸歴6年目なんですけど、永遠に福島の「50音を言われたらそれから始まるドッチボールチームが言える」という特技の1本勝負でやってます。情けない話ですよ(笑)

立川:プロフィールを見て何だろうと思いました(笑)実業団ってことですか?

福島:いや、小学生のクラブチームみたいなのが基本ですね。全国的にあって、僕は埼玉県の学校なんですけど、一応全国大会に3回出場してるんですよ。平日は週3日練習して土日は必ず遠征で、それもあってTVを見る時間がなかったというか。当時、ドッチボールチーム名でゲームをして遊んでたので、それが今でも身に染み付いてるんですよ。1本勝負といいながらこれでTVに出たことはないですね(笑)

髙木:たしかにそうだね(笑)弱点があって、僕らが小学生のときのデータだから真偽がわからないんですよ。一応Googleで検索したら出てきますよってフォローは入れてるんですけど…

坂本:その特技、おもしろいですけどね(笑)最後に2020年に向けて考えてる企画があったら教えてください。

髙木:企画とまでは言わないですけど、YouTubeにネタを上げたいと思います。スーパーマラドーナさんがYouTubeチャンネルでM-1の若手有力候補として僕らの名前を出してくださったんですけど、それを見た人たちがYouTubeで僕らのネタを検索するじゃないですか。でも学生時代にやってた全然意味わかんないやつが1番上に出てくるんですよ。そのコメント欄に「スーマラからきました」ってコメントに書いてあって、これは見ないでって思うんですよ(笑)なのでライブも大事ですし、TVも出たいですけど、YouTubeにもネタを上げてより多くの人に漫才を見てほしいと思います。

ネタ番組とかもたくさん出たいですね。周りの芸人さんから「大体ネタ番組一周したよね」と言われるんですけど、全然出てないんですよ。それに乗じてネタ番組一周したヅラしてるんですけど(笑)

福島:『にちようチャップリン』と『前略、西東さん』くらいだよね。

髙木:全然出てないのでもっと出たいです。ネタしかやってきてないと言っても過言ではないので、これからは見てもらう機会を増やしていきたいと思います。


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