ママタルト

「大鶴肥満を王にしたい!」大喜利に定評のある檜原が周囲の反対を押し切ってママタルトを結成した理由

大喜利が強い檜原さんと体重160kgの超巨漢の粕谷さんのコンビ、ママタルトさんをインタビューしました。コンビ結成秘話や大喜利についての興味深い話もありますので是非ご覧ください!

コロチキの結成エピソードが結成の決め手

立川:まずは結成秘話をお伺いしたいです。

粕谷:出会ったのはキズマシーンさん主催の『ギリマシーン』という大喜利ライブです。僕は当時太田プロの養成所でコンビを組んでたんですけど、そのライブにはピンで誘われてたんですよ。そしたら相方も同じくピンで参加してて。

檜原:僕は当時サンストレンジというコンビを解散して、誰かいい人いないかなって探してたんです。大学1年生のときに大阪の吉本をアマチュアで受けてたこともあって、33期生の霜降り明星やZAZYと友達なんですけど、ZAZYがガキ使の「山-1グランプリ」で優勝した日の夜に飲んだんです。そこで次の相方で悩んでるって話をしたら、コロコロチキチキペッパーズの話になったんですよ。西野くんは最初から優秀だったんですけど、ナダルさんは相浦さんって呼ぶくらい年上で、距離も遠くて評価もイマイチだったから、その2人が組んだときはみんなが疑問に思ってました。でも西野くんは「相浦さんは声が良いんで、そこが多分世間にハマる気がするんです」みたいに話してて結果売れたので、「檜原も声が良いとか太いとか特徴があるやつを探した方がいい」と言われて、その次の日にいたんですよ。太ったやつが。それで「俺は大鶴肥満を王にさせたいんだ。今のコンビも解散した方がいい」と口説いて。

粕谷:当時組んでたコンビもちょっとうまくいかなくて、王にすると言われたときに、今の相方は僕を王にしてくれないと思って(笑)解散して組み直したんですよ。

檜原:それで当時は太田の養成所に通ってたんですけど所属できなくて、そこからすぐサンミュージックに拾っていただきました。

粕谷:ネタ見せに行ったとき「こんな清潔感のあるデブは初めて見た」と言われました(笑)

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立川:お2人はそれぞれ学生お笑いをやってましたが、それについても少し聞かせてください。

檜原:僕が通ってた大学にはお笑いサークルはなかったんですけど、落研にいた天才落語家を一緒に吉本受けに行こうって誘いましたね。でも断られちゃって、ちょうどそのとき東京で「わらいのゼミナール」という大学生お笑いの大会があって、そこで選抜メンバーに入ると「学生HEROES!」という番組に出られるらしいと聞いて、みんなでオーディションを受けに行きました。そこからやっと大学生お笑いと触れ合うようになりました。サークルがどうだとかイマイチよくわかってなかったんですけど、相方は結構ちゃんとやってましたね。

立川:粕谷さんは学生お笑いをやってたときの芸名は大鶴肥満だったんですか?

粕谷:いや、粕谷明弘として本名で、粕谷とテラオカって子で「カステラ」ってコンビでやってました。ずっと野球漫才をやってたんですけど、スラッシュパイルの片山勝三さんに「いつまでこんなことやってんの?」と言われて、全然気に入られてなかったんですよ(笑)

檜原:僕は相方の大学生時代の成績は一切知らないんですよ。だから大鶴肥満と組むって言ったら「絶対やめといた方がいい」と言われたんです。でもそこはコロチキさんの話を聞いたばかりだったので、逆にみんなが良くないって言う人こそ良いはずだと。「太ってるだろ!」と説き伏せたんですよ。

立川:僕当時『大喜利千景』結構観に行ってたんですよ。だからここ組んだんだみたいなところはちょっとありました。

粕谷:エゴサーチ大好きなので、「大鶴肥満」で検索したら「檜原さん大鶴肥満と組むの!?」って声が多かったですね。こいつなんかが檜原と組めるわけないだろって組んだ当初は結構白い目で見られてました。

立川:霜降り明星の最初みたいな感じですよね。

檜原:霜降りと違うのは、僕は別にそんな活躍してなかったんですけど(笑)

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衣装のピンクのジャケットの裏地には「粕谷」でなく「大鶴」と刺繍が施されている

体重160キロで堂々とデブネタを披露

立川:大鶴肥満という芸名はいつから使ってるんですか?

粕谷:大学3年生の頃、「粕谷は大鶴義丹に絶対似てるよ」と言い続けてた先輩がいたので、いいとものそっくりさんカーニバルのオーディションへ行ったんですよ。そしたらめちゃくちゃウケて、いいともに出れたんです。一応、動画あります。昔の写真を見るとすごいガリガリに見えるんですよね。このとき120キロで今より40キロ細いんですよ。

大鶴義丹

立川:恰幅の良さはあるけどすごい太ってるって感じはありませんね。

粕谷:これがきっかけで大鶴肥満になりました。最近Twitterで「大鶴肥満さんて大鶴義丹さんに似てる気がしてきた。だからちょっと名前似てるのかな」って自力で導き出せた人がいたんです。すごくおもしろくて、そうなのよって思っちゃいました(笑)大鶴肥満って名前が功を奏したというか、すごい良い名前って言われます。

立川:太ってて日常で困ったこととかありますか?

粕谷:僕はネタ中にコケたり、誰かがボケたらみんなで転んだりするシーンが好きなんですけど、あれをやると最近はおもしろさよりも心配が勝るようになってしまったのが今1番の悩みですね。でもすごい健康体なんですよ。今年の年明けに入院しちゃったんですけど、肥満とはまったく関係ない喘息が原因なんです。そのときに血液検査とかいろいろ検査した結果、全部正常ですって言われました。体脂肪率は太ってるからどうしても高く見えちゃうけど、血圧も血糖値も普通。だけど医者は痩せさせたいと思ってるから、「今だけですからね」と負け惜しみを言われました(笑)

檜原:一節によると、普通の人は160キロまでいく途中で絶対体に異変があるんですって。遺伝子の問題で、160キロまで太ることに体がついていかない人がほとんどなんですよ。だから160キロまでいけるっていうのは、生まれついた遺伝子が最強だからなんです。

粕谷:高校生のときにビリーズブートキャンプが流行ってて、あれをやってはやめてを繰り返してたら筋肉と脂肪の断層ができて、そこから痩せにくくなったんですよ。社会人になってからは不摂生で150キロまでいっちゃって、『ダイエット・ヴィレッジ』っていうダイエット番組に参加して1ヶ月間で16キロ痩せたんです。そこでめちゃくちゃ筋肉がついて健康を取り戻したんですけど、1回痩せると150キロが限界だったのに、上限突破して160キロになっちゃいました。サイヤ人が一回死にかけたら強くなるのと同じで、そういうちょっとしたダイエットの蓄積がより大きいリバウンドになるんです。

檜原:デブを自虐するようなコンビって他にもいっぱいいるんですけど、ネタがおもしろいっていう以前に1番太ってるっていう自負がありますね。これが100キロだったら、本当にデブって言っていいのかなと思うけど、160キロあったら堂々と太り過ぎって言えるってそこのアドバンテージがあります。

粕谷:M-1の2回戦を全部見た日があって、4組くらいデブネタやってる人がいたんですけど、フッ(鼻で笑う)て。そんなんでデブって言ってるの?日常生活が困るくらいじゃないとだめだよみたいな(笑)

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檜原:相方はダンロップっていうおじいちゃんが履くようなスニーカー履いてるんですけど、最初はかっこ悪いしあんまり若者でこれ履いてる人いないって指摘してたんです。でも普通のコンバースとかのスニーカーは1ヶ月で履きつぶしちゃうらしくて。

粕谷:このダンロップのスニーカーは1年近く履けてるんですよ。最強の靴ですね。まあおしゃれできないってのはあります。消耗するので、おしゃれな人と同じくらいお金は使ってるんですよ。

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坂本:洋服はどこで買ってるんですか?

粕谷:サカゼンです。サイズはサカゼン独自の単位があって、サカゼンだと4Lなんですけど、世間一般だと8Lなんです。2L以下はXLで表記してて、一般的な2XLが3L、4L、3XLで6L、4XLで8Lみたいな。たまにそれじゃない表記のLもあって、これはどっちの表記かなみたいな。

檜原:サカゼンの中でいろんなLがあるんですよ。

粕谷:わかんなくなっちゃうんですよね。サカゼンは各フロアの試着質に扇風機付いてますし、給水コーナーもあるんですよ。今でも多分冷房付いてますね。

立川:11月でも?

粕谷:そうですね。今、本当に涼しい夏なんで。

ネタの台本は大喜利の箇条書き

立川:大喜利はどういう感じで始めたんですか?

檜原:僕は中学生のときに「千原ジュニアの題と解」を買ってもらったのが最初です。ラジオの大喜利コーナーでも、中3のときからめちゃくちゃ読まれるようになって、そこからアマチュアの大会に出るようになったり、高校生のときはモバゲーの大喜利のコミュニティに入ったりしてました。

粕谷:僕は大喜利が何なのか全然わからなくて、携帯大喜利も見てる分にはいいけど全然読まれないし、お笑いサークルでも大喜利はできなかった。今は相方の大喜利を見て、こうやって考えていけばいいのかってわかってきましたね。全然まだまだですけど。

立川:大喜利のコツとか、慣れてない人にレクチャーするならどう説明しますか?

檜原:これまでの経験でなんとなく気づいたんですけど、「大喜利は声の大きさと字の大きさとトーンが大事で、書く内容は正直大喜利の本を流し読みしたら全員一緒」なんじゃないかなと思います。それだけでまずは最低ラインは全員超えることができる。内容はその場で考えてるというより、昔見たことあるものを自分の言葉で言い直すっていう感覚が多いです。
例えば「こんな唐揚げは嫌だ」ってお題のとき、みんなは「唐揚げ」の引き出しを探すんですけど、そんなものはないんですよ。だから僕は「嫌」って感情から考えるんです。感情から考えると昔見たボケにすぐたどりつくので、それを唐揚げに置き換えるんです。

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檜原:あとは動物とかごはんとか基本幸せになるものがある答えはすべりにくいと思います。おもしろいかどうかというより、ほっこりする。そうすると嫌な気持ちにならないので。

立川:大喜利が得意なことはネタ作りにも影響してますか?

檜原:結構いろんな人と話してて、ネタの作り方は違うなと思います。例えばガストでステーキを1キロ注文するってボケがあったとします。そのボケを言うためにメニューを開かなきゃいけないじゃないですか。でもメニューを普通に開いたら、そのくだりが時間の無駄になってしまうと思って、メニューを開くところにもう1個ボケを考えるんです。そうやって全部ボケないといけないみたいな考えは大喜利してるからだと思います。
よくあるのが、ウケなかったボケを外して新たにウケるボケを入れたりすると、辻褄がどんどん合わなくなってくるんですよ。ステーキを1キロ頼むってボケはウケなかったけど、メニューを開くボケはウケた場合は、意味が通るように注文するっていうボケは入れなきゃいけない、みたいな。

使う

立川:サンドウィッチマンさんも同じようなことを言ってたような気がします。他の方を見ててネタの作り方が下手だなと思うときもありますか?

檜原:いや、自分が1番下手だなと思いますね。本当は普通の会話がスムーズに続いてる方がいいはずのところも全部ボケる方がいいと思っちゃうので。

粕谷:相方はネタを書かなくて、ネタの台本はここのボケはこの大喜利でいくからっていう大喜利の箇条書きなんです。そういえば、単独ライブのときは10個のネタをやったんですけど、そのうち1回やったことあるのが3、4本くらいで残りは完全新作だったんですよ。それを16時に渡されて、覚えながら会場設営したりして、練習しないで説明だけされたネタもありました。でも本番はアドレナリンが出てたからか飛ばさずにできましたね。あと記憶力はめっちゃあります。新ネタ2本ライブが毎月あるんですけど、それもギリギリに渡されて1回だけやって出るっていう。

立川:なんでもっと前に教えないんですか?

檜原:ギリギリまで作ってたんです。最近見てたら真空ジェシカも19時開演のライブで18時の時点でカワマタさんはネタを一切知らんないんだって。でも相方より速く覚えてて。

粕谷:彼はツッコミだから覚えやすくて、うちは僕主導のボケがあるから、それを比べたら失礼だよ(笑)多分ネタがその人に合ってるからできると思うんですよ。

立川:なるほど。では最後に来年の目標を聞かせていただきたいです。

檜原:単独を4本くらいやりたいですね。季節に1回のペースで。サンミュージックって東京の事務所で唯一くらい、単独の売上を全部もらえるんですよ。だから、単独ライブを頑張ったらこれで生活できる可能性があるんです。

粕谷:僕は芸人草野球チームに入ってるんですけど、ホームランを打ちたいなって思ってます。

立川:そのチームには誰がいるんですか?

粕谷:伊集院さんがいて、ブッチャーブラザーズさんが会長みたいな感じなんですけど、他にも吉本のチームとか太田プロのチーム、ワタナベのチームと9チームくらいあって、先月から参加し始めたんです。ジャイアンツ時代の松井のユニホームを着て、松井選手として参加してます。帽子も4000円くらいして。

檜原:あんまり草野球ではないみたいなんですけど、すごい太った松井がいるからって野次馬がめちゃくちゃ集まったらしいんです。帽子も僕が1500円負担したり、バッティングセンターへ行くのも僕がお金出したりしてます。ホームランバッターになってもらいたくて。来週の試合は僕もビデオ撮りに行くんですよ。

粕谷:ホームランを打つためにすごい投資してくれるんですよ。来週は西戸山公園野球場ですね。西戸山公園野球場はフェンスがすごい高いんで、なかなか厳しい球場ではあるんですけど、もしかしたらまた野次馬がいっぱい来てくれるかもしれません。

立川:何てチーム名ですか?

粕谷:ヒーツっていうチームです。最初は芸人だけの野球チームを作ろうって話だったんですけど、どっかのチームが急に芸人でもない元高校球児を連れてきたんですよ。俳優さんとかも入り始めて、最終的には普通の現役大学生が野球をしにきて殺伐として(笑)そんな中で唯一初心者が入れて、見た目だけで4番にしてくれた優しいチームなんですよ。

坂本:今度観に行きますか!

檜原:草野球としてもレベルが高くておもしろいらしいですよ。次の対戦チームがそんなに強くないチームで。

粕谷:だからもしかしたらホームラン出るかも知れないですね。

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【ママタルトプロフィール】
2016年に結成したサンミュージックプロダクション所属のコンビ。檜原は大喜利が得意で「喜利ン児」「終喜利」といった多くの大喜利ライブにピンで出演。TBSラジオの「マイナビ ラフターナイト」では2019年9月度の月間チャンピオンに輝き、11月23日には「第5回チャンピオンLIVE」に出演が予定されている。


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