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今、大学お笑い界がアツい!vol.3 決勝進出者アンケート・後編


「全国イチ面白いサークル」を決める大会、NOROSHI決勝が中止になったことを受けて実施した緊急アンケート。今回は前回に引き続き後編として、早稲田大学お笑い工房LUDOのチームテリー・ザ・キッド、チーム牛王と、創価大学落語研究会のチーム山桜のアンケート結果・コメントを掲載します。一部チームからはネタの動画も提供していただきました。ネタを拝見した現役若手放送作家・立川からのコメントも合わせてご覧ください。また、記事の最後にはNOROSHI運営委員会の方からの公式コメントも掲載しています。

前編はこちら

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早稲田大学お笑い工房LUDO・チームテリー・ザ・キッド(リンドバーグ/ラスカ/マウスジャズピアニスト)

──チーム結成秘話を教えてください。

僕らのサークルは歴代の先輩方が結果を残し続けてきたこともあって、大会に勝つことを最優先にチームを組む雰囲気がありますが、このチームに関しては勝つことはもちろんですが、ネタ合わせが楽しいだろうなと思って一番信頼している同期と大好きな後輩を誘いました。(リンドバーグ/舛谷建)

お互いがお互いを面白いと思える関係だったので、自然とチームを組んでいました。(リンドバーグ/中山将吾)

漫才は4年コンビ、コントも片方4年なので、一応形はLUDOの4年チームとして作り始めました。LUDOはピンが毎年足りないので、皆大好きかつ実力ポテンシャルのイメージ先行で、3年都築君に新たにピンをやってもらうことをお願いしてこのチームになりました。(ラスカ/玉井星音)

互いに惹かれあった(ラスカ /加藤俊甫)

──結成から現在まで、チーム内での印象的なエピソードはありますか?

普段トリオでコントをやっている後輩を無理やり誘ってピンをやってもらったのですが、中々ネタが仕上がらず、やばいやばいと言いながらその後輩の家にみんなで集まって泊まりがけでネタを作ろうとしたのですが、鍋をしながらテラスハウスを観たあと全員寝たのは印象的な出来事です。後日ちゃんと作りました。(リンドバーグ/舛谷建)

気心の知れた友人達と初めて予選を勝ち上がれたことがやはり嬉しかったです。(リンドバーグ/中山将吾)

ピンはNOROSHIの為に今回作ったものなのですが、その割に挑戦的で変すぎるピンネタなので、毎回本番前日皆で深刻な顔で話し合った記憶があります。(それ含め楽しかったです。)決勝が決まった緞帳裏で、都築君が恐らく喜びでは無い感情で地面に1人膝をついていたのを思い出すと笑ってしまいます。(ラスカ/玉井星音)

予選であまりウケなかった時、チームのメンバーである先輩から可哀想と言われた(マウスジャズピアニスト/都築聡司朗)


──後輩へのメッセージをお願いします。

後輩には、他人の悪口ばかり言っていないか、なんでも人のせいにしていないか、きちんとありがとうを言えているか、信号を無視していないか等、自分の日頃の行いを反省し、ツキを回収する活動、『ツキ活』を勧めます。(リンドバーグ/舛谷建)

悔いの残らない4年間を過ごしてほしいです。(リンドバーグ/中山将吾)

チーム内に関しては特に、そしてそれ以外でも、後輩と思えない実力も努力も凄い人が沢山いるので来年度以降とても楽しみです。今年度4年生になったからこそ特に、後輩のネタやストイックさを尊敬したり、勝てないなと思ったりすることが多々あり、大学お笑いどんどん凄いことになるんじゃ無いかなとワクワクしています。頑張れというのも痴がましいくらいですが、応援しています!(ラスカ/玉井星音)


──あなたにとって「学生お笑い」とは何ですか?

自分のサークルに関して言えば、みんな本当に自分が面白いと思ったことを純粋にネタにしていますし、アマチュアだからこそかなりの確度で新しいお笑いを追求しています。演技力や上手さではプロの方々には到底敵いませんが、せめて台本ではと必死に考えています。大学生のサークル活動なので玉石混合ではありますが、たまに、しかしコンスタントにお笑い革命のようなネタが生まれる貴重な土壌が学生お笑いだと思います。(リンドバーグ/舛谷建)

無条件で与えられる自己表現の場(リンドバーグ/中山将吾)

かっこよさと変さが併存出来る凄く良い空間だなと思います。楽しかったです!来年度から社会人にすんなりなれるか不安です!(ラスカ/玉井星音)

大内輪(ラスカ /加藤俊甫)

宝石箱(マウスジャズピアニスト/都築聡司朗)

ラスカ『動物園デート』

【立川ヒロナリのコメント】
女の子が必殺ポーズしているだけでもう掴まれました。まだぎこちないカップルで女の子がおしとやかな感じがフリの段階で出ていたのもあって、特に面白く感じました。終始どう発展させていくのか見ていてとてもワクワクしました。「強いメンヘラ」といったフレーズも面白く、このカップルのその後を描いた(別の場面を切り取った)コントも見たくなりました。

早稲田大学お笑い工房LUDO・チーム牛王(夜隊屋台/ペパロニ/せきんにくん)


──チーム結成秘話を教えてください。

同期チームです。面白いと思っていたピン、コントと組ませてもらえることになりました(夜隊屋台/原本航)

同期と優勝するために……(夜隊屋台/松本公貴)

3年生の同期でチームを組んだ(ペパロニ/都築聡司朗)

サークルの同期5人で、それぞれのユニットに決勝進出という共通の目標があり、早くからネタ作りに励んでいたため結成しました。(ペパロニ/所萌)


──結成から現在まで、チーム内での印象的なエピソードはありますか?

決勝進出が決まった時は叫び声が全て出ました。エントリーミスで予選に出られなかった後輩をイジり倒していたら、まさか自分が同じ目に遭うとは思っていませんでした。(夜隊屋台/原本航)

ペパロニ、せきんにくんと一緒にチームを組めてよかった。この気持ちは予選、準決勝と勝ち進む中でどんどん強くなっていった。いや、ドゥンドゥンだったかも。(夜隊屋台/松本公貴)

決勝進出が決まったときに、みんなで凄く喜んでしまったので、今となってはとても恥ずかしい(ペパロニ/都築聡司朗)


──卒業する先輩へのメッセージもお願いします。

今回このような形で潰えてしまって本当に残念です。しかし今後はこれよりも理不尽なことが幾度も起きるかもしれません。誰が悪い訳でも無いので、こういうことに執着せず、次の優勝を目指して下さい。(夜隊屋台/原本航)

僕が皆さんの代わりに来年ルミネに行きます(ペパロニ/都築聡司朗)

4年生の先輩方の背中を見てここまで頑張ることができたので、最後に同じ舞台に立ちたかったです。NOROSHI決勝が社会人になる前の区切りの舞台であった方も多いと思うので、非常に悲しい気持ちでいっぱいです。(ペパロニ/所萌)


──あなたにとって「学生お笑い」とは何ですか?

留年してもNOROSHIで優勝すれば釣り合いが取れると思っています。ゆにばーすの川瀬さんもTwitterで言っていましたが、甲子園です。(夜隊屋台/原本航)

所詮、学生だからこんなもんだろうというラインは優に超えていて、全員必死こいて、本気でやっています。その姿は本当にキラキラしています。学生お笑いなんてハードルの下がるような呼び方はやめてください。キラキラお笑いです。(夜隊屋台/松本公貴)

「最高に楽しくて夢のある趣味」です!(ペパロニ/所萌)

宝物(ペパロニ/都築聡司朗)

自分の面白いと思う事を自由に表現できる場所(ペパロニ・せきんにくん/関豪太)

夜隊屋台『寿司屋』


【立川ヒロナリのコメント】
ボケの自由さがとても魅力的です。やりたい事を臆さず表現していてとてもいい姿勢だと思います。大喜利の一つ一つがきちんと面白いという印象で、ボケの方が演じている人が変わることによって、やりたいボケもはめ込んでいけるんだなって感じました。「やべぇ外人」のくだりは本来作家であればダメ出しする所ですが僕は面白いと思うので全然OKです笑

創価大学落語研究会所属・チーム山桜(アップカミング/ゴッドマザー/わせお☆ミレニアム)

──チーム結成秘話を教えてください。

僕は1年の最初からヤマアラシというコンビを組んでいましたが、相方の児島君が3年の春に難病にかかってしまいました。僕はずっと相方とNOROSHIで優勝するという目標を掲げて頑張っていました。しかし、一生治らないという難病だと言われた以上、コンビを続けることは不可能でした。2人で話し合い、相方はリハビリ、僕は落研の活動を改めて頑張ろうと決意しました。児島君は「NOROSHIの予選が始まる前に絶対に治る兆しを作る」と言っていましたが、僕は正直コンビを続けられないことが受け入れられず、夢見ていたNOROSHI決勝の舞台はもう無理だと諦めかけていました。そんな時に声をかけてくれたのが部長の宮澤君です。宮澤君は「お前は勝つべき人間だ。だからおれがお前を勝たせる。日本一を取らないか」と誘ってくれて、宮澤君とゴッドマザーを組むことになりました。しかし、チーム戦なので漫才とピンを探さなければいけません。現役の人たちはもうみんなチームを組んでいたためどうしようと思っていたら、宮澤君が、現役を引退している4年生と組もうと提案してくれて、4年生のアップカミングとわせお☆ミレニアムさんに事情を説明してチームを組ませていただきました。しかし、やはり新環境でうまく気持ちが上がらず、予選の直前まで落ち込むばかりでした。そんな時、元相方の児島君から「医者から治るかもしれないと言われた」と連絡がありました。予選前に治る兆しを作ると言っていた元相方が、本当にそれを実現したことが衝撃的で、自分は彼に「何やってんだよ。一緒に勝つぞ」と言われているようでした。これがきっかけで僕は闘志を燃やして予選、準決勝へと臨むことができました。今の自分があるのは元相方の児島君と、今の相方の宮澤君のおかげです。(ゴッドマザー/両星雄大)

ゴッドマザーを組んだ同期の両星くんは、3年間組んできた本来のコンビを相方の体の病気が原因で最後の冬の大会だけ出られなくなりました。ここまでやってきた同期が最後の大会に挑戦すら出来ないのは悔しくて、僕から声をかけて大会の直前にゴッドマザーを結成しました。こんな組みたてのユニットで勝つには4年生しかいないと思い、創価落研は4年生は本来引退していて大会も出ないのが伝統な中、無理を言ってアップカミングとわせお☆ミレニアムにチームを組んでいただきました。(ゴッドマザー/宮澤正伸)


──結成から現在まで、チーム内での印象的なエピソードはありますか?

チームの目標が「楽しくネタをやる」だったことが、とても印象的というか、4年間やってきてこんなチームは初めてのチームだったな、と思っています。真面目な人間が多いサークルなので、「勝たなきゃいけない」のようなプレッシャーに幾度となく押しつぶされてきました。しかし今回は、「とにかく楽しむこと」が目標だったため、ネタを作るまでの過程も楽しんでやることが出来て、本番もこれまでで一番良いパフォーマンスが出来たと感じています。そのため、この目標を掲げてくれたチームのみんなにはとても感謝しています。(アップカミング/小久保晴美)

チームを結成した時が1番印象的ではありましたが、予選の時に、準決勝進出者の発表がありそのあと帰りの駅まで向かっていると同期がたくさん涙を流して喜んでくれていたのがとても自分の中で印象的です。(ゴッドマザー/宮澤正伸)

僕が準決勝でセリフを飛ばして、決勝に上がれるかどうか分からなくなってその時同期にも見せてないくらい顔が真っ青になっちゃったんですが、それでもアップカミングの女性3人とゴッドマザーの温厚な男性2人にずっと背中をさすられて結果発表を待ったことが印象的でした。結果3位という形で進出できて、泣き崩れた時もみんな笑っていただけて嬉しかったです。その時マヂカルラブリーさんにもコメントを振っていただきました。マヂカルラブリーさん!あの時「プロ志望で吉本には絶対に入らず、グレープカンパニーに入ります」と言って申し訳ありませんでした。あの時の心情は今でも変わりません。(わせお☆ミレニアム/わせお)


──後輩へのメッセージをお願いします。

仲間を大切にしてください!その事が必ず自分が勝ちたいと思える1番の原動力になります!(アップカミング/中村桜)

絶対来年勝て!(アップカミング/齋藤美音)

──卒業する先輩へのメッセージもお願いします。

本当に本当にありがとうございました。4年生が今年動いてくれていなかったら僕たちはファイナリストになることすら出来ませんでした。(ゴッドマザー/宮澤正伸)


──あなたにとって「学生お笑い」とは何ですか?

私にとって学生お笑いは、私の「原点」になったと思っています。お笑いを通して、お笑いだけでなく、たくさんのことを学ばせて頂きました。この場所で4年間、大学生活の時間を使うことが出来て本当に良かったと思っています。(アップカミング/小久保晴美)

青春でした。中学高校と強豪の部活に所属していたものの、全く身に入らなかった私が、人生で初めて真剣に打ち込めたものでした。(アップカミング/中村桜)

人間として成長させてもらえた。自分のコンプレックスを自信に変えさせてくれた。いろんな人に出会えた。(アップカミング/齋藤美音)

最高の思い出(ゴッドマザー/両星雄大)

とても青春が詰まっている世界だと思います。僕らの大学だけでなく、どこの大学も負ければ悔しく泣いたり、勝ったら嬉しくて泣いたり。(ゴッドマザー/宮澤正伸)

大学生活の大半を占める僕にとっての生きがいです。これがなかったら本当に僕は大学を辞めてましたし、こんなに色々考えなかったと思っています。本当に大学生活で便所飯から抜け出せたくらい大学お笑いの方は優しくコミュニティもどんどんつながりを増やせて生きてる実感を深く感じれました!本当に学生お笑いがあるおかげで僕が生きています!感謝してもしきれません!恩は少しずつでも返させていただきたいです!そのくらい僕にとって思い入れのあるものです!(わせお☆ミレニアム/わせお)


アップカミング『禁断の恋』


【立川ヒロナリのコメント】
テンポがとてもいいですね!3人のキャラクターがとても立っていて、見ていて楽しめました。個々の平場の立ち振る舞いも見たくなると思いました。
ツッコミの方の声質が良くて通る声だなと感じました。ボケに対しての補足やネタフリの文言もさりげなく言っていて、こういった細やかな点も学生芸人が卒なくこなしていて学生お笑い自体のレベルの高さを感じ脱帽しました。


わせお☆ミレニアム『駅のホーム』



【立川ヒロナリのコメント】
カップルの女性が言っている事が破綻せず最後までストーリーが続いていくのがスゴいと感じました。辻褄がきちんと合っていて、構成がとても綺麗でずっと面白かったです。全体を通してマイムがとても丁寧だとも思いました。「人身事故が起きそうです」の後に頭を手でかいたり、「500万!?」の所で口には出さないけど500万と言っていたりなど、ネタの基盤を作る為のマイムにも配慮していてプロさながらのネタだと思いました。こういったマイムも本来は養成所行ったりして徐々に掴むものなのにサークル内で培っていてとてもレベルが高いと感じました。スゴいです。


ゴッドマザー



【立川ヒロナリのコメント】
とてもパワーを感じるネタでとにかく声がよく出ていると感じました。終始バカバカしいノリのままネタが進行していて、見ていて爽快感がありました。中々ないコントのシチュエーションなのでシチュエーション自体もいいなと思いました。インパルスが昔戦場カメラマンの設定でコントやってたなと懐かしい気分にもなりました。「戦場のメリークリスマス」という曲のチョイスも戦場とかかっていて素晴らしかったです。

NOROSHI実行委員会から

NOROSHI実行委員会であり、大学芸会の副代表を務めるおふたりからもコメントを頂戴しました。

──NOROSHI参加者へのメッセージをお願いします。

NOROSHI2020予選・敗者復活戦・準決勝と多くのお客様にご来場いただきありがとうございました。決勝を楽しみにしていただいたお客様におきましては、今回中止となってしまい大変申し訳ございません。今後とも、私どもの大会や各お笑いサークルのライブを注目していただけますと幸いです。出場者のみなさんにおかれましては、この大会を作っていくにあたって皆様の存在は欠かせず、皆様のおかげで現在多くの人に注目される大会となっていて本当にいつも感謝しています。出場者のみなさんを身近で見ていたので決勝が開催できなかったことは本当に心苦しく、申し訳ないです。今回の社会的状況を鑑みて出場者の皆様、お客様の健康を第一に考えた結果なのでどうにかご理解いただきたく思っております。

──あなたにとって大学お笑いとは

大学お笑いは、大学4年間で最も大事にしてきたものでした。わたしはこの4年間ずっと大学お笑いに携わってきて、本気で面白いことを追求する沢山の演者さんたちを見てきました。その姿をみて、中途半端な気持ちで運営はできないと感じましたし、辛い時も頑張ってこれました。わたしは卒業しますが、大学お笑いをより多くの人に知ってもらい、より多くの演者さんが輝ける環境が整えられるといいなと思っております。(笹井)

昔からお笑い好きだった私がやっと出会えた、自然体で居られる場所が大学お笑いでした。みんなお笑いが好きで、面白いことを考えて、個性的な人の集まりで、今まで味わったことのない刺激的な空間でした。その中でも様々なシーンで演者さんがネタをしている姿を側で見ているうちに、お笑いが好きで面白い演者さんが、一層輝けるような舞台を作りたい、もっと力になりたいと心から思い、NOROSHIや大学芸会という大会を運営してきました。私たちの活動が大学お笑いの発展の一助となれていましたら幸いです。
今後、大学お笑いという世界がより多くの人に親しみを感じてもらえるようになることを願っております。(山田)


NOROSHI緊急企画、いかがでしたでしょうか。アンケートの言葉の端々に熱い思いが感じられ、大学お笑いは特別な魅力があると改めて実感させられました。今回のNOROSHIは残念な終わり方となりましたが、『東京で考え中』では今後も不定期で大学お笑い特集を実施予定です。どうぞご期待ください!

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