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読書感想文のススメ:楽しく読んで、楽しく書こう

世間は夏休みですね。夏休みと言えば、読書感想文という宿題がありましたね。あれって、いったい何を書いたらいいのか、よく分かんなかったんですけど、ぼくだけですか?

で、それなりに物書き能力が高まった今の僕ならば、どうやって書くのだろうか?と、ここ数日考えてたんですよ。今日は、そんなお話です。

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あらすじ とか 登場人物紹介 は禁じ手

読書感想文という宿題は、学校内で選出されると「読書感想文コンクール」なるものに応募することになるのですが、多くの子供たちにとっては、そんなことはどうでもよくて、「原稿用紙のマスを埋める作業」と認識されています。

そうなると、あらすじや、登場人物についての説明で、字数を稼ぎたくなるわけなんですけど、それは読書感想文というものの性質を考えれば、明らかに不要ですし、むしろ禁じ手なんですよね。

なぜならば、読書感想文の「読み手(先生やコンクールの審査員)」は、その本を読んだことがあるはずだからです。

その本を読んだことがない人に、「え、その本読んでみたいなー」とか「おお、面白そうだなー」とかいう風に思ってもらうための文章じゃないんですよ。だから、本の内容を紹介する必要が無いのです。

当時、誰もそんなことを教えてくれなかった気がするんだけど、この前提を持つかどうかは、とても大事ですよね。

やっぱり、文章を書く以上は、常に「読み手」を意識するところから始めないとダメだよなぁ、と思うんです。基本にして、本質。そういうことを教えないならば、読書感想文なんて、いくら書かせても無駄だよなと思います。(そして、実際に、単なる苦行になってると思います。)

「読書」した「感想」を書く

じゃぁ、何を書くんや?ってことになりますね。この問いに正面切って答えると「書きたいことを書く」が答えなんですけど、ま、そんなこと言われても困りますよね。

こういうときは、テスト問題と同じように考えると良いです。お題をよく見ましょう「読書感想文」ですよ。つまり「読書」して、その「感想」を「文」にまとめる、という作業なんですよ。

これ、当たり前のようですけど、めっちゃ大事です。

1. 読む → 2. 感想を抱く → 3. 文章にする

このステップです。スキル的に表現すると、

1. 理解する:文章読解力
2. 考える:論理的思考力、状況判断力、想像力
3. 言語化する:構造整理力、語彙力

ということです。凄い。国語に関する全てが入っている。ほんと、良くできてる宿題だなぁ。

もう少し、詳しく各ステップを見てみましょう。

1.ちゃんと読む ➡ 感想を持てる本を選ぶ

とにかく、ちゃんと読む。これめっちゃ大事。読書感想文が嫌いな人の大半は、まず、これができないんですよね。

理想を言うと、一冊に決め打ちするんじゃなくて、2-3冊読んで、どの本について「書きたい」かを決めた方がいいです。夏休みの宿題ってのは、長い時間の中で終えればいいので、読書感想文は、後半にもっていく方が理想。前半で、課題図書を複数読んでから着手する方が良いです。

読書感想文は「書きたいことがある」「感想がある」本に対して書けばいいんです。もし、そういう本に出会えたら、読書感想文は苦痛じゃなくなります。だって「書きたいこと・感想を文章に落としこむ活動」になりますからね。最初のハードルを軽々と飛び越えてます。

反対に、興味を持てない本、文体含めて読み進みにくいなと感じる本は、無理して最後まで読まなくていいです。読みたい本を読む、が大事。(ただ、お父さんお母さんがせっかく買ってくれた本なので、今は読まなくても、人生のどこかでちゃんと読む、ということは心にとめておきましょう)

※親御さんにおかれましては、買った本を読み切らない、という理由で、お子さんを怒らないでいただければと思います。僕および僕の友人たちは、大人になっても積読の山に囲まれて生きてます。でも、読みたいな、興味あるな、と思いつつ読み切れていない本に囲まれて生きていくのって、豊かな人生だと思うんですよ。その第一歩を踏み出したんだと思って、やさしく見守ってあげてください。
あと、これは極めて個人的な思想ですが、Kindleじゃない方が良いです。紙で渡してあげて欲しいです。ページを行ったり来たりして、思考を巡らすという作業においては、僕は、画面よりも紙の方が適していると思うんですよね。(が、ここは宗教論争なので、無理強いはしません)

2.深く考える。己と語り合う。

読んでみて「お、この本は、ちょっと感じるところがあったな」と思えるものが見つかったら、次は、その「ちょっと感じるところ」について、深く考える作業です。自分との対話です。

読書の醍醐味は、ここにあると僕は思うんですよね。(まぁ、映画とかも同じですけど)

本の中の世界は、自分とは切り離された世界です。仮にノンフィクションだとしても、自分とは別世界です。ファンタジーならば、なおのこと遠い世界ですよね。

で、多くの場合、無理矢理に自分の体験・経験とかに紐づけようとするんですけど、別に、そんなことしなくても良いです。大事なのは「その本を読んで、何を感じたか」です。

主人公がツラい体験を乗り越えた。頑張れ!と思った。応援した。いいじゃないですか。別に、自分のツラい体験と重ね合わせる必要なんてないです。応援したのならば、その「応援したくなった!」という気持ちが大事です。

主人公のライバル、敵役に共感した。主人公に負けた後の描写が無いけれど、彼はその後どうなったんだろう?と思った。負けて可哀そうだと思った。いいですね。最高です。グレイト。なんで、負けた方の気持ちになったのか、とかは後で考えましょう。とりあえず「ライバルに共感した」という事実が重要です。

出てきた風景の描写が気に入った。挿絵もないのに、森の中を流れる小川に、太陽の光が反射している様子が目に浮かんだ。マーベラス。文字から映像をイメージできるのは、素晴らしい才能です。作者の文章力、表現技法が素晴らしいということも理由の一つでしょうけれど、それを脳内で映像として再構築できるのは読者の技量です。ええやん!めっちゃええやん!

読んでいるときに、何を感じたんだろう?それは何故なのかな?ということを、自分に質問して、書きだすんです。きっと、読み返したい部分も出てくるでしょう。そこを探して読みましょう。そして、また自分と会話しましょう。
※こういう時に、紙の本の方が便利だと僕は思うんですよね。

そして、そういう「感想ポイント」や、それに関する「自分との会話内容」をノートにメモりましょう。原稿用紙にじゃないですよ。ノートやコピー用紙にメモするんです。ここでいきなり原稿用紙に書いちゃう人は、大人になってから、頭の中が整理されてないのに、いきなりパワポを開くようになります。そんな大人にならないためにも、まずは、ノートにメモ書きです。

さて、こういう「ちょっと感じたところ」を最低一つ、できることなら二つ三つ書き出せたら、ゴールは目前です。コンクールの応募規定上は、小学校低学年なら400字詰め原稿用紙2枚、中・高学年は3枚。中学生・高校生は5枚が上限です。(厳密には文字数規定みたいですけど、まぁ、ざっくりこんな感じです)

感じたことが2-3個あれば、あっという間に埋まります。むしろ、文章を削らないといけなくなるはずです。

ちなみに、このnoteも既に3,000字近くまで来ています。原稿用紙7枚分を余裕で超えてます。むしろ、たったこれだけしか書けないんですよ。ぜんぜん足りひんわっ!

3.文章を書く

ここまでの手順で、既に
■ 感想を書きたいなと思う本が手元にある
■ いくつかの「感想ポイント」が上がっている
■ それぞれの「感想ポイント」に関して、自分と会話した内容がある
というところまで来ています。

仮に、感想ポイントが3つあるとして、話を進めましょう。

小学校高学年以上であれば、この「3つの感想ポイント」の関係性について少し考えてみると良いです。

同じようなこと(例:3つとも、主人公が困難に立ち向かうシーン)ばかりですか?
ぜんぜん別のこと(例:ひとつは主人公の気持ち、ひとつは試合の展開にハラハラした、ひとつはライバルの気持ち)ですか?

同じようなことだった場合は、共通している部分を言葉にすると良いです。そして、その「共通する部分」の話を最初に書きましょう。そして、そのあとに、3つの感想ポイントについて、順番に書いていくといいですね。抽象概念→具体例の順番です。

別々の内容だった場合は、ちょっと難しいんですよね。いくつかやり方はあるのですが、一番シンプルなのは「3つの中で、最も、自分にとってグッときたポイントの話だけをする」ということです。あとの2つを捨てる。ボリューム的に厳しくなる、と思うかもしれませんが、まぁ、3つあるポイントの中で、一番グッときたものを選んでいるわけですから「2,000字くらい余裕で書ける」と思いますよ。
(ほかの手段としては、表面上はまったく別の話に見える3つのポイントが、なぜ、自分の琴線に触れたんだろう、と考えていくというアプローチがあります。僕はこのアプローチが好きなんですけど、難易度が高いので、中学生か、まぁ高校生以上にしかお勧めしません。人生経験が少ないと、そこまで内面を掘り下げられないんじゃないかなと思うからです。(でも、もしできるなら最高です))

4.仕上げる(推敲する)

1回書いて終わり、じゃなくて、書いた文章を読み直して、言いたいことが書けているかを考える、ということをして欲しいです。推敲ってやつです。

いやいや、3ステップじゃなかったの?って思いますよね。わかります。読書感想文=義務である、ということにするなら、この時点で完成品として手を止めてもいいんです。だから基本は3ステップでいいんです。

ただ、読書感想文というゲームの、真のエンディングを見たいなら、このステップもやるべきです。表面だけクリアして満足してるようでは、真のゲーマーとは言えないんだぞ!

自分の文章を読む、というのは、とても学びが深いんですよね。大人になっても、多くの人は、自分の文章を読み返しません。ツイッターとかブログとか、多くの文章が世の中にあふれてますけれど、おそらく、自分で読み返すという行為はまったく為されていないものが大半です。(ツイッターは投稿後に「編集」ができないので、仕方ない部分はありますけども)

自分の文章を客観的に眺めて「言いたいことがちゃんと書かれているか」「分かりやすいか、伝わるか」を考えると、読解力と構成力の両方が鍛えられます。

おススメは、音読することです。声に出して読むと文章の良し悪しはクリアに分かります。良文はスッと読めます。悪文はウッとなります。


以上です。ここまでやれば、少なくとも、自己ベストは叩き出せてると思います。文章にしていく部分については、もっと色々なコツがありますけど、そのあたりは、世の中にノウハウが溢れているので、適当にwebで検索してみてください。

ただ、そんな小手先のテクニックよりも大切なのは「感想を持てる本と出会うこと」です。そして「感想を誰かに伝えようとトライすること」です。

文章の巧拙なんて、後からどうとでも鍛えられます。でも、本を読んで、驚いたり、感動したり、悲しくなったり、ワクワクしたりすることは、子供の頃にしか経験できません。大人になってしまうと、どうしても「現実」を見ちゃうんですよ。でも、子供のうちに、そういう経験を積んでおくと、大人になってからも、同じような気持ちを抱くことが(割と)できます。

読書感想文が、義務だからと思わずに、楽しく国語力を鍛える機会になったらいいのになーと、心の底から思います。

本を読むのは大好きだったのに、読書感想文はツラかった、あの頃の僕自身に届けたいnote。でもね、昔の僕よ。安心していいからね。30年経っても、まだ、本が好き。自分で書いちゃうくらいに、好きだよ。

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