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2.0 分配という物語

さて、本章では、経済成長に代わる物語として分配に焦点を当てる。すなわち、ここで問いたいのは、今後の日本において、成長の代わりに分配を軸として国家運営を行うことは適切かという問いである。
これは、現首相が唱える新しい資本主義において、成長の対概念として提示されているため、ここに取り上げるものである。また、近年野党側は与党に対する対立軸を打ち出すのに苦労してきた印象であるが、その中でも分配はやはりキー概念になっていたのではないかと思われる。
分配についても、それを国家が行うこと自体は否定しない。むしろ、政治は価値の配分を行うものであることを考えると、分配は本業であっても差し支えない。その中で、なぜ分配という物語を否定するのかというと、それは日本で議論される分配は主に成長の裏返しにすぎないからであり、その点を詳述したいと考えている。そのうえで、結局国家単位の物語というのが今の時代にそぐわなくなってきているのだという議論を行うつもりである。

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