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シンクスクール卒業生インタビューvol.1|おぎのようこさん【後編】

北海道小樽市で若者のためのオープンリビング、トコトコ荘の運営に携わるシンクスクール企画コース4期・制作コース3期卒業のおぎのようこさんインタビューの後編です。前編ではトコトコ荘・サカノマチ学舎のことを中心にお話を聞きました。後編では、tagayasu company(タガヤス カンパニー)としてトコトコ荘を運営する3人のこと、小樽への思い、シンクスクールについて思うことなどを、引き続きtagayasu companyのメンバーの1人で共にトコトコ荘を運営するハシモトツグミさんも交えて伺いました。

前編はこちらからどうぞ ↓

石橋を叩いて石畳にしてしまうくらいに考え尽くした末に、お互いが得たもの

――おぎのさん、ハシモトさん、ミネオさんの、3人はtagayasu companyというチームとしてトコトコ荘運営を始める前にオタル若者ビレッジで活動をされていたとのことでしたが、そこから知り合ったのですか?

おぎのさん:実は3人とも、高校の同期で、ハシモトとはクラスが同じで、同じく写真部にも所属していました。でも、特に仲が良いというわけでもなく。ミネオに至ってはクラスが一緒になったことも、しゃべったことすらなかったんです。ただ、私は校内で呼び出されることが多かったので「よく呼び出されていたよねー」と、一緒に活動するようになってから言われました(笑)

ハシモトさん:私は、オタル若者ビレッジの活動以前、ミネオが大学生の頃からいろんなことをやっていて、そちらから関わっていました。

おぎのさん:ミネオの「小樽で若い人で何かやりませんか」というFacebookでの呼びかけを見つけて、私から声をかけて始まったのがオタル若者ビレッジです。

ハシモトさん:おぎのに声をかけてもらって、そこに私も加わった形ですね。

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――トコトコ荘の運営については、どのように決めているのですか?

ハシモトさん:運営についての実務的な決定については、もう一人サポートしてくれている(不登校関連の支援をしている)方が3人を信頼して一任してくれているので、3人でとにかく頭が煮詰まるくらい話し合いをしています。5時間くらいしゃべり続けて、最終的に頭が働かなくなって、ちょっと歩こうかって家の中を3人でグルグル歩いたりするくらい。

おぎのさん:私たち、結構臆病なので、石橋を叩いて石畳にしてしまうくらいに考え尽くすんです。ピッカピカの石畳になるくらい(笑)。

ハシモトさん:それだけやり尽くしているから、多少考え方が離れても、信頼感みたいなものはあると思います。私たち、考えの根底が似ているとはいえ、やっぱりバックグラウンドは全員バラバラで、進みたい道もバラバラ。でも、おそらく今、それぞれ思っている方向がちょうど交差したところに3人いるのだと思っているんですよね。その交差している部分の根っこはすごく強いと思う。進む方向はお互いにわかっているから、不安要素が次から次へと出てきても、最終的に何とかなるのでは……みたいな緩さというか信頼はあると思います。

おぎのさん:私が彼らと一緒に活動するようになって一番学んだことって物の言い方。
私、結構短気だったので、なんかこう激しくやりあうことが友情の証……ではないですけど、喧嘩してもうまく仲直りすれば、それでOKみたいな感じだったんです。でも、彼らと一緒にやるようになって、「話し合いのやり方」っていっぱいあるんだってことを教わったというか。オタル若者ビレッジの頃にも、「否定しない」とか「対話をする」ということを学んで、言い方って大事なんだなと。

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ハシモトさん:私は、わりとほどよいところに結果を落ち着かせられればいいと思っているタイプなんですよ。でも、2人はすっごい諦めわるくて、イベントのタイトルひとつ決めるだけに2時間しゃべったり。

おぎのさん:それ、私じゃない(笑)。

ハシモトさん:あ、それはミネオなんですけど(笑)。おぎのはツッコまれた時にきちんと返せるみたいなスキをつくらないタイプ。こういう粘り強さに一緒についていくことで、私にも粘り強さがついたみたいなのはあるかと。
お互いリスペクトを絶やさないようにいようっていうのは心がけてますね。「なんで相手がこれにこだわっているのか」とかを考えるのを面倒くさがらないようにしようという気持ちはあるので。それがあるから、どれだけ長い時間でも、どれだけ話がつらくなってもしゃべり続けられるのかなっていう感じはしますね。


何もしなければまちはなくなってしまう? 

――若者の居場所がなかなかないという小樽ですが、皆さんにとって小樽ってどんなまちですか?

おぎのさん:ミネオが小樽運河沿いの北海製缶の小樽工場第3倉庫の保存運動の活動をやっていたんですよ。その会合でここを使って若者が集まって話し合い、少しずつ発信を始めて。

――すごいですね。

おぎのさん:一生懸命やっている仲間を見るうちに、私も小樽市内の文化財を財政の厳しい小樽市でどう守っていくんだろうと考えたり、民間も協力しながら早めに打開策を考えていった方がいいんじゃないかなと思ったりしていました。

ハシモトさん:私は正直、小樽愛っていうものがあるかって言われるとちょっと微妙なところで。私は銭函出身で、小樽市内ではあるんですけど、意識としては小樽の人じゃないんですよ。
でも、「小樽を好きな人」が好きなのかもと。高校の写真部時代に知り合った中ですごいおじいさんがいて。小樽市内の写真を見ただけでそれがどこなのかを言えるんです! 本当にちっちゃい看板でも、ちょっとした路地でも、「あ、これあそこだね」って言える。その人に会ったときにはすごく感動しました。こういう風にまちを愛している人もいるんだって。そういう「小樽を好きな人」を私は好きで……おぎのやミネオもそうですが、そういう人たちをバックアップしたいっていう気持ちがありますね。

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おぎのさん:私は大学時代は東京で過ごして、卒業時に戻るか戻らないかと迷ったのですけど、その時に思ったのが、何もしなかったらまちってなくなるんだなってこと。
シンクスクールでも田中元子さん(※)が、まちってじわじわ死んでいくっていう話をしていて、「ああ、マジそれだ」って思って。後世に残す価値のあるものが、実はまちの中にたくさんあって、まちがなくなったらそれらも一緒になくなるような気がしています。それってすごいもったいないなって思うんです。地元の人はそういうものに興味がなかったり、価値がないと思っていたり、知らなかったりするんですよ、実際のところ。
だから、「小樽がすごく好き」とかじゃなくて、「なくなったらイヤだ」みたいな危機感の方が強いです。「ああ、惜しかったね」ってなくなっていくのはすごく悔しいなって。そうなる前にいろんなことができたらいいなっていう思いがあります。

(※田中元子さん 株式会社グランドレベル代表取締役 「まちの1階」という視点から都市やまち、人の関わりを考え、さまざまなプロジェクトを行っている。2019年2020年とシンクスクールの講師を務めた)

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シンクスクールで学んだこと、役立っていること

――最後におぎのさん、シンクスクールで学んで感じたことや役立っているなど教えてください。

おぎのさん:文化財に興味があるということも含めて、自分のバックグラウンドを活かしながら、まちづくりをやっていきたいっていう夢が今、あります。そういうことにシンクスクールに入って気づかされました。
シンクスクールに通っている途中からトコトコ荘の運営の話し合いが始まっていたのですが……学んだことを活かすのってむずかしいなって思っています。
もちろん提出しなければならない課題もあってそれによる刺激を受けたし、動くことは大事だとは感じていたんですけど、基本的には机の上で勉強していたので、それを自分の中に落としこんでアウトプットして、やっていくのってやっぱりむずかしいなと。
目に見えないものを作っていくのはすごく大変。まちづくりっていうのもそういうものなのかなと思います。でも、だからこそやりがいがあるんだとも思っていて。やっぱりもっと企画など立ててやっていきたいっていう気持ちが、最近、高まっています。シンクスクールを卒業して自分でやってみて、力が足りないところがあると、すごい実感していますが(笑)。

それから、「等身大の自分を忘れない」ということも改めて感じています。
今、やっていることも、自分で考えてこれからやっていきたいことも、等身大の自分を忘れず考えて動いていく。そうすれば、ちぐはぐになることなくやっていけるのかなと思っています。

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トコトコ荘

サカノマチ学舎

tagayasu company(タガヤス カンパニー)

(取材:ThinkSchool編集部/文:企画2期わたなべひろみ/写真:ThinkSchool講師 今村育子)

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