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英文法の小径

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毎回、一つの文法項目について、意の赴くままに説明を試みた散文を掲載中。
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2023年8月の記事一覧

【英文法の小径】過去完了形〈時制〉その三

After he finished the exam, he went to Europe.2つの過去の出来事が述べられている。1つは試験が終わったこと、もう1つはヨーロッパに出かけたこと。時間的な順序は、先ず試験が終わって、次にヨーロッパに出かけたのである。試験が終わったのは、ヨーロッパに出かけた時点よりも前のこと、言い換えると「過去の過去」なのだから、〈過去完了形〉を用いなくてもいいのだろうか。 ポイントは after という単語。ここでは、時間の前後関係を示す接続詞と

【英文法の小径】過去完了形〈時制〉その四

When the rain had stopped, they went for a walk in the woods.過去に起こった2つの出来事を、when を使って振り分けて述べることがある。その際、先に起こったことを後から起こったこととは切り離して別個のものとして述べたい、つまり、第一の出来事が完了してから、第二の出来事が起こったことを明確にしたいときには、最初の出来事を表わすのに[had + 過去分詞]の形、〈過去完了形〉を用います。冒頭の文で、彼らは、雨がすっかり

【英文法の小径】過去完了形〈時制〉その五

Before I had a chance to thank him, he had passed away.Before A, B. = B before A. は、過去の文脈では、A という出来事が起こる前に B という出来事が起こった、言い換えると、先ず B が起こってから次に A が起こったことを表わす。なので、A, B のいずれかに〈過去完了形〉を使うとしたら、B になるのがふつうである。 冒頭の文では予想通り、先行する出来事(彼の死去)を 'had passed

【英文法の小径】過去完了形〈時制〉その六

She had hardly sat down to eat when the phone rang.この[hardly … when]というのは、「…するとすぐに〜した」という日本語訳に相当する時間構文として学習する人が多いのかもしれない。その際、when をはさんで前半では〈過去完了形〉、後半では〈過去形〉を用いると覚える。hardly は準否定語と呼ばれ「ほとんど〜ない」。でも、この構文、どうして「するとすぐに」になるのだろう? hardly は英語でいうと almo

【英文法の小径】過去完了形〈時制〉その七

I had hoped to catch the 9.30 train.果たして、この話し手は9時30分の列車に乗ることができたのだろうか? 動詞の hope があるので、この文が話し手の希望について述べていることは確かだ。ただ、それが ‘had hoped’ と〈過去完了形〉で用いられている。〈過去完了形〉は、過去のある時点までの期間に起こっていたこと、あるいは、その時点まで続いていたことを表す。それでは、冒頭の文で過去のある時点とはいつなのだろう? それは、目当ての列

【英文法の小径】過去完了進行形〈時制〉その一

今朝起きて窓から外を眺めると、日が射していたけれど、地面がびっしょりだった。その理由を説明するとき、動詞の形はどうしたらいいのだろう? It has been raining. もし、日が照っていて地面が濡れているのが今、つまり話をしている時点のことであるならば、この文の ’has been raining’ のように、[ have/has been + -ing ]という形、〈現在完了進行形〉を用いる。あることが現在まで続いていること、あるいは少し前に終わったことを表す

【英文法の小径】過去完了進行形〈時制〉その二

〈過去完了形〉と〈過去完了進行形〉の使い分けは、〈現在完了形〉と〈現在完了進行形〉の場合と同じです。 a) He had been painting the room for two hours. b) They had painted three rooms.部屋の塗装のような行為については、それが過去のある時点まで継続していたことは〈過去完了進行形〉、過去のある時点までに完了していた(および何らかの結果がもたらされていた)ことは〈過去完了形〉を用いて表します。 a)

【英文法の小径】過去完了進行形〈時制〉その三

これまでに、接続詞の when と、〈過去形〉や〈過去進行形〉、〈過去完了形〉を共に使う時の、組み合わせのパターンをいくつかとりあげてきた。 [when 過去形]+過去進行形(過去進行形・その一)ここでは when の代わりに while を用いている [when 過去形]+過去完了形(過去完了形・その一) [when 過去形]+過去形、[when 過去完了形]+過去形(過去完了形・その四) 今回は、when を用いた文で〈過去完了進行形〉を使う例。 We’d be

【英文法の小径】過去完了進行形〈時制〉その四

まず、改めて〈過去完了進行形〉の意味を確認すると ① 過去のある時点まで継続していたこと ② 過去のある時点の少し前に終了していたこと 以上、2つのことを表わす。 基本的な意味はわかったとして、それでは、〈過去完了進行形〉をどのように使ったらいいのだろう? John fell off a ladder. He’d been cleaning a window. 過去のある時点=はしごから転落した時で、その時まで清掃作業は継続(なので、ここでの〈過去完了進行形〉は①の意味