【英文法の小径】過去完了形〈時制〉その三
After he finished the exam, he went to Europe.
2つの過去の出来事が述べられている。1つは試験が終わったこと、もう1つはヨーロッパに出かけたこと。時間的な順序は、先ず試験が終わって、次にヨーロッパに出かけたのである。試験が終わったのは、ヨーロッパに出かけた時点よりも前のこと、言い換えると「過去の過去」なのだから、〈過去完了形〉を用いなくてもいいのだろうか。
ポイントは after という単語。ここでは、時間の前後関係を示す接続詞として使われている。After A, B. または B after A. と言えば、先ず A が起こって、その後に B が起こることを表わす。このように after があれば、2つの出来事の前後関係は明らかなので、先に起こった方を〈過去完了形〉、後に起こった方を〈過去形〉というように、動詞の形のちがいによって時間の差を示す必要がないのです。もちろん、先に起こった出来事を〈過去完了形〉で表して After he had finished the exam, … のように言ってもまちがいではありませんが、〈過去形〉の方が好まれるようです。
冒頭のような文はつまるところ、一連の過去の出来事を起こった順に述べていく、〈過去形〉を用いた次のような文(過去形・その五)の変形にすぎないと言えますね。
He finished the exam and then went to Europe.
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