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【読書感想】ルークの冒険〜カタチのフシギ〜

読書感想を書くのに、子供向けの本をチョイスするのはどうよ、と思わなくもないが、そこは寛大な心でどうかひとつ。はい、スマイルスマイルゥ🤗。

この本の著者は、三谷 宏治氏。
その名前を聞いてピンと来た人はビジネス書をかなり読みこなしている方に違いない。

ボストンコンサルティンググループ、アクセンチュアなどで経営コンサルタントとして勤務し、『ビジネスモデル全史』、『経営戦略全史』の大作を始め、数多くのビジネス書を執筆されている方だ。

そう聞いて、なんだこれは一時期流行ったファンタジー仕立てのビジネス書か、と思った方もいるかもしれないが、決してそうではない。

イワトビペンギンの子供であるルークと一緒に考えながらカタチの謎を解きあかす、まっとうな児童書なのだ。

いや、まっとうな児童書という表現は適切でないかも知れない。

1976年に公開された映画『スターウォーズ』(今では、「新たなる希望」と副題が付けられている)は、当時、誰も予想しなかった空前の大ヒットを飛ばし、『7歳から70歳まで楽しめる映画』と評された。

偶然にも(いや、かなり意識しているのだろうが)、映画『スターウォーズ』の主人公と同じルークという名前をもつ、イワトビペンギンの子供ルーク・スカイホッパーを主人公にしたこの作品も、スターウォーズの映画同様に、10歳以上の子供を対象にしながら、その親世代も(それ以上の世代も含めて)十分に楽しめる作品なのだ。

オーストラリアのマッコーリー島に住むイワトビペンギンのルークは、祖父でもある長老から、『世界のナゾを解き、我らの伝承のナゾを解くのだ。「大厄災に備えよ」と「壁を越えよ」のナゾを解くのだ』と命じられ、日本へと旅立つ。

英語と日本語が喋れる()ルークは水族館に住み、大学の付属小学校に通いながら(!!)、ナゾを解くため、小学校の隣にある大学院のミタニ教授にヒントをもらいに行き、自分で調べて、自分の頭で考えながら、ナゾを解きあかしていくのが本書の大まかなストーリーとなる。

なぜ人は平べったくて、ペンギンはまん丸なの?

『ルークの冒険〜カタチのフシギ〜』 三谷 宏治(著)

最初にルークが思った疑問に、ミタニ教授は答えを言わずに、考えてみようと促す。

「形」を理解するには、身の回りにはどんな形が多いか、から知れべてみようか。

『ルークの冒険〜カタチのフシギ〜』 三谷 宏治(著) 

本書には、「スゴくよくみる形は?」「たまに見る形は?」「あんまりみない形は?」といった質問の横に、考えた答えを書く欄があり、書き込むことができる。
ただ読み進むだけでなく、一旦、立ち止まって、実際に調べ、そして考えることを促してくれるのだ。
(電子書籍にしないのは、書きだすことができないから、なのだろう。)


グラス(ガラスでできたコップ)はなぜ、円柱か?

という疑問から、実際に調べて考え、さらに、

グラスが円柱だと、何が便利で、どんなムダがないの?

という、より深い疑問を持てるように誘ってくれる。

ペットボトルが円柱より四角柱が多いのはなぜなのか?

紙コップの本当の価値とは?

大人でも瞬時には答えられないだろう疑問を、調べて、考えて、そして解くことを教えてくれるこの児童書は、子供以上に大人が夢中になれる稀有な本だといえる。

様々なカタチのナゾを解き明かし、ルークは「大厄災に備えよ」と「を越えよ」のナゾを解くことができるのだろうか?

それは是非ともこの作品を、できれば10歳以上の子供たちと一緒になって、読んで調べて考えて、味わって欲しい。

しきりに調べ考えることを強調しすぎたが、この本の魅力はそれだけではない。

ちゃんとした物語があり、ペンギンに関するウンチクもある。
なにより顔文字が頻繁に出てくる文章が、ユーモラスでとても読みやすい。

子供たちに、(そしてカチカチに頭が固くなってしまったボクのような大人にも!)是非読んで欲しい本だ。

ちなみに、続編となる作品があるが、こちらはタイトルでわかるように、児童向けではなく、大人向けのビジネス書として読む本となる。(読んでないが)

最期に著者である三谷 宏治氏のあとがきの一部を引用して終わろう。

この本は、子どもたちの、科学的思考力=行動的論理思考力=行動力、を鍛えるための、ワークブックです。ルークとともに、考え動いて考えて、楽しんでください。
 
それがきっとみんなの、明るく力強い未来へとつながると信じています。

『ルークの冒険〜カタチのフシギ〜』 三谷 宏治(著) 

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