自己許容感を育む方法と、それを阻害する「条件付きの愛情」とは

前回の記事では、子供が幸せに生きるために必要な能力として「自己肯定感」が重要であり、その根幹をなす「自己許容感」を育んでいく必要がある、という結論に至りました。

さて、今回は、子供の自己許容感を育んでいくために、具体的にどのように子どもと関わっていけば良いのか、という点について考えていきたいと思います。

子供は誰よりも「親からの許容」を求めている


自己許容感とは何なのか、これを改めて確認すると、端的に表現すると「自分の存在が許容されている感覚」のことです。

自分は今のままでここにいて良いし、ありのままに存在していて良い。
ありのままの自分の存在が、他人から、世界から、許容されているという感覚です。

では、子供にとって、最も「存在を認めてほしい」相手とは誰か。
言うまでもなく、それは親です。

自分をこの世界に生み出し、育て、無性の愛を注いでくれる存在である親から、ありのままの自分を許容してもらう。
それこそが、子供にとっての最大の喜びになるのだと私は思います。

だからこそ、親は、子供が「ありのままの自分を認めてほしい」という強い欲求を持っていることを、しっかりと認識して子供に関わる必要があります。

親が子供と関わる際には、「ありのままの子供を認めている」というメッセージを子供に対して示すこと、これを最優先事項として意識しておくべきなのです。

子供の話をしっかり聞いて、ポジティブなリアクションを返す


例えば、子供が、自分の発見したことや友人と話したこと、幼稚園であった出来事などを嬉しそうに親に話してきたとします。
大人にとっては、取るに足らない、くだらない、話題にする価値もないような些細なことかもしれません。

しかし、子供は、他でもない「あなた」に自分の話を聞いてほしいのです。
自分の話に耳を傾け、リアクションし、共感してもらうことによって、「ありのままに振る舞う自分」を親であるあなたに受け止めてほしいのです。

だからこそ、あなたの子供が何か話しかけてきたら、まずはしっかりと聞いてあげてください。

子供じみた空想であっても、どうでもいいように思える質問であっても、自己中心的な我儘であっても、まずは子供の言葉に耳を傾け、微笑みかけてあげてください。

子供の振る舞いをありのままに受け止めてあげて、「あなたが存在していることが嬉しいよ」というメッセージを、態度で示してあげてください。

そうすれば、あなたの子供は自然と「自分は受け入れられている」という感覚を育んでいくことができるはずです。


「条件付きの愛情」は自己許容感を阻害する


「ありのままのあなたを受け入れている」というメッセージと正反対になるのが、普段は子供の言動を適当にあしらっているのに、子供が悪いことをしたときだけ強く叱りつける、という態度を示すことです。

普段は親から興味関心を向けられず、「ありのままの自分を認めてほしい」という欲求に不満を抱えている子供は、たとえ「叱る」というネガティブなコミュニケーションであっても、親からの関心を得たことに満足を覚えます。

したがって、また親からの関心を得るために、あえて「悪い」言動を繰り返すという手段を用いるようになります。


また、普段は子供に関心を向けていないのに、良い成績をとったときや親の言うことに素直に従ったときなど、「良いこと」をしたときにだけ褒めるのも、子供の自己許容感に悪影響を及ぼします。

このような姿勢で子供と接すると、その子は「良い子でいないと、私は受け入れられない」という感覚を持つようになります。

そして、頑張りすぎて疲弊してしまったり、人の顔色ばかり伺って自己主張ができなかったり、他人からの愛情に常に不安を抱いてしまったりするような性格を、成長と共に身につけてしまいます。


このように、子供の言動によって親の関心や態度が左右される状態を、「条件付きの愛情」と呼びます。
この「条件付きの愛情」は、子供が健全な自己許容感を獲得することに失敗する原因となります。


今回の記事のまとめ


子供と接するにあたっては、子供に「ありのままのあなたを受け入れているよ」「ありのままのあなたが存在してくれて嬉しいよ」というメッセージを示す、そのような態度を示すことが重要です。

逆に、叱るときや褒めるときだけ子供に関心を向けるのは、子供に「条件付きの愛情」を与えるという態度であり、自己許容感の発達を阻害します。

次回は、親がやってしまいがちな「条件付き愛情」的な言動を具体的に見ていくとともに、同じ場面で「ありのままの子供を認めている」態度を示すためにはどのようにすれば良いのかを、具体的に考えていきたいと思います。



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