【短編脚本】コピー

【著】大島恭平

〇登場人物

・A
・B

〇本編

●舞台上に2人が板付き。

A　　お金が欲しい

B　　お金？

A　　そう、お金。たくさん欲しいんだ。

B　　方法は知ってるよ？

A　　教えて教えてくださいな。

B　　働きなさい。

A　　疲れるし。

B　　稼ぎなさい。

A　　面倒だし。

B　　お勤めしなさい。

A　　寝てたいし。

B　　こりゃまた天性の怠け者。そんなに世の中甘くないぜ？

A　　ぺろっ

B　　どんな味？

A　　無味無臭

B　　君らしいや

A　　俺らしい？

B　　うん、君らしい。

A　　俺らしさ。見つかった。

B　　そんなのでいいのかよ。

A　　話を戻すね。

B　　何をコピーするって話？

A　　そう。僕はお金をコピーしたい。

B　　お金ね。うん。分かった。

A　　やった。

B　　じゃあまず方法を説明するよ。まずこれを見て。

●B,種を取り出す。

A　　種？

B　　これを地面に植えます。そして、コピーしたいものを用意する。君の場合は…

A　　お金！

B　　じゃあ…ん。

A　　ん？

B　　ほら、お金

A　　金とるの！？

B　　違うよ。コピーするんでしょ？お金。だから用意してお金。

A　　あぁ、そっか。はいこれで。

B　　千円ね。

A　　それでそれで？どうやってコピーするの？

B　　簡単よ。さっき植えた種と一緒にこの千円も植えちゃいます。

A　　植えちゃうのか！

B　　そう、植えちゃいます。後は分かるよね？

A　　水をあげる！

B　　ご名答！

●水をあげる

A　　………

B　　………

A　　質問いいですか？

B　　はい？

A　　いつになったら、千円が増えるのかな？

B　　５年後ですね。

A　　へ？

B　　５年後です。種が芽をだし、苗木になり、その若木が立派な木となり葉をつける。そしてその葉が、欲しいもの。つまり、お金になるのです！

A　　金のなる木！

B　　その通り！そのためなら５年や１０年大したことないでしょ？

A　　そ、そうですね！うわぁ、本当か、楽しみだな

B　　喜んでもらえて何より何より。

A　　ちなみに。

B　　ちなみに？

A　　お金以外のモノもコピーできるの？

B　　出来ちゃいます、用意できる物と土の中に埋めておくことが出来るモノであれば。

A　　すげぇ！！パソコンとかも？

B　　できちゃいます！

A　　こーんなデカい車でも？

B　　土に埋めることができれば、ＯＫ

A　　ハンパねぇー！！じゃあじゃあ！

B　　じゃあ？

A　　人間…とかも？

B　　えぇ。埋めることが出来れば。

A　　埋めることが出来れば……か。

B　　確か、この近くに埋まっているはずですよ？

A　　埋まってるって？

B　　ボクの死体だよ。

END