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NEVER LET YOU GO

…という曲がB'zの楽曲にあって、すっごく久しぶりにそれを聴いてた。

最後に聴いたのがおそらく高校時代…軽く十年以上は聴いていなかったはず。でも久しぶりに聴いたら、当時は何となく聴いていただけ(ごめんなさい…)の歌詞が、思っていたより大人の雰囲気を醸し出している曲だった。

回転の遅い私の思考能力で察するに、恐らく恋人がいる状態で、もしくは何らかの守るべきもの(追い続けてる夢とか)を抱えたままの状態で、誰かを好きになってしまって…的な曲。でも歌詞の中で、好きな相手とはまた別の「彼女」っていう言葉が出てくる辺り、既にしてもう恋人がいる主人公なんだろーね。恋人がいるのに違う人を好きになって、でも恋人と別れるわけにもいかなくって…そんな感じでしょうか。

歌詞は著作権とかアレなんで引用しないけれど、歌詞考察しているサイトによっては「不倫の曲」と断定している人もいた。ああ、そういう解釈もあるだろうなあ。仕事で出逢った女性を好きになったけれど、自分はもうとっくに平凡な人生を選択していて―的な歌詞が出てくる辺り、平凡な人生=家庭、と捉えてもおかしくない。

でも私はどっちかと言うと、何らかの守るべきもの、特に、追い続けてる夢とかそういう、人では無いもの(って書くとまるで幽霊とかみたいだけど…)を抱えているせいで、新たな恋愛に対して踏み出せない男性を描いた歌詞のように感じた。どちらにせよ主人公には現在進行形でお付き合いしている恋人がいるとて、けれどもその点はそれほど重要じゃあないというか…そんな風に書くと薄情な人みたいになっちゃうけども。

駄々っ子だった私も歳を重ねていく内に、世の男の人にとって「夢」とか「目標」に値するものは、我々女サイドが思っているよりももっともっと、重要で、大切で、尊いものなんじゃあないかと思うようになった。

私の父がそうだった。幼少の私には理解できないくらいに仕事をやっていた。でも、自分が作った会社って、ある意味我が子も同然だものね。そりゃあ必死になって守りたくもなるだろう。会社が無くなっちゃったら、私というリアルな子供の食い扶持も稼げなくなるわけだし。

そういう、人とはまた別の「守るべきもの」の為には、恋愛を犠牲にすることだってあり得るのだろう。ほら、バンドマンでよくあるやつです、「俺には音楽が一番だから、君のことは大事にできない、だからごめん」的な…今の時代にはそういうの、廃れた考えかもだけど。

とにかく、心では「愛してるよ」と叫んでいても、「恋」と「守るべきもの」の二兎は追えないと、理性が恋心を制するのかも知れない。

NEVER LET YOU GO—日本語では「あなたを絶対放さない」という意味になるそうだけれど、本当は放したくないのに、自分の抱えたものの為には、放さなくてはならない想い。「あなたを絶対に放さない」と言いたいのに、言えずにしまい込む想い―否、全部私の妄想なんだけどさ。

にしても、稲葉さんが書くと歌うと、妙に色っぽいし切ないし、歌詞中の「現在進行形の彼女」がかわいそうじゃあないか!という想いも「稲葉さんならまーいっか、」と思えてくる不思議。だって濃厚な恋愛をたくさん重ねてイマに至っていそうじゃあないですか、稲葉さんって。

これが仮にBUMPの藤くんだと(私はけっこう前のBUMPしか知らないけれど)、現在進行形の彼女を心の中で裏切って別の女性を好きになる、なんて歌詞を書いちゃうと、けっこうな数の女の子が「そんな藤くん、イヤ!」…って言うような気がするのです。藤くんは素敵な男性だけれど、そういうタイプには見えないというか…否、けして稲葉さんが浮気性に見えるとか、藤くんがモテなさそうに見えるとか、そんなんじゃあ無いんだよ…。

ところで歌詞中の「自分はもうとっくに平凡な人生を選択していて」的な部分については、私の解釈では、このまま突き進むと決めた道—つまり「守るべきもの」主体の人生こそが自らにとっての「日常」、つまり「平凡」であって、それを選んでしまった以上は、君という「非日常」をこれからの「日常」にすることは、今の僕には出来ないんだ―というような趣旨なのかな、と思ったのでした。穿ちすぎ?

でもそんな「平凡」を歌詞中では「ちっぽけ」なものだとも言い加えている辺り、主人公はその「守るべきもの」に対して、ほんのちょっとだけ疑問も持っているのやも知れないね。それが本当に自分にとって「守るべきもの」なのか、愛する人を突き放してまで、人生を懸けていいものなのか、と。

…なんてことを考えながら、懐かしい名曲を聴いた午後。

いろんな価値観があることを自分の中に受容していきたい。そうすることで父や母のことを見つめなおして、「父」と「母」ではなく、只の一対の「男」と「女」として見られたならば、私はもう少しラクに生きていけるかも知れない。なーんてね。

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