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◉粉骨の行程を見学させていただきました【お寺の日々#191】

「海洋散骨」の見学の後は、「粉骨」の行程の見学もさせていただきました。

▼海洋散骨の見学のレポートはこちら
https://note.com/theterakoya/n/n19017068ee18

◆粉骨とは

「粉骨」とは、ご遺骨を細かく粉末状にすることです。

「散骨」をする際は、ご遺骨を火葬した状態のままでまくことはできません。

ご遺骨と分かる状態で散骨されていたら、山や海などでご遺骨を見かける状態になってしまいます。

それでは問題があるため、「散骨」をする際には、ご遺骨を細かく(1mm〜2mm程度に)「粉骨」する必要があります。

また、「粉骨」には、ご遺骨の体積が減るという特色があります。

そのため、納骨の際にこれまでよりも場所を取らなくなります。

例えばそうした事例では、墓じまいでご遺骨を改葬する(別の場所に納骨する)際に、複数名のご遺骨を「粉骨」するような事例があります。

「粉骨」をすることによって、ご遺骨の体積が減るので、納骨の場所をとらなくなります。

また、これはお寺や霊園側の事例ですが、永代供養をする場合に、「粉骨」をして合葬するところもあります。

(合葬といっても、ご遺骨はお一人ずつ別の容器(容れ物)に入れて、一緒にせずに合葬されるところもあります。)

またこれも、お寺や霊園側の事例ですが、合葬墓などに既に納骨されているご遺骨を粉骨して、合葬墓の残量を増やすなどの事例があります。

他にも、「粉骨」をして一部手元に置いておくなど、「粉骨」によって供養の仕方の選択肢が増えるとも言われています。

ただし、「粉骨」をすることに抵抗感がある方がおられたり、「粉骨」をすると、ご遺骨を元の状態には戻せないので、その点は注意が必要です。

◆粉骨の行程

「粉骨」の行程としては、乾燥、(銀歯やアクセサリーなどの)異物除去、ご遺骨を細かくし、容器に収骨、場合によっては圧縮するという行程があります。

また、見学させていただいた有限会社縁さんの「粉骨」では、六価クロムといった有害物質がご遺骨に含まれているかを検査し、含まれている場合には、無害化処理をおこなわれていました。

六価クロムは水に溶けやすく、水に溶けた六価クロムに触れると皮膚に炎症をおこしたり、癌の原因になる可能性があるとのこと。

散骨する場合には、無害化の処理をおこなうよう配慮されているようでした。

(ご遺骨を乾燥した状態で、そのまま納骨している分には、六価クロムは人体に影響はないとのことです。六価クロムは、火葬の際にお骨に付着するそうで、付着しないこともあるようです。)

◆ 散骨のルールづくり

「散骨」は、禁止されている場所があったり、人や環境へ配慮する必要がありますが、節度をもって行われる限り、自由におこなうことができるとされています。

それは逆に言えば、節度をもって行われない場合は、人の思いや環境の保全に反することになり、大きな社会問題となる可能性をはらんでいることでもあります。

そのため、日本海洋散骨協会などの協会をつくり、ルールやガイドラインを作成して、安心、安全に散骨できる環境づくりにも取り組まれているようです。

六価クロムの無害化処理も、そうした配慮の一つだと感じました。

日本海洋散骨協会の海洋散骨ガイドラインでは、金属、ビニール、プラスチック、ガラスなどの自然に還らないものは、散骨の際に一緒にまかないようにと注記されています。

他にも、献花する時は、花びらのみを献花するように促されていました。お花の茎の部分は、長い時間そのまま残るためです。

「散骨」や「粉骨」は、この数年で増えてきた供養の方法です。

まだ法的な規制が少ないため、ルールづくりやルールの遵守も、同時に整備していく必要があります。

そうした背景があり、日本海洋散骨協会などがつくられ、整備されていったことも、今回の「海洋散骨」と「粉骨」の見学から感じたところでした。

2024.05.13(月)記す

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【信行寺 今後の催し】

◉永代経法要
・5月17日(金)、18日(土)13時30分~15時頃
・内容:読経・講演
・講師:尾角光美さん(一般社団法人リヴオン代表理事)

◉オンラインお寺参り
・5月25日(土)午前7時~約30分間
・内容:読経・法話

◉朝参り
・6月9日(日)午前8時〜約30分
・内容:読経・ストレッチ・法話

▼催しの詳細はHPにてご確認ください。
https://shingyoji.jp/

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