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【仏教に学ぶ】「不必要に怒らない三つの智慧」③無財の七施

【仏教に学ぶ】シリーズでは、身近な疑問や悩み事を、仏教に学んでいます。前回に続き、「不必要に怒らない三つの智慧」というテーマで見ていきます。

前回は、「不必要に怒らない三つの智慧」の二つ目として、「思いやりの心を持つ」ことの大切さについて見ていきました。思いやりの心を持つことで、相手に対する理解が深まったり、相手に対する見方が変わり、怒りの心が和らぐことがある。そのようなお話をさせていただきました。

そして今回ですが、「不必要に怒らない三つの智慧」の三つ目として、「無財の七施」についてご紹介したいと思います。

「無財の七施」とは、「お金がなくてもできる思いやりの行為」のことです。無財とは、お金がなくてもという意味で、七施とは、七種類の施しのことです。

たとえお金がなくても、ほんのわずかなことでも、相手のためになることがある。日々の生活や仕事などでも、人のために実践できることがある。そのように思わされる内容が、「無財の七施」です。

「無財の七施」を心がけることで、相手に対する思いやりの心が育まれ、それが不必要に怒らないことにもつながってきます。

では、「無財の七施」とは、具体的にどのような内容なのでしょうか。ここからご一緒に見ていきたいと思います。

この話が、日々を安らかに過ごすようなご縁となれば幸いです。それでは、さっそく見ていきましょう。

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◆無財の七施

「無財の七施」の一つ目は、「眼施」(げんせ、がんせ)です。「眼施」とは、「優しい眼差しで相手に接すること」です。

目は口ほどに物を言うという言葉があります。怒っていると、ついその表情が目に出てしまいます。接する人が優しい眼差しをしていると安心しますね。自分も優しい眼差しをしていれば、それが相手にも伝わり、相手の心を和らげます。優しい眼差しは、互いの緊張や怒りを和らげると言っていいかと思います。

「無財の七施」の二つ目は、「和顔施」(わげんせ、わがんせ)です。「和顔施」とは、「和やかな顔で相手に接すること」です。

一つ目の「眼施」とも通じますが、和やかな顔も、互いの緊張や怒りを和らげます。眼の表情、顔の表情は、とても大事なんですね。怒っている時ほど、気を付けたいものです。

「無財の七施」の三つ目は、言辞施(ごんじせ)、または愛語施(あいごせ)です。言辞施、愛語施とは、「思いやりを持った言葉で相手に接すること」です。優しい言葉づかいをするということです。

接する人が自分のことを気遣ってくれるような言葉、優しい言葉をかけてくれたら、心が和みますね。例えばパートナーと喧嘩をした後に、相手が優しい言葉、思いやりをもった言葉をかけてきたら、それだけで怒りの心がおさまることもあります。

相手と仲直りしようと思った時には、意識的に優しい言葉、思いやりを持った言葉で接しようとするといいのではないでしょうか。中々、気持ちの収まりがつかなくて、難しいこともありますが。

次に「無財の七施」の四つ目は、「身施」(しんせ)です。「身施」とは、「身をもって思いやりを示すこと」です。

例えば、困っている人を助けたり、重い荷物を運んだり、車椅子を押すといったことです。そういう、思いやりの心を持って人のためにすることで、喜びや清々しい気持ちになり、怒りの心もどこかにいってしまいます。

「無財の七施」の五つ目は、「心施」(しんせ)です。四つ目の「身施」と読み方が同じですが、こちらは心のほうですね。五つ目の「心施」とは、「他の人を思いやること」です。

それは例えば、子どもに対して、「何でできないの」と怒るのではなく、なぜできないのかを子どもの立場で一緒に考えたり、できるようになったことを共に喜ぶような姿勢が「心施」です。

他の人を思いやることで、相手に対する理解が深まり、相手に対する見方が変わることがあります。

他の人を思いやることとは、自分の立場から相手を見下ろしてアドバイスすることではありません。相手の立場に立ってみようとすることです。相手の思いが少し分かった時に、怒りの心も和らいできます。

「無財の七施」の六つ目は、「床座施」(しょうざせ)です。「床座施」とは、「席や場所を譲り合うこと」です。

例えば、電車やバスでご年配の方に席を譲ったり、お店が込んできたら早めにご飯を済ませて、次の方がご飯を早く食べれるように配慮したり、また子どもが公園で遊んでいる時に、他の子に遊具を譲ったりすることなどです。

他にも、権力や地位にしがみつかず、後進に道を譲ることなども「床座施」だと言われます。

これらに共通することは、なるべく執着しない、捉われないようにするという姿勢です。私たちは、これは自分のものだと思い、執着する時に、怒りの心がわくことがあります。

ここは自分の席だ、自分のポジションだ、これは自分のものだと思い、そうならない時に怒りの心がわいてきます。日頃から席や場所を譲り合うことを心がけることが、捉われの心、怒りの心を和らげる訓練になります。

「無財の七施」の七つ目は、「房舎施」(ぼうしゃせ)です。「房舎施」とは、「心安らぐ場所を提供すること」です。

これは、雨風をしのぐ場所を提供することとも言われますが、昔は訪ねてきた人を一晩泊めるということもあったのでしょうね。

この「房舎施」を、現代に引き寄せて考えれば、例えば雨が降ってきた時に、友人を傘に入れたり、バス停の屋根の下などの雨風をしのげる場所を譲り合ったりすることなどしょうか。

他にも応用して考えると、「房舎施」とは、例えば来客に対して、おもてなしの心で接することなども言えるでしょう。おもてなしの心で接することで、接してもらったほうは嬉しい気持ちになります。

この「房舎施」も、つまりは思いやりの心を持って、相手に接するということです。思いやりの心を持って、人に接することが、相手への理解を深めたり、怒りの心を和らげることにもつながります。

いかがだったでしょうか。三回にわたって、「不必要に怒らない三つの智慧」について見てきました。

「怒りの原因を知る」こと、「思いやりの心を持つ」こと、「無財の七施」という三つの内容からお話しました。

今回は、その中の「無財の七施」について、ご紹介をしました。日々の生活や仕事の中で実践しやすい内容だったかと思います。宜しければ、参考にしていただければと思います。

この話が、日々を安らかに過ごすようなご縁となれば幸いです。


合掌
福岡県糟屋郡 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生

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【仏教に学ぶ】「不必要に怒らない三つの智慧」
▼①怒りの原因を知る

【仏教に学ぶ】「不必要に怒らない三つの智慧」①怒りの原因を知る|神崎修生@福岡県 信行寺|note

②思いやりの心を持つ
【仏教に学ぶ】「不必要に怒らない三つの智慧」②思いやりの心を持つ|神崎修生@福岡県 信行寺|note

▼③無財の七施
【仏教に学ぶ】「不必要に怒らない三つの智慧」③無財の七施|神崎修生@福岡県 信行寺|note

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