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利他の考え方をもとに、今何をすべきか?【仏教コラム】

皆さん、こんにちは。僧侶の神崎修生です。

前回は、「利他(他者のため)が重要な考え方になる」というテーマでお話を致しました。

感染症の流行や、食料不足、地震、気候変動、環境破壊などによる影響が、今後も起こり続けることが予想される中、利己(自分の利益だけを考え、他者のことを顧みないこと)では、社会がもたない、地球がもたないという大きなレベル感だけでなく、仕事も自分の生活も成り立たないということを、今回の新型コロナウイルスを通して、多くの方が自分ごととして実感されたのではないかと思います。

互いが支え合う社会、地域、職場、家庭などにしていかなければ、それぞれの生活が成り立たないことを基準にして、各々が自分の生活や、家族、仕事、地域、社会を設計しなおしていく必要があり、その中で、「利他(他者のため)が重要な考え方になる」という話でした。

そして、利己に対して、利他という言葉を強調してつかいましたが、本来的には、自利利他円満(自らのためが他者のためとなり、他者のためが自らのためとなる)が重要であるということでした。

▼前回の記事はこちら
https://online-temple.net/?p=376

今回は、「利他の考え方をもとに、今何をすべきか?」というテーマでお話させていただきます。

▼動画・音声でご覧になりたい方はこちら
https://youtu.be/9PPltwHBYD4

「利他の考え方をもとに、今何をすべきか?」について、私が思う結論を先にいうと、「課題解決のアクション」「利他の輪をつくること」ではないかと思います。


今回はまず、「課題解決のアクション」の重要性について、考えていきたいと思います。


課題解決のアクションをとる

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「課題解決のアクション」とは、自分ごとに感じる様々なレベルでの課題解決に向けて、アクションをとることです。自分が課題と思うことは、おそらく様々あり、色々なものによって変わってきます。


年齢や性別、自分や家族の健康状態、家族構成や家族・親族間の関係性、住んでいる地域や所属しているグループ、従事している仕事や部署、役職、役割、立場、責任など、個人のレベルから、地域や社会、国家、地球規模のレベルなど、人によっても違いますし、一人が複数のレベルの課題を抱えている場合が普通です。

どのレベルが凄いかということではなく、それぞれが自分ごとに感じる課題を見出し、その解決に向けたアクションをとっていくことが重要になります。


なぜ課題解決のアクションが重要か?

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なぜ、課題解決のアクションが重要かというと、まずシンプルに、課題とは困っている人(自分)がいるから課題と認識されるのであり、困った人(自分)の困りごとが解決されるのであれば、痛みやストレスが緩和されたり、より良い生活が送れるケースがあるからです。
逆に、課題解決のアクションをとらなければ、問題が重大化してしまうこともあります。


これは例えですが、治る可能性のある病気を治療しなければ、症状は悪化していきます。治る可能性がないのであれば、身体的・精神的な痛みを緩和するケアも重要になりますが、本人が治療を望み、治る可能性があるのであれば、治療するというアクションが重要になります。

治療をすることで、痛みやストレスが緩和され、より良い生活が送れる可能性があるからです。


課題解決のアクションも同じで、課題が解決される可能性があるのであれば、何よりまず、課題解決に向けたアクションをとっていくということが、今すべきことになるかと思います。

「利他の考え方をもとに、今何をすべきか?」の一つ目に、「課題解決のアクション」をもってきたのには、このような理由があります。


あれこれ議論に終始するよりも、まず課題を明確にして、課題解決のアクションをとったほうが、効果的であることは往々にしてあります。

仏教の開祖であるお釈迦様(ブッダ)は、このように語っています。

ためになることを、たとえ数多く語ったとしても、
それを実行しなければ、その人は怠け者である。
『ダンマパダ』19


厳しい言葉ではありますが、確かにそうだと頷かれる方も多いのではないでしょうか。現状に嘆いているばかりでは、何も変わりません。


そしてまた、課題解決のアクションが重要なのは、実行することで、多くの学びがあり、見えてくるものがあるからです。

アクションが課題解決に有効なのかどうかは、実行して初めて検証できます。アクションしてみて、有効ではない場合は、別の施策をとればよいですし、実行したことで、思わぬ効果があることもあります。

課題を設定したならば、ざっと今起きていることを概観して、課題解決に有効そうなプランがあれば、それを実行してみる。この先行きが不透明な時代においては、このスピード感が重要です。課題設定、概観、プラン策定、実施、改善を素早く回していきたいものです。


前提をもう一度確認しますが、「利己(自分の利益だけを考え、他者のことを顧みないこと)では、社会がもたない、地球がもたないだけでなく、仕事も自分の生活も成り立たない」、「だからこそ、互いが支え合う社会、地域、職場、家庭などにしていこうとする営みが大切であり、利他(他者のため)ということが重要な考え方になる」ということでした。


ある程度、何気なく生活していても、世の中が回り、経済が回り、仕事や家庭が円滑にいき、インフラも機能するのであれば、特に問題はありません。

しかし、感染症の流行や、食糧不足、地震、気候変動、環境破壊などの影響が起こり続けると実感される今だからこそ、「利他の考え方」を大切にし、「利他の考え方をもとに、今すべきことは何か?」を考え、実行することが重要だと考えます。そして、最初にとるべき方向性としては、課題を設定し、「課題解決のアクション」をとることが重要だと考えます。


まず、課題解決のアクションを取ろうとする。その中で、気付きや学びが多く出てくるはずです。


課題解決のためにアクションをすることは、他人事として見れば当然のように感じられ、あれをしたらいい、これをしたらいいと口では言えますが、いざ自分ごととして課題解決のアクションをとるとなると難しさもあります。


いったい何が課題なのか、ボトルネックはどこなのか、何から手をつけたらいいのか、解決に必要な資源はどこから持ってくるのかなど、考えることがいくつもあります。

複雑な課題も、解決が非常に困難な課題もあります。


このように、自分(たち)だけでは、課題解決のアクションをとることが難しい場合や、課題解決自体が困難な場合は、どうすれば良いでしょうか。


その時に、「利他の考え方をもとに、今何をすべきか?」についての二つ目、「利他の輪をつくること」が重要なポイントになると考えています。


次回以降に、「利他の輪をつくること」について、考えてみたいと思います。

最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。

合掌


浄土真宗本願寺派 教證山信行寺

神崎修生

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