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広い視野で物事を見る秘訣は?【今日の言葉】

皆さん、こんにちは。僧侶の神崎修生です。

「今日の言葉」のコーナーでは、仏教の価値観や世界観が現れた言葉を紡いだり、紹介をしております。

▼同じ内容を音声でもお聞きいただけます

最近は、幸せを育む対話カード「ウェルビーイングダイアローグカード」の問いに答える形で、「今日の言葉」を紹介させていただいています。


▼ウェルビーイングダイアローグカードはこちら
https://www.well-being-dialogue-card.com/


「ウェルビーイングダイアローグカード」は、幸福学や心理学の研究に基づいて作られたもので、トランプにある問いについて考えることで、幸福度が高まっていくように設計されています。

皆さんも是非、ご一緒に考えてみてください。


さて、私が選んだ「今日の問い」はこちらです。

【今日の問い】
広い視野で物事を見る秘訣は?

この問いは、広い視点を持つ人ほど楽観的で幸せであり、部分に着目する人は悲観的で幸福度が低いという心理学の研究結果に基づいて作られた問いだそうです。

さて、皆さんは、この問いにどう答えますか?

私の現時点での答えを、「今日の言葉」として紹介させていただきます。

【今日の言葉】
自分の意見が絶対に正しいかは分からない。
同じく、人の意見が絶対に正しいとも限らない。
自分も含めて、人それぞれが自分中心の執着を抱え、自分なりの見方をしている。
そのことを知ることが、広い視野と寛容性をもって物事を見る秘訣である。

我々は、物事を見る時に、必ず自分の経験や価値観、気分、感情、性質、立場、状況などをまじえて、自分のフィルターを通して物事を見ています。

コップに入った半分の牛乳を、3人の子どもに分け与えないといけないならば少なく感じますし、一人でカフェオレ用に牛乳を使うだけなら多く感じるかもしれません。

同じ物事を見ても、その時の状態によって見え方は変わりますし、人によっても見方が変わります。

ある方が、「借金を抱えていた時は毎日曇り空に見えた」と言っていました。青空の日でもその時の感情によって見え方は変わります。

大人はテーブルをテーブルとしてみますが、小さい子どもにとっては、遊び場になります。

このように、我々は物事を見ている時に、必ず自分というフィルターを通して見ていて、物事をそのまま、ありのままに見ているかというとそうでもないのですね。そして、それぞれに見え方、見方も違います。

自分は自分なりの見方をしている。そして、人も自分なりの見方をしている。

それぞれ、これまで育ってきた環境や経験、受けてきた教育も違うので、価値観は当然その影響を受けますし、同じ兄弟姉妹でも生まれた時から個性があるように性質が全く違います。

同じ人間でも、立場や状況、気分感情によって、見え方も変わってくる。体調が悪ければ、物事をネガティブにも考えてしまいがちです。


このように、自分も含めてそれぞれに自分なりの見方をしていること、その時によって見え方が違うこと、こうしたことを理解しておくことが、広い視野で物事を見る一つの秘訣であると感じています。


逆に、狭い視野になる時というのは、自分の価値観や考え方に固執しているとも言えるでしょう。

つい、自分の意見は正しい、間違っていないと、これまでの経験などから思ってしまいがちですが、逆の立場から見ればそうでもないことはざらにあります。

見方や常識は、国や時代が変わればがらっと変わります。今では信じられませんが、地球が四角いと思われていた時代もあったのですよね。

こうして考えてみると、自分の意見が絶対に正しいとは言えません。また同様に、他者の意見が絶対に正しいとも限らないでしょう。


しかし、自分がある特定の分野では知識的にも経験的にも人よりも優れていると思う時には、自分の意見が正しいと思い、人の意見を聞くことができなくなる場合もあります。

また、親子や家族、上司部下など、近いしい関係性の中で、自分の方が上の立場だと思うような時にも、自分が正しいという思いに固執してしまうこともあります。

過去の成功体験や先入観から離れられず、新たな発想ができない場合もあるでしょう。

座席のない車を考えてみてくださいと言われた時に、我々は今の車を知っているからこそ、発想が先入観に偏って、ぱっと思い浮かばないこともあるでしょう。


まとめると、我々は物事を見る時に、必ず自分の経験や価値観、気分、感情、性質、立場、状況などをまじえて、自分のフィルターを通して物事を見ているということ。

そして、自分の価値観や考え方に固執してしまう時に、狭い視野になることがあること。


こうしたことから、物事を広い視野で見れず、自分の見方に固執してしまい、自分は正しい、人は間違っているとしてしまうことがあると考えます。

今日の問いは、「広い視野で物事を見る秘訣は?」ということでした。

その問いに対して、今日の言葉を紹介させていただきました。

【今日の言葉】
自分の意見が絶対に正しいかは分からない。
同じく、人の意見が絶対に正しいとも限らない。
自分も含めて、人それぞれが自分中心の執着を抱え、自分なりの見方をしている。
そのことを知ることが、広い視野と寛容性をもって物事を見る秘訣である。

もう少しだけ深めると、人それぞれに自分なりの見方をしているのだけれども、そうしたことに気付いていくことで、相手の意見を表面上で受け取るのではなく、その人がなぜそういう考え方や見方をしているのかというところへ意識が向いていくことがあります。

その中で、人に対する思いやりや寛容性も育まれていきます。


お互いの思いに触れ合っていくことができると、立場の違いや、意見の違いを超え、その奥底にある思いを理解し合える可能性があります。

子育てに対して、夫婦の意見が合わずに言い合いする場合でも、それはお互いに子どものことを思うからこそですね。

子どもへの思いを共有できれば言い争いをしなくても良いかもしれません。そして、それぞれに相方が育ってきた環境などへ思い至り、互いの理解も深まるかもしれません。

それぞれが、自分なりの見方をしているのだと気付くからこそ、その背景にまで思いが至っていくということがあるのだと思います。それが、互いの理解を勧め、考え方や価値観を超えた、心の奥底で共鳴し合うような関係性がうまれてくると考えます。

その時に、自分の見方や考え方への固執から離れ、広い視野と寛容性をもって物事を見ることにつながっていくことでしょう。


また、知見がなくて視野が狭くなることもあるかと思います。

色々なもの触れて刺激を受けることも、視野を広げる上では良いことでしょうね。


皆さんはいかが思われるでしょうか?

今回は、広い視野で物事を見る秘訣について、現時点での答えを、今日の言葉として紹介させていただきました。

最後までご覧いただきありがとうございます。


合掌

福岡県糟屋郡宇美町 信行寺(浄土真宗本願寺派)

神崎修生

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