祭火小夜の後悔 よみました
表紙がとっても好きな雰囲気!!と思ってお買い上げ。案の定お話も好きな雰囲気でした。
この本の素敵なところは『怪異は怪異である』ということ。
怪異系のホラー小説は『怪異を解き明かす』タイプも多いのですが、この本の怪異は『そういう生き物なんだな』くらいの感じ。野生動物のごとくやってきて、関わり合い、そして気づけば野生に戻っていく。自然現象のごとくやってきて、気づいたら終わっている。そんな感じ。
怪異がどうして発生するのか、どうしてそんな行動をするのかは解き明かされないし、何なら名前もわからない。
怪異が解き明かされないことが、登場人物たちのフツーっぽさにもつながっていく。表紙の小夜ちゃんは主人公というかキーキャラクターなんですが、彼女は最初から最後まで『怪異にちょっと詳しいだけの普通の女の子』です。普通の女の子らしく悩んで、人を心配して、人に相談する。そのすごく普通の感じと、さっぱりした自然現象的な怪異が組み合わさって、『この世界のどこかで起こってそうな、すこし不思議な話』になっていく。
小夜ちゃんを取り巻く人たちも小夜ちゃんと同じで、ちょっと変わり者ではあるけども普通の人です。普通の先生と、普通の学生。そんなキャラクターだからこそ、彼ら彼女らの葛藤や奮闘を応援したくなる。
主人公はあくまで彼ら彼女らで、怪異は彩り。怪異がさっぱりしてるからこそ、普通である彼ら彼女らが奮闘するのを応援したくなる、そんなお話。
怖いというよりはドキドキして余韻の残るおだやかなホラーでした。怖い要素はかなり薄いので、ホラーあんまり得意じゃない人にもおすすめできる一冊です。ぜひ。
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