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読書記録

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#小説

疾走感あふれる、忘れられた『平家物語』の物語 [平家物語 犬王の巻/古川日出男]

大好きなアヴちゃんが映画の主演やるらしい!うれしい!!原作小説があるらしいから買って金曜読もう!!!って思ったんですが、我慢できずに木曜に読んじゃいました。途中からすごい楽しくて、一緒に駆け抜けられる、そんな本でした。 あらすじ平家の宝を探して生きるイオの者である友魚。友魚はある事件で失明してしまい、紆余曲折を経て、琵琶の音とともに平家物語を語る琵琶法師となる。 時を同じくして、猿楽の家の産まれたのちの犬王。彼は父にかけられた呪詛によって、この世のものとは思えない醜い姿で産

同志少女よ、敵を撃て をよみました

情勢を解説する動画で紹介されていて、小説なら読んでみるか…と軽い気持ちで読んでみたら、かなり熱中度が高くて一気に読んで読みおわった後すごい噛み締めてた本。 あらすじ戦中ながらも、平和な田舎町だったイワノスフカヤ。猟師の娘であるセラフィマは今日も母と狩りに出かけていた。 彼らにとって猟とは、食肉を手に入れる手段であり、食害をする動物を減らす手段でもある。殺さなければ、飢えて誰かが死ぬ。だから殺す。そんな世界線で彼女は生きている。 しかし村に戻ると、様子がおかしい。 そっと

祭火小夜の後悔 よみました

表紙がとっても好きな雰囲気!!と思ってお買い上げ。案の定お話も好きな雰囲気でした。 この本の素敵なところは『怪異は怪異である』ということ。 怪異系のホラー小説は『怪異を解き明かす』タイプも多いのですが、この本の怪異は『そういう生き物なんだな』くらいの感じ。野生動物のごとくやってきて、関わり合い、そして気づけば野生に戻っていく。自然現象のごとくやってきて、気づいたら終わっている。そんな感じ。 怪異がどうして発生するのか、どうしてそんな行動をするのかは解き明かされないし、何なら