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夫婦で「脱肉食(ミートフリー・ペスカタリアン)生活」をはじめた理由

今年の我が家の目標の1つに「脱 肉食」が掲げられている。「ミートフリー生活」とか、お肉を食べないベジタリアン=「ペスカタリアン」とも言うらしい。
まさか自分たちがこんな決断をするなど、想像もしていなかった。
好物の餃子や肉うどんを手放すなんて普通はできない。

なぜ脱肉食(ミートフリー・ペスカタリアン)なのか

先に言っておくが健康志向だからではない。宗教上の理由でもない。

「脱 肉食」の理由は2つある。
①地球環境に配慮した消費をしたい
②劣悪な環境で無理に育てられ 苦しみながら食肉になる動物を減らしたい


最終的に私たち夫婦の背中を押したのは、2019年の暮れに発生したオーストラリア史上最悪の森林火災のニュースだった。

なぜこんな悲劇が起きているのかを調べてみると、その原因が地球温暖化(気候変動)によるものだということを知った。
豊かな自然や動植物の命を守っていくためには、地球温暖化を一刻も早く止めなければならない。その想いが、ごく普通の食事をしていた私たち夫婦の食生活を一変させたのだった。

より詳しく説明していきたい。

①地球環境に配慮した消費をしたい

地球温暖化の大きな原因の1つである温室効果ガス。
実は畜産業は、クルマの排気ガスとほぼ同じ量の温室効果ガスを出している。

畜産業が出す温室効果ガスの7割近くが牛から出ている。
特に牛のゲップの中に含まれる温室効果ガス「メタンガス」が強烈で
二酸化炭素の28倍の温室効果があるガスなのである。

また、畜産業には動物が食べる飼料の確保が必要不可欠だ。
畜産業・農業から排出される温室効果ガスのうちの半分が飼料の生産によって生み出されたものである。この割合が少なくなれば温室効果ガスの排出量も大幅に改善される。

これについて圧倒的な分かりやすさで解説してくれているのがYouTubeチャンネル『TOKYO VEG LIFE』の動画。
畜産業と地球温暖化が繋がらない人はぜひ観ていただきたい。

TOKYO VEG LIFE

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実際に環境意識の高い欧州の国々では、食肉税を検討していたりする。
所得レベルの高い国々は、主に富裕層を対象に漏れなく導入すべき法案だと思う。


②劣悪な環境で無理に育てられ 苦しみながら食肉になる動物を減らしたい

これについても先に言っておくが、自分たちは決して動物愛護団体の関係者ではない。

後述する『フード・インク』を数年前に観たことが我々夫婦に大きな影響を与えた。

自分で立てなくなるほど強制的に太らされた鶏。
限界を超えてもなお、卵(玉子)を産まされ続ける鶏。
24時間定員オーバーの空間で精神的に限界を超えた豚。
虐待で足が折れたまま出荷される牛。

自分たちが食べている動物性の食品は、こういった目を覆いたくなるようなプロセスを経た可能性が非常に高いのである。

一方で、アニマルウェルフェアという考え方を用いて食肉を生産する農家も確実に存在する。家畜の健康に最大限配慮しながら育てていく方法だ。しかし、どこでも気軽に手に入るお肉ではないことも事実。必然的にそのお肉は高価となり、さらに扱っている店舗も少なく、毎日の食卓に並べることは現実的に難しい。

このような理由から、自分たちにできる事を議論した結果、肉食を可能な限りやめていくという結論に至ったのである。

脱肉食をはじめるうえでの夫婦間のルール

いろいろ難しいことを難しそうに書いたが、やはりいきなり肉を完全に断つことは難しい。
そのため、あくまでも「ゆるく」始めることにした。

・お肉は減らし(基本NG)、買う場合は信頼できる生産者から購入する→必然的に「良い肉」になる。値段は当然高い。

・ひとりの時と夫婦でいる時のみ適用されるルールとする
(友人や同僚との食事や、結婚式などの宴席で出されたお肉は美味しくいただく)

こうすることで、精神的なハードルを低くして、長く継続できるようにしている。
実際に肉食をやめてから2週間ほどが経つが、ほとんどストレスは無く、むしろ新しい生活を楽しめている。
同時に、日本でヴィーガンのような哲学を持った生活をすることの難しさも痛感している。。。



実際に毎日どんなものを食べているのかについては、今週から始めた夫婦のInstagramアカウントにてご確認いただきたい。

なぜか鬼の文字化けw  私もちゃんと料理してます。

なぜ夫婦の間で環境意識が高まったのか

2016年の12月に夫婦で『TOMORROW パーマネントライフを探して』という映画を観た。もともとお互いに環境問題やフェアトレード等の分野に興味はあったものの、「夫婦で」意識するようになったのはこの作品を観てからだと思う。
内容については下記の予告編を見ていただきたいが、この作品の視聴以降にパーマカルチャーや食の安全性等について夫婦で会話する量が確実に増えた。

『TOMORROW パーマネントライフを探して』



『TOMORROW』に加え、特に衝撃を受けた作品を紹介する。

『フード・インク』
当たり前に食べている食品がどのように生産され、その生産者はどのような労働環境の中で身を立てているのか。そういった現実を教えてくれる映画だ。この作品を観たことが、今回の脱肉食の決断に大きく影響していると思う。以降、ファーストフードや安い肉、平飼いではない玉子を滅多に買わなくなった。


『100億人  私達は何を食べるのか?』

世界の人口が100億人にまで増えたとき、今の食生活を維持することは不可能。(『ファクトフルネス』では将来的に120億人で安定すると書かれてあったので、未来はさらにエグいことになる)
虫を食べたり遺伝子組み換え食品を食べたりするだけでは足りず、世界的な問題はさらに悪化する。一方で、原点に立ち還り、希望を見出す生産者も存在する。そんな内容の映画。

自分たちの世代だけが楽しく・美味しい食生活を送れればOKという考えは即刻捨てないと、子供や孫の代で本当に食料を賭けた戦争が始まってしまう。。


脱肉食は子どもに親の背中を見せる行為

食べ物に限らず、自分の子供に説明できないことはしたくない。
自分たちが生きている間だけ楽しければOKというスタイルで生きたくない。
そう思って生きていなくても、結果的にそういう行動を(知らずに)していた場合も同義。そんな意識で決断した。

ひとりひとりが食べる肉の量を減らせば販売量が減る。
販売量が減れば生産量が減る。
牛や豚、鶏が減れば温室効果ガスと家畜の飼料を作る畑が減る。
家畜の飼料を作る畑が減れば無駄に開墾される森が減る。

子どもたちが生きる未来へ向けて、新たな循環と環境を作っていくのは自分たちの世代だと思う。

という記事を書いていたらこんなニュースが。

「お肉を食べる人」がマイノリティな存在になる未来がすぐそこまで来ているのかも知れない。

※2022年12月 追記※
この記事を書いてから約1年半後に、転職をしました。
プラントベースフード(動物性食材不使用・100%植物性食品)を製造・販売する食品ブランド『Grino(グリノ)』を立ち上げ、日々奮闘中です。
もしご興味があれば、こちらの記事もお読みいただけると嬉しいです。


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