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生き物ってどこから来たの?(SDGs14.2 その1)

生物って何種類いると思いますか?

人間ばかりではなく、象やアリ、魚や植物、バクテリアから菌に至るまで、現在地球上にいる生物は870万種類いるとされています。この中で名前がついている生物は14%程度しかいません。つまり、86%の生物がいまだ発見されていないか名前を付けられていないようです。(※1)その内訳は動物が777万種、植物が29万8000種、菌類が61万1000種となっています。ちなみに650万が陸上種で220万が海洋種だという。(※2)こんなに多くの生命が地球という大きな惑星に一緒に住んでいるんですね。でもこの生物はいったいどこからきたのでしょう?宇宙から来たかもしれません。神が作ったかもしれません。でも、どうやらこの生命の先祖を辿っていくと1つの生命にたどり着くようです。その歴史は簡単に言えば「誰が1番エネルギーを集められるか」という競争だったのです。その過酷なエネルギー競争のストーリーをみてみましょう。

地球は現在、48億歳です。最初はドロドロの溶岩の塊でしかありませんでした。その頃の地球の温度は1000度以上だったと言われています。そのうち地球も冷やされ空気中の水蒸気も無事水になることを許されたのは地球が約4億歳(44億年前)の頃、ちゃんと海という大きな水の塊ができたのが8億歳(40億年前)の頃だったようです。安定した海ができて地球約10億歳(38億年前)の節目にようやく地球初の生命体が海で生まれたのでした。その頃の地球は酸素はほとんどなく、水素や硫化水素、二酸化炭素など簡単な物質で成り立っていました。このあまりエネルギーにならないような物質を黙ってくるのを待つよりも、もっと効率よく集めようと動くモノが生まれました。それが最初の生物、微生物です。1つの細胞でできていて、遺伝子がまとまっていない原核細胞と言われる単細胞生物でした。残念ながらそれがどんな生命体だったのかは見つかっていないものの、たしかに何か生き物がいないとできないようなものが38億年前の地層から発見されたのです。そこから生命は様々な形を変えてより効率よくエネルギーを集めるような生命が生まれてきました。そんな生存競争の中、「待てよ!?微生物たちも多くなってきたし、集めるのって大変じゃん!なら、自分で作った方が効率良くない?」と思った微生物が生まれました。その名はシオノバクテリア。このシオノバクテリアが発明したエネルギーの作り方が、光合成です。二酸化炭素と太陽の光を使って、エネルギーを作るということを編み出しました。このエネルギーを作る上でいらなくなった物質は排出されます。それが毒の塊、酸素です。つまり、シオノバクテリアのフンこそ酸素になるわけです。地球21億歳(約27億年前)の頃です。この時代の酸素はエネルギーが高すぎるので、生物には毒でした。人間にとっても酸素がありすぎてしまっては毒になります。酸素原子が3つ繋がる(O3)のオゾンはれっきとした毒物です。このシオノバクテリアの光合成というエネルギーの集め方はたちまち大流行。一気に勢力を拡大していきます。そして酸素を必要としない生物(通称、嫌気性細菌)は酸素で生きる生物(通称、好気性細菌)によって、絶滅してしまいます。そして、シオノバクテリアはその後5億年もの間、生物界の頂点へ君臨し、地球26億歳(約22億年前)のころには大酸素イベントが起きて今の地球の酸素を作りました。しかし今度は「毒ではあるものの莫大なエネルギーを持つ酸素…あれなんとか手に入れられないかな?」と考えた生物が生まれました。新たな酸素獲得競争が始まったのです。そしてある単細胞生物が酸素をエネルギーに成功すると、その力は莫大でより酸素をとってガツガツ動くような生物に進化していきました。今度は「酸素取るのもめんどくさくない?いっそ動けるならエネルギーをいっぱいもってる微生物ごと食べちゃって、エネルギーにしたほうがいいじゃん」と考えた生物は、たくさんの細胞が一緒になって巨大化していきます。そうして多細胞生物が生まれてきました。そしてよりエネルギーが集まった多細胞生物をエネルギーにするもっと動ける動物が生まれてきたのでした。地球、42億歳(6億年前)のことでした。42億6000歳(5億4000万年前)のころ、突然生き物の種類が増えていきました。いわゆる「カンブリア爆発」です。この時生まれた生物が今の生物の直結の祖先(門、ボディプランと言われます)となるのです。そうして生命はエネルギーを求めて陸上に上がったり、空を飛んだり、知恵を使って種を広げていったりするようになっていくのです。

このように海から生命が生まれ、進化してきました。海こそ生命を生み出す、まさに母なる海なのです。今まで地球上に生まれてきた生物の種類は500億種類とも言われています。そのうち99%以上が絶滅してきました。生あるものはいつかは滅びるのが定めとは言えども数少ない種族がいま地球には頑張って生きています。

しかし、それが大変なことになっているのです。恐竜が謳歌していた時代(2億年前〜6600万年前)には1000年に1匹程度の絶滅だったものの、西暦1600年には4年で1種、1900年には1年に1種、そして現在では1年に40000種の生物が絶滅しているのです。(※3)このままでは絶滅は仕方ないで止まらないのです。今こそ地球が危ないのです。そこでSDGs14「海の豊かさを守ろう」の第2ターゲットとして取り上げたのが昔のように海の生き物がいっぱいいるようにしようという内容になりました。SDGsの中ではこのように言われています。

「2020年までに、海洋および沿岸の生態系の強靭力(レジリエンス)の強化や回復取り組みなどを通じた持続的な管理と保護を行い、大きな悪影響を回避し、健全で生産的な海洋を実現する。」

簡単に言うと「生命を生み出す本来の海になれるように私たちができることをしましょう!ましてや人間たちが絶滅に追いやるなんて言語道断!生命あふれる海を取り戻しましょう!」ということです。ではどうすれば生命あふれる海にできるか、まずはその現状と原因を探ってみましょう。

※1,National Geographic 「地球上の生物は86%が未知種?」 海洋生物学者ボリス・ワーム氏率いるダルハウジー大学(カナダ)の発表
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/4770/

※2,環境展望台「国連環境計画等、地球上の生物種数は約870万とする研究報告を発表」
https://tenbou.nies.go.jp/news/fnews/detail.php?i=6363

※3、オシンテック「生物多様性を守るための損得と経済学 ~ダスグプタ・レビュー~」
https://note.com/osintechofficial/n/n93c1a147ab06

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