見出し画像

学習系プロダクトのPdMとして、学びのアウトプットについて考える

こちらは、GLOBIS Advent Calendar 2020 22日目の記事です。

グロービスでプロダクトマネージャーをしている神崎です。
今回は、グロービス学び放題という学習系プロダクトの開発をしている中で考える機会の多いアウトプットの方法について書いていきます。

はじめに断っておくと、この記事は私の個人的な経験や感想を述べたものであって、確たるエビデンスがあるものではありません。

知識定着におけるインプットとアウトプットの方法などで調べていただくと「きちんとした」研究や考察についてたくさんの記事があると思うので、詳しく知りたい方はそちらも参照ください。

アウトプットは難しい

みなさん日々書籍や動画などでインプットしたことをどれくらいアウトプットしているでしょうか。
※前提としてこの記事では、得た知識を何らかの方法で「使う」ことをアウトプットと定義して話を進めていきます。

われわれグロービス学び放題のユーザーが集まるコミュニティでは、学習という領域の中から様々なテーマで議論をするのですが、そのなかでもよく取り上げられるのが「学んだことをどうアウトプットするか?」です。

やはり多くの人がアウトプットには悩まれているようで、議論が盛り上がります。

具体的には以下のような悩みの声が多いです。

「動画を見て知識は増えるが、その知識をどのように定着させていくか…」
「動画を見ることが目的になってしまってアウトプットが少ない…」
「職場で応用しているが、なかなか上手くいかない…」

コミュニティ内でアンケートをとってみたのですが、ほとんどの人が7:3から8:2くらいでインプットのほうに比重が偏っているみたいです。(かくいう私もインプット過多)

では、次に自分や自分の周りでよく用いられているアウトプットの方法について、それぞれの特徴を書いていきたいと思います。

いろいろなアウトプット

画像2

『要約する、感想を書く』

最も一般的なやり方かもしれません。

自分も読んだ書籍について要約したり、考察を書いたり、はたまた自分だったらどのように業務に活かすのか?を書いたりすることがあります。(調子に乗ってAmazonのレビューを書いてみたり)

これの欠点は、インプットして書くとこまでをセットで習慣にしないときつい、続かないことです。
どうしても次のインプットに手が伸びてしまう。

また、アウトプットしたわりには定着がいまいちだなーと思ったりします。自分のやり方が良くないだけかもしれませんが。

『誰かと話す』

ラーニングピラミッドと呼ばれる、学習の定着率をその方法ごとに表した図があるんですが、その中の「グループディスカッション」という項目にあたるやり方で、その定着率は50%とされています。

グロービスでは、定期的に読書会が開催されています。

会社公式のもの非公式のもの、様々な種類があるのですが、基本的には事前に課題図書を読んでおいて「気づき」「疑問点・議論したい点」などをまとめておく。
会当日は少人数のグループをつくって、まとめた点について各自共有し議論を進めていくといった流れです。

自分で要約したり、感想を書いたりする行為に加えて、他者の視点からの意見をもらえることで新たな気づきが得られることが多く、学んだ内容が比較的よく頭に残っているな、という印象です。

『教える』

先に述べたラーニングピラミッドで、最も定着率が高いとされる方法です。

その定着率はなんと、90%らしい(ちなみに最も低いのは講義を聞く、で定着率は5%)です。

グロービスには、ビジネススクールで講義をする講師の方もたくさん所属しているのですが、その知識量は当たり前ですが圧倒的に多いです。

いわゆるIT業界だと講師までとはいかなくとも、LTなどで登壇しつつ発表した内容についての質疑を受ける、くらいの機会であれば作れるかもしれませんね。

『テストを受ける』

テストのタイミング、テストにかける時間、テストの質や量など、様々な変数があり深堀りがいのあるアウトプット方法です。

サービス提供者目線になりますが、グロービス学び放題ではマイクロラーニングの形でコンテンツを提供しており、その中にどうテストを組み込んでいくか?はよく議論になります。
学習後に選択式の確認テストを受けてもらう、というライトなやり方もテストの1つかもしれませんが、それだけで学びが定着するとはあまり思えません。

また、テストで良い点を取ること自体が目的となってしまわないように気をつける必要があると思います。
ゴールは学びが定着したか?得た知識を業務で活用できるレベルまで消化できているか?ですよね。

それらを考えてテストを設計していく必要があります。

個人ではなかなかテストを受ける機会は少ないと思うので、個人向けの学習系プロダクトとして、しっかり提供していきたい類のものになります。

『仕事で使ってみる』

個人的には最も学んだことが定着するやり方なのではと思っています。
まさに実践に勝る経験はなし。

これをやるのに必要なのは、なんといっても行動力でしょう。

インプットしたことをそのまま愚直に使ってみたり、それが難しい場合は多少抽象化して実務で使えるよう工夫する必要があります。

どちらにせよ、日常の業務の中で自然に活用できるようになるためには、とにかく失敗を恐れず行動して場数を踏むことが大切な気がします。

自分はまだまだやれていない…

最後に

画像2

以前に弊社のコミュニティチームのマネージャーが「アウトプットでは恥をかけるかどうかが大事」という発言をしていていいなと思いました。

要約や感想を書くって(公開してフィードバックをもらうことをしなければ)自分だけの自己満足な世界に閉じがちですよね。

一方で、他人に教えたり、SNSで発信するなど、人が見る機会があるアウトプットだと、それをするための「必死さ」「覚悟」が必要になってきます。
もちろん、間違ったことをアウトプットして恥をかいたり失敗したりするときついんですが、そこに成長の機会があるんだと思います。

われわれグロービス学び放題のユーザーコミュニティでは、どんどん発言してどんどん恥をかくことを推奨しています。
仕事と違って評価や給料なんて気にする必要がなく、ポジションや知識量による上下関係もない。
そこにあるのは、全員の学びに対する積極的な姿勢だけです。

最後は宣伝みたいになってしまいましたが。

まとめると、アウトプットは学びを定着させるだけでなく、それによって行動が変わり、成長し、成果が出せるようになることで学び自体が楽しくなるという正のループに入るスタート地点だと思っています。

アウトプットについて、考えるきっかけになれば幸いです。


※ Loose Drawing さんの素敵なイラスト素材を利用させていただきました。

いいなと思ったら応援しよう!