世界大学ランキングについて調べたので共有します

TOPUNIVERSITIESが発行する世界大学ランキング(以下、大学ランキング)、UoPeopleの記載はありませんでした。Webometrics rankingというサイトでは2020年に5822位と記載されているのですが、恐らく前者の方が世界的にも有名だと思います。じゃあTOPUNIVERSITIESの大学ランキングって何なのかと疑問に思ったので、調べました。


結論

ざっくりまとめると、「大学の知名度や教育の質が「誰もが知っていて、かつ素晴らしい」という状態で、卒業生も社会で活躍していて、教員数が多くて学生が教育の恩恵を能動的に得やすい環境で、被引用件数が多くて大学の研究のレベルも高く、国際的な学部や学生が多い」大学が最高の大学。


大学ランキングの評価項目とは

以下の5項目で加重平均を取って、総合点でランク付けしています。

評価項目英名 n%: 評価項目日本語訳→評価目的

Academic Reputation 40%: 学術的な外部評価→学術評価
Employer Reputation 10%: 卒業生の市場価値の外部評価→市場評価
Faculty/Student Ratio 20%: 学部・学生の割合→教育機会の提供の程度の評価
Citations per Faculty 20%: 分野ごとの被引用数→学術研究の質の評価
International Faculty/International Students 各5%: 国際的な学部や学生の数→大学のグローバル対応の程度の評価


各項目の解釈

各項目の具体的な説明を解釈していきます。重要なワードを太字で記載しました。太字だけ読めばある程度わかるようになっています。翻訳はGoogle TranslateとDeepLを活用し、日本語がわかりやすい方を選択して引用しています。結果的に全てGTを用いることになりました。理由としては、DLはGTと比べると文章がよりフォーマルで、当該サイトの文英文には合わなかったためだと思います。


Academic Reputation:学術評価

"The highest weighting of any metric is allotted to an institution’s Academic Reputation score. Based on our Academic Survey, it collates the expert opinions of over 100,000 individuals in the higher education space regarding teaching and research quality at the world’s universities. In doing so, it has grown to become the world’s largest survey of academic opinion, and, in terms of size and scope, is an unparalleled means of measuring sentiment in the academic community." (TOPUNIVERSITIESより引用。以下略。)
「あらゆる指標の中で最も高い重みが機関の学術評判スコアに割り当てられます。私たちの学術調査に基づいて、世界の大学での教育と研究の質に関する高等教育分野の10万人以上の専門家の意見を照合します。そうすることで、 それは学術的意見の世界最大の調査に成長し、規模と範囲の点で、学術界の感情を測定する比類のない手段です。」(Google Translateより引用)

つまり専門家の意見を集めて集計し、(恐らくはそれらは何らかの定量的な項目を設けて数値化することが可能で、)各大学を比較しているようです。項目名に"reputation (評判・外部評価)"とあるように、外部からの評価が重要なようで、「誰もが知っていて、かつ素晴らしい」という状態が理想だと言えます。例えば東京大学でいうと、日本人なら誰もが知っているし、アカデミックなコミュニティでも十分な評価を得ています。実際の点数を見てみると、東京大学は100/100、京都大学は95/100でした。ハーバードとMITはどちらも100/100でした。


Employer Reputation:市場評価

"Students will continue to perceive a university education as a means by which they can receive valuable preparation for the employment market. It follows that assessing how successful institutions are at providing that preparation is essential for a ranking whose primary audience is the global student community.
Our Employer Reputation metric is based on almost 50,000 responses to our QS Employer Survey, and asks employers to identify those institutions from which they source the most competent, innovative, effective graduates. The QS Employer Survey is also the world’s largest of its kind."
「学生は、就職市場に向けて貴重な準備をするための手段として、大学教育を引き続き認識します。 したがって、教育機関がその準備をどの程度成功させているかを評価することは、主要な対象者がグローバルな学生コミュニティであるランキングにとって不可欠です。
雇用主の評判の指標は、QS雇用主調査に対する約50,000件の回答に基づいており、最も有能で革新的で効果的な卒業生を調達している機関を特定するよう雇用主に求めています。 QS Employer Surveyは、この種の世界最大の調査でもあります。」(Google Translateより引用)

つまり、市場で活躍している人がどの大学出身なのかを雇用主を対象に調査を行い、数値化して評価しているということみたいです。市場で活躍している人はこの大学に多いということしかわからず(「この大学の人は市場で活躍する」ということは言えていない)、結果論的な評価であるため、評価比重が10%と低いのでしょうか。在学人数と評価人数の関係が重要そうです。


Faculty/Student Ratio:学部・学生の割合(教育機会の提供)

"Teaching quality is typically cited by students as the metric of highest importance to them when comparing institutions using a ranking. It is notoriously difficult to measure, but we have determined that measuring teacher/student ratios is the most effective proxy metric for teaching quality. It assesses the extent to which institutions are able to provide students with meaningful access to lecturers and tutors, and recognizes that a high number of faculty members per student will reduce the teaching burden on each individual academic."
「教育の質は、通常、ランキングを使用して教育機関を比較するときに、学生にとって最も重要な指標として学生によって引用されます。 測定が難しいことで有名ですが、教師と生徒の比率を測定することが、教育の質を測る最も効果的な代理指標であると判断しました。 教育機関が学生に講師やチューターへの有意義なアクセスを提供できる範囲を評価し、学生あたりの教員数が多いと、個々の学者の教育負担が軽減されることを認識しています。」(Google Translateより引用)

学生がどの程度の教育享受の機会を提供されているかという指標です。教育の質を測定するのは難しいけど、教員の数と学生の数を比較すれば、教育の機会という点で評価することはできるということが書かれていますね。学生数に対して教員数はどのくらいかが重要そうです。


Citations per Faculty:学部ごとの被引用数

"Teaching is one key pillar of an institution’s mission. Another is research output. We measure institutional research quality using our Citations per Faculty metric. To calculate it, we take the total number of citations received by all papers produced by an institution across a five-year period by the number of faculty members at that institution.
To account for the fact that different fields have very different publishing cultures – papers concerning the Life Sciences are responsible nearly half of all research citations as of 2015 – we normalize citations. This means that a citation received for a paper in Philosophy is measured differently to one received for a paper on Anatomy and Physiology, ensuring that, in evaluating an institution’s true research impact, both citations are given equal weight.
We use a five-year publication window for papers, so for this edition we looked at papers published from 2014 to 2018. We then take a look at a six-year citation window; reflecting the fact that it takes time for research to be effectively disseminated. In this edition we look for citations from 2014-2019.
All citations data is sourced using Elsevier’s Scopus database, the world’s largest repository of academic journal data. This year, QS assessed 81 million citations from 13.9 million papers once self-citations were excluded."
「教育は、教育機関の使命の1つの重要な柱です。もう一つは研究成果です。教員ごとの引用数の指標を使用して、機関の研究の質を測定します。それを計算するために、私たちは、その機関の教員の数によって、5年間に機関によって作成されたすべての論文によって受け取られた引用の総数を取ります。
分野ごとに出版文化が大きく異なるという事実を説明するために(2015年現在、ライフサイエンスに関する論文がすべての研究引用のほぼ半分を占めています)、引用を正規化します。つまり、哲学の論文で受け取った引用は、解剖学と生理学の論文で受け取った引用とは異なる方法で測定され、機関の真の研究への影響を評価する際に、両方の引用に同じ重みが与えられます。
論文には5年間の発行期間を使用しているため、この版では2014年から2018年に発行された論文を検討しました。次に6年間の引用期間を検討します。研究が効果的に普及するまでには時間がかかるという事実を反映しています。この版では、2014年から2019年までの引用を探します。
すべての引用データは、学術雑誌データの世界最大のリポジトリであるエルゼビアのScopusデータベースを使用して提供されています。今年、自己引用を除外すると、QSは1390万の論文から8100万の引用を評価しました。」(Google Translateより引用)

元の文が少しわかりにくく、結果、機械翻訳も多少わかりにくくなっていますが、要するに、教育機関の使命は①教育(teaching)と②研究成果(research output)であり、この項目では後者を測定している。ElsevierのScopus databaseの引用を基に、分野ごとに異なる引用の総量を考慮して計測する。大学ごとに、直近5年間の内に発行された論文の被引用数を測定し、評価する。


International Faculty/International Students:国際学部・学生

"A highly international university acquires and confers a number of advantages. It demonstrates an ability to attract faculty and students from across the world, which in turn suggests that it possesses a strong international brand. It implies a highly global outlook: essentially for institutions operating in an internationalised higher education sector. It also provides both students and staff alike with a multinational environment, facilitating exchange of best practices and beliefs. In doing so, it provides students with international sympathies and global awareness: soft skills increasingly valuable to employers. Both of these metrics are worth 5% of the overall total."
「高度に国際的な大学は、多くの利点を獲得し、授けています。 それは世界中から教職員と学生を引き付ける能力を示しており、それは今度はそれが強力な国際的ブランドを持っていることを示唆しています。 これは、非常にグローバルな見通しを意味します。本質的には、国際化された高等教育セクターで運営されている機関にとってです。 また、学生とスタッフの両方に多国籍環境を提供し、ベストプラクティスと信念の交換を促進します。 そうすることで、それは学生に国際的な共感と世界的な認識を提供します:雇用主にとってますます価値のあるソフトスキル。 これらの指標は両方とも、全体の5%の価値があります。」(Google Translateより引用)

学生やそこで働く人たちがグローバル市場においてどの程度の適応力があるかを計測している。国際系の学部や留学生、学生の国際的な流動性等が考慮される。


最後に

東大生は仕事で使えないといった批評が一時期流行ったと思います。モルトケの法則に則れば、そんなものはただのルサンチマンの戯言にすぎず、学歴と市場価値にはある程度高い相関関係が示される事実とも合わせて、学歴はそれなりに重要だというのが私の意見です。「学歴」と「実績」という言葉の関係自体がそもそも結果論的で歪であることを度外視しても、学歴とはすなわちその人の言語運用能力や情報運用能力のある程度の証明になるわけで、実力主義とはいえその実力を精査する時間を悠長に与えれるほど時間の流れが遅くない現代では、それらの能力の証明手段としてもやはり重要なのだと思います。

学歴と仕事の関係云々の問題よりも重要なのは、学歴というある程度の実力証明の場が、不可逆的な時間の流れで制限されているという事態であり、つまり、一度教育享受の機会を逃してしまえば、たちまち社会からの信用は失われ、個人のバックグラウンドの如何に関わらず、有体に言ってその機会を得ることは不可逆的に不可能であると考えてしまうことの方が深刻な問題だと思います(※論理のすり替えと捉えられるかもしれませんが、学歴と仕事の関係云々の問題はそもそも的外れであり、それよりも重要な問題だとして私が考える事態を、新たな議題として導入しているという流れです。)。教育の重要性を感じない状態で教育を強制的に受けさせられ、社会、又、地方コミュニティの無責任な悪しき期待に思考を支配され、後悔に至り、気づいたときには遅かった、、みたいな救済の無いように感じてしまう状態は、あぁ格差を感じるなぁという所感です。幸い私は母に厳しく育てられ、教育の重用性は彼女からは教わらなかったにせよ、結果的に教育の恩恵を受けることができています。「今の時代、自分の力でどうにかできることが多い」という強者の論理が巷を騒がせ支配しているように感じ、窮屈に思うばかりです。そこに資本主義と情報の非対称性による欺瞞が横行した際には、弱者がアリ地獄へと飲まれていく、素晴らしき現代社会を感じることができます。就活をする身として、人材会社との関わりや会社で働くための心構えやビジネス上の論理を体感する中で、自分を客観的に把握することができず、複雑な他者の価値観や論理が交錯する中で溺れ死んでしまうのも、仕方のないことだとも思えてしまいます。私は基本的にネガティブで、人に頼るのも苦手なタイプなので、自分が負のサイクルに陥ったことに気づかずに、しまいには楽な死に方を調べていたこともありました。具体的に見るには至らず、死に方を客観的に感情抜きで書いた、完全自殺マニュアルという本のレビューを読んで、自殺も自殺で難しいのだなと感じた思い出があります。なんにせよ、異質な存在同士がコミュニケーションという知識共有を構築して生存できている人間という動物として、教育という体系化された有益な情報の共有手段・機関について、もっと考えないいけないよなと、大学ランキングについて調べながらこれまでの短い人生と比較しながら、色々思ったことを最後につらつらと垂れさせていただきました。ご読了、ありがとうございました。