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フェルミ推定〜2019年日本のキャッシュレス決済額〜

目安時間:10分

当記事は、
ビジネスや就活で役立つコンテンツを5分程度で読めて、直ぐに実践できるをコンセプトにTHE Professional運営メンバーが執筆したものです。

こんにちは!THE Professional の樋口です。

外資系の就活においては、ケース面接やフェルミ推定などがよく問題に出されます。
最近は動画で10分間フェルミ推定をさせて5分間で発表する録画形式のものまであるようです。

今回は、その中でもフェルミ推定について見ていきたいと思います。

早速問題に入ります。
(外資系戦略ファームベインアンドカンパニーの過去の問題から抜粋)

問題:
日本の2019年のキャッシュレス決済額(個人での私的な決済が対象)を、試算して見てください。(単位:円)

回答には以下の3つを含めてください。
1.どのように要素分解したか
2.各要素にどのように数字を置いたか
3.結果としてどのような資産になったのか

※準備時間は5分、発表時間は5分です。

ここからは回答例を示しつつ、その都度pointをお伝えしていきます。

Point①
フェルミ推定の肝は数字の正確さではなく、数字の関連性とロジック

フェルミ推定とは、そもそも正確な数字がわからないものに対し、どのような要素分解を行なって、ある程度の概算を導くことができるのかを試すことで、受験者の自頭を見ようとする試験形式です。

従って、数字が突拍子も無いほど外れていない限りは、桁数がだいたい合って、その数字に根拠があれば減点対象にはなりません。

例えば、1000万人の東京都の人口を100万人や1億人という概算をだすとちょっとアレっとなります。しかし、ここがフェルミ推定の面白いところで、ロジックさえ合っていれば、面接官が見ているのは受験者の自頭なので突破できることがあります。(面接官でさえ本当の数字を知らない場合もあるほどです。)

Point②
回答するときの順番は、
『結論→話の全体→それぞれの構成の詳細』
という感じで進めていきます。

できるだけ、面接官の頭を使わせないようにすることが大事です。
「こうなれば、当然これを説明しなければならないので、次はこれを説明する」
というような、話の流れに必然性を持たせることで聞き手の印象も変わってきます。


では回答に入っていきます。

<回答例>

<結論>
日本の2019年のキャッシュレス決済額は
28兆1250億円(≒30兆円)と推定できました。

<話の全体>

まず計算過程として、

「キャッシュレス決済額=①全ての決済額×②キャッシュレス決済額割合」・・・⑴

なので、①②それぞれについて見ていき、最終的にそれらの数字を⑴に代入して答えを出していきます。

①全ての決済額
=日本の年間GDP×家計の消費(生産)割合
=500兆円×50%
=250兆円・・・⑵

ここでは、法人や行政の消費額と国民の消費額の全体における割合を50:50と推測しています。これに関しては正確にはわかりませんので、仮にこの数字が30:70だったとしても大幅なけたの違いにはならないと踏んでこの数字にしています。

②キャッシュレス決済額割合
ア):家計の消費に使われる決済手順をまず洗い出す。

イ):その決済手段の中で決済額の割合を概算する。
ア)家計の決済手段
...「クレジット」「現金(口座振替含む)」「電子マネー」
それぞれの特徴
(ⅰ)「クレジット」=キャッシュレス
...大きな金額を一度に払ったり、長期に分割して払っていく。成人以上なら70~80%が持っている。
(ⅱ)「現金(口座振替含む)」
...一度に大きな金額は使わない。ほぼ全ての人が使う。
(ⅲ)「電子マネー」=キャッシュレス
...一度に大きな金額は使わない。使っている人はまだあまりなく、若い世代の一部。
イ)決済手段の決済額の割合
家計の世帯種別(単身・夫婦・家族の三種)に分類していく。
用途を、
「食費」・「ローン費/家賃」・「雑費」・「養育費」
とする。

(ⅰ)単身世帯(1500万世帯/4000万世帯)
・家賃...50%(クレジット:現金&口座振替=5%:45%)
・食費...30%(クレジット:現金:電子マネー=3%:26%:1%)
・雑費...20%(クレジット:現金:電子マネー=2%:17%:1%)

(ⅱ)夫婦世帯(1000万世帯/4000万世帯)
・家賃&ローン費...40%(クレジット:現金&口座振替=4%:36%)
・食費...30%(クレジット:現金:電子マネー=3%:26%:1%)
・雑費...30%(クレジット:現金:電子マネー=3%:26%:1%)

(ⅲ)家族世帯(1500万世帯/4000万世帯)
・家賃&ローン費...40%(クレジット:現金&口座振替=4%:36%)
・食費...30%(クレジット:現金:電子マネー=3%:26%:1%)
・養育費...20%(現金&口座振替)
・雑費...10%(クレジット:現金:電子マネー=1%:8%:1%)
クレジットの決済額割合
=(単身世帯の割合×クレジット決済額割合)+(夫婦世帯の割合×クレジット決済額割合)+(家族世帯の割合×クレジット決済額割合)
=(1500万世帯/4000万世帯×10%)+(1000万世帯/4000万世帯×10%)+(1500万世帯/4000万世帯×8%)
=0.0375+0.025+0.03
=0.0925=9.25%

現金の決済額割合
=(単身世帯の割合×現金決済額割合)+(夫婦世帯の割合×現金決済額割合)+(家族世帯の割合×現金決済額割合)
=(1500万世帯/4000万世帯×88%)+(1000万世帯/4000万世帯×88%)+(1500万世帯/4000万世帯×90%)
=0.33+0.+0.22+0.3375
=0.8875=88.75%

電子マネーの決済額割合
=(単身世帯の割合×電子マネー決済額割合)+(夫婦世帯割合×電子マネー決済額割合)+(家族世帯の割合×電子マネー決済額割合)
=2%

※この解法では、クレジット、現金、電子マネーのそれぞれの割合をわざわざ計算しましたが、本番であれば、「現金」の部分だけ計算して全体の1から引いてキャッシュレスの割合を出した方が良いと思われる。
キャッシュレス決済額割合
=クレジット決済額割合+クイックペイ決済額割合
=9.25%+2%
=11.25%
・・・⑶


⑴の式に⑵と⑶の数字を代入します。
キャッシュレス決済額
=全ての決済額×キャッシュレス決済額割合
=250兆円×11.25%
=28兆1250億円

経済産業省の調べによると、家計の最終消費支出が全GDPの約60%である293.9兆円(名目GDP)で、その内、キャッシュレスの決済額の割合が18.4%と言われているので、約54兆円なのでそこまでの乖離にはなっていませんね。

まとめ

今回はフェルミ推定について見ていきました。
制限時間に整理して相手に論理的に伝えるのは本当に難しいですよね。
しかし、面接官が何を求めているのかを把握することで、選択と集中の原理から格段に精度が上がっていきます。
正確な数字ではなく、数字を導き出した根拠のロジックを見ていること。相手に理解させる努力をさせないことを意識してやって見てください。

この記事はビジネスの基礎力を身に着ける、外コン/外銀/ベンチャー/企業を目指す若者向けのコミュニティ、The Professional運営が書いたものです。
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執筆担当 樋口
THE Professional 運営
福岡出身。趣味は釣りとバスケとカラオケ。
EC領域での採用業務経験あり。将来的には都会の喧騒から抜け出し、田舎で小洒落なカフェを開いて隠居したい若者。