オオカミは想いを馳せる 4
抗体を注射されてから最初の1週間、体調にこれといった変化は無かった。特に調子が良くなるわけでもなく、副作用が現れるわけでもなく、変化の無い日々が続いた。
しかし、10日が過ぎる辺りから体調は少しずつ快方に向かっていった。処方される1日3回服用の薬を飲まずとも、意識の混濁やその他の症状が発症することが少なくなり、最終的にはまったくなくなった。
A大学附属病院での定期検診の際にも、細菌の減少と髄液の増加が確認され、担当医は驚きを隠せないといった様子だった。(榊から担当医に抗体