偶像

私は君の喉仏を愛撫した。きっと火葬されたら君の喉仏は残らないだろうなんて思いながら。

そして、そのまま首を絞めた。
死ねばいいと思ったわけじゃない。いつもに増して人形じみた君が可愛く見えたからだ。

君が無視するので、私は自分自身の気道を軽く塞いだ。

暇だったからだ。

君には私が死を試みているように見えたのかな。

君が取り乱すのは、不愉快。

その程度では私は死なないし、私はもっと苦しくて死ぬような思いを何度かしてきているし、それでもまだ生きているところを見ると、案外図太い。

とうとうふたりとも不感と不能で現場は混沌だ。

混沌を引き摺ったまま、街を歩いた。
知らない街、知ってる人もいない街。

やっと知った顔が出てきたと思ったら、それは崇拝していた教祖だった。

相変わらずのペースも心地が良いけれど、崇拝していた教祖が私と同じ悩みを抱えていると知る。

教祖も不能で不感なのだろうか。

私は街を出た。

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