脳、マインド、魂が整列している人
アリス・ベイリーという人物がいます。20世紀に活躍した人物で、光のマスターと言われる知的存在と交流しながら、今後の地球に必要な知恵――いわば秘教的な知識（認められた人物のみに明かされる知識）を書籍として残してきました。今も、日本語の「イニシエーション」などの書籍（AABライブラリーが翻訳・発行）で、それらに触れることが可能です。
久しぶりに、自分が所有しているアリス・ベイリーのいくつかの書籍、「イニシエーション」「テレパシーとエーテル体」などを開いてみたのですが、今のような混乱した日本にとって、特に必要だと思われる内容が多々あり、驚きました。
そのすべてをここで明かすことはできませんが、アリス・ベイリーが成した仕事に敬意を払いつつ、書籍から引用しながら、考察してみたいと思います。今回は、知性について考えてみました。
■本当の知性とは
日本の産業界では1980年代から今に至るまで、行き過ぎた質問-正答能力偏重型教育システム、10代までの（子供にとってはほぼ選択の余地がない）限られた期間内での突貫的な訓練結果に偏重した人材選抜スタイル、それを受けた「ハンモックナンバー」偏重主義がはびこっています。
日本の各所に見られるこれらの文化特性が、コミュニティの質を下げ、人々の柔軟な発想を潰して健全な成長志向をくじけさせるなど、脳科学的には真実である「脳の可塑性」に反した“常識”を日本に蔓延させています。これらが、現在私たちが見ている「失われた30年を経た日本」の裏にあることは、ほぼ、間違いないでしょう。
転じてアリス・ベイリーが光のマスターからのインスピレーションを受けて残した書籍を読むと、脳、マインド、そして魂を意思により整列させることの重要性を語るフレーズが各所に書かれています。
これはどういうことでしょうか。アリス・ベイリーの書籍を読みながら考察しますと、これは下記の3点を指しているのであろうと思われます。
■1：脳＝肉体的に健全さを保っており、脳機能をきちんと働かせられる状態にあること
ここ30年ほどの脳科学研究によれば、脳には人体のほかの臓器・部位には見られない高い可塑性があることがわかっています。もちろん程度はありますが、脳が損傷したとしても、トレーニングを積むことでほかの健康な部位が損傷部位の機能を補うように活動し始めるそうです。また、年齢を重ねてもそれはある程度可能であるともされています。また、特に病気や障害がなければ、脳の基本機能においては、個々人での差はほとんど存在しないそうです。
ここから考えると、我々が目指すべきは脳の肉体としての健全さを保つこと。脳も心臓や胃腸などと同じ、身体器官のひとつです。食事・生活習慣などを見直して、常に健康であるよう配慮することが、知性あふれる人間になるための重要なタスクと言えるでしょう。
■2：マインド＝思考と感情を意思によって一定の方向に振り向けられるよう鍛錬されていること
マインドという言葉は形而上学的や秘教でしばしば扱われる言葉ですが、その文脈によって意味が多少異なってきます。アリス・ベイリーはおそらく、このフレーズにおいては「顕在意識・潜在意識を含めた人間の意識の総体」を指してマインドと表現していると思われます。
また、著作においてはしばしば「アストラル体」という概念が提示されます。こちらは人間の感情的な動きとそれに伴う思考により生成された生体エネルギーを指します。先の定義から考えますと、アストラル体もマインドの一部であると解釈して良いでしょう。
このアストラル体は日常生活の状況に応じてその形態が刻々と変化します.
これについてアリス・ベイリーは著作においてしばしば、「訓練を通じてアストラル体を安定させなければいけない」との趣旨を述べています。つまり、感情とそれに伴う思考でいちいちアストラル体を不安定にさせていては、マインドの適切な使い方ができない、というわけです。
その点においては、我々現代人は常に厳しい戦いを強いられていると言っていいでしょう。日常生活における雑事で感情を動かさない、思考を混沌とさせないトレーニングが必要です。
■3：魂＝その人が備えている「生命の本質」から物事を考える
アリス・ベイリーの著作では、しばしば「魂との接触」というフレーズが登場します。魂の接触というのは、私の体験と解釈を交えて言うならば、奥深い自分の意識に触れること、と表現できそうです。
奥深い自分の意識は、通常の日常生活における思考とはかなり違う性質を持っています。瞑想、あるいは世界への真摯な祈りなどの霊的修行を通じてのみ、そのレベルの意識を感知しうると言っていいでしょう。
魂レベルの意識は、「生命の本質」と言ってもいい「何か」であることは間違いなさそうです。アリス・ベイリーは、自らの意識を霊的な修行に駆り立て、魂への積極的な接触を進めることによって、その人物には磁力的なオーラが生成されるとしています。その磁力的なオーラは、いわゆる霊的に高度な光を集め、より調和的な概念やアイデアの創出を可能にするとしています。
極端な話、アリス・ベイリーが述べている本当に霊的な知性というのは、自分の既存の脳だけでそこに到達するのは難しく、高度な光によってもたらされるというわけです。これは現代の教育の考え方とは全く性質が異なると言っていいでしょう。
人は本質的に光を怖がるところもありますが、それでも、自分よりも超越的な何かに自分を明け渡すというその形態こそが、これからの時代に求められる知性の在り方なのではないでしょうか。
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