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事故物件に住みながら、死体回収の仕事をしていた頃の話


※後半グロ注意


1.エピローグ

目を覚ますと、僕は見覚えのない白い部屋に寝ていました。



周りを見渡すと、枕元に白い服を着た知らないおじさんが立っている。



そのおじさんは、おもむろ僕へこう告げた。

…あなたは死ぬ



ちなみに、
このおじさんは、言葉を理解する高レベルの幽霊の類ではなく、医学部を卒業したれっきとした医者。



だとしても、「死ぬ」と聞こえた気がするが…



「死ぬ」って、どういうことですか?

目が覚めたばかりでよく聞こえなかったので、もう一度聞いてみた。



医者

至急、睾丸を摘出しなければ、あなたは死ぬ

(ちょ…どゆこと!??)



一応、確認なんですが…
「金玉を取らないと死ぬ」ってことで…合ってます??

医者

はい。
ちなみに、一刻も早く手術しないと死にます



「噓つけwww」と思い、自分の下半身を覗いてみました。








僕の金玉は、大ぶりなアボカドくらいの大きさになっていました。



医学の知識が一切ない僕ですら、拳と同じかそれ以上の大きさになった金玉を見て「こりゃ、死ぬわ…」と、瞬時に理解できてしまいました。



なぜこんなことになってしまったのか、簡単にお話します。



~ ここまでの経緯 ~



当時大学生の僕は、とある事情により栄養失調でブッ倒れ、救急車で病院に運び込まれていました。


また、栄養失調で倒れるまでの間、頻繁に大学寮の風呂場で寝るというキチガイ行動をしていました。当たり前なのですが、風呂場には沢山の細菌が存在しています。


そんな所で寝ているので、僕は寝ている間に、風呂場に存在する大量の菌を大量に吸い込んでいたとのことでした。


通常であれば、多少の細菌が体内に入ったとしても、元々体に備わっている抵抗力で問題ないそうです。


しかし、僕はその時、栄養失調で体がボロボロ。


警備機能を放棄した体は、細菌というテロリスト集団を体内にそのまま全員招き入れ、テロリスト達は睾丸に到達し暴れ回った結果、金玉がアボカドになってしまったということです。


こんな経緯で、金玉・アボカド・死ぬマンが誕生しました。



医者から死の宣告を受けたところに、話を戻します。



僕は自分の股に付いてる2つのアボカドを見て、一気に冷静になりました。
そして、「大学に入学して速攻で死ぬ」というのは流石に嫌だったので、泣く泣くアボカドを摘出することを決意しました。


中高6年間を男子校で過ごし、1年間の浪人の末、やっと大学に入学したと思ったら、こんなことになるなんて、夢にも思いませんでした。



~ 手術後 ~




医者

この飽食の時代に、
GDP世界3位の先進国日本で栄養失調の人なんて、初めて見ましたwww

そうですよね~(ブチ殺すぞ!!!)


こうして、金玉を失った所から、この数奇な物語はスタートします。








2.血の代償

ここまで読んでくれた読者の皆さんが、思っているであろう疑問

金玉がなくなると、どうなるのか?

この点について、軽く触れたいと思います。



金玉がなくなると身体に起こる症状

味覚がなくなる


味覚がなくなったことのない皆さんは分からないと思いますが、普段食べているものの味が完全になくなった場合、マズ過ぎて食べられなくなります。


その代表的な1つが「パン」。


味のないパンは、食器洗い用のスポンジを食べているような感覚で、飲み込むことができません。思わず吐いてしまうレベル。


一緒にいた友達は

お前は喰種(グール)かwww

といって笑っていましたが、全く味のしないパンはそれほどのマズさです。


金木君の気持ちにリアルに共感できるのは、僕くらいだと思います。
※詳しくは『東京喰種』1・2巻あたりを読んでください。


味覚を失って以来、皆さんのような「普通の人間」が食べる物を摂取できなくなった僕は、『コンプ』という完全食を食べるようになりました。


金玉ない人あるある

・味覚が完全になくなる
・性欲が完全になくなる
・味覚と性欲がなくなったことを、周りに信じてもらえない
・体毛が薄くなる
・一方、髪の毛は伸びるスピードが速くなる
・筋肉が付きにくくなる
・男性ホルモンの注射を打ちにいき、女体化することを妨げようとする
・ホルモン注射で病院にいくと、待合室にオカマっぽい奴らしかいない
・僕のように、精神は男・肉体も男なのに、男性ホルモンの注射を打ちにくる人間はいないので、医者から「君、どういう状態!?」とビックリされる




3.死体回収

運の悪いことに、金玉がアボカド化し、摘出するに至ったこの事件は、大学のテスト期間と丁度重なっていました。テスト期間をフルで入院していたことにより、テストを受けられず、いきなり留年することになってしまいました。


大学一年生の前期(春学期)という理論上最速で留年が決定してしまったせいで、親からの援助が完全に断たれてしまうことになりました。
そのせいで、当時の僕は、お金が極限までありませんでした。


そのため、栄養失調が原因で金玉を失ったのに、退院した直後に、再び栄養失調になりそうになっていました。


もう一度栄養失調になった場合、次は何を失うことになるのか分からないので、沢山バイトをして稼がなくては!と考えました。



早速、「高額バイト」のキーワードで調べてみると、「闇バイト」みたいなものが出てきます。
「法的にOUTじゃね?」的なものを除くと、比較的に時給の高そうな『死体回収』にチャレンジしてみようと思いました。



①金玉、②単位、③お金という大切なものを3つ失った僕は、失ったものを取り返すべく、行動力に満ち溢れており、電話をしてすぐに面接を受けに行きました。



死体回収のバイトの面接では、

バンバン死体を回収して、
この会社の売上に貢献したいです!!

とやる気をアピールし、すぐに働けることになりました。



僕のバイト先では、死体が発生すると、正社員およびバイトのメンバーに案内がきて、やりたい場合は連絡をする。そして、その死体回収案件の規定人数に達したら、締め切るという形式でした。


賃金については、時給制ではなく、案件ごとの死体の処理件数に応じて支払われました。


相場は基本的に

人間:2.0万円
動物:1.0万円

※動物はたぬき、カラス、猫などが多い


なお、1案件につき、最低でも3体の死体があります。
(その内、最低1体は人間が含まれます)


3体の場合のパターンとしては、以下の通り。

パターン①:人間、人間、人間
パターン②:人間、人間、動物
パターン③:人間、動物、動物



また、よくある人間の死に方としては、以下の通り。

①交通事故    → スピード・車の大きさによって状態は様々
②電車へ飛び込み → 総じて粉々
③飛び降り    → 落下した高さによって、状態が変わる
④首吊り     → 穴という穴から、体液が滴り落ちている
⑤老衰      → これが1番多い、季節の変わり目によく発生する

※他殺はほとんどありませんでした。


そして、死んでいるのは人間だけではありません。その人間が飼っているペットもセットで死んでいます。僕はこれをアンハッピーセットと呼んでいます。


その死にざまはかなり悲惨で、犬・猫であれば、扉を血が出るまで引っかいて、餓死しています。比較的に早く発見された現場で、ペットの死体の原形が残っている状態だと、彼らが餓死するまでの壮絶なあがきを感じ取れるような死に方をしています。



◆仕事の概要

死体の内訳は、人と動物の2パターンがあり、動物の場合は「フンッ」と袋に詰めるだけなので一瞬で終わります。そのため、動物が1カウントに入っているとめちゃくちゃ楽になります。


また、「死体回収」という呼び名が浸透しているせいで、「回収」するだけで終わりかと思われガチですが、そうではありません。


回収するために、時には、切断したりも必要になります。
短斧(ショートアックス)や糸ノコギリを使って、死体の手足を切断して袋に詰めることも行います。回収用の袋があまり大きくないので、それに入る大きさに切り分けます。


バトルロワイアルに巻き込まれた場合、スタート時点から人間を切り刻むことに抵抗のない僕は、前半は無双できる気がします。



◆死体回収の実務

死体が人間の場合は、死に方によって、作業時間が大きく変わってきます。
時給制ではないので、なるべく楽に処理できる死に方の現場が好まれます。


楽な現場とは

・時間軸でいうと、死んでからの時間の経過具合
・死に方でいうと、どれだけ原型を留めているか

によって決まります。



中でも最悪なのが、風呂で死んでいるパターン。


風呂での死に方

①浴室で転んで、頭を打って死亡
②湯船から出た際にフラフラして、頭を打って死亡
③湯船で寝てしまい、顔が湯船に沈み、そのまま窒息して死亡
④浴槽内で自殺


そんな最悪の死に方である「風呂場」でも最悪なのが、浴槽の「中」で死んでいる③④パターン。


なぜかというと、死体が発見されるまでの期間は1・2日ではないからです。1ヶ月~3ヶ月間、40度くらいの湯船の中で人間が浸かっているとどうなると思いますか?







A. 人間シチューになります。



ドロドロに溶けてしまっているので、処理が大変なのと、臭いが異次元。
また、水は真っ黒に濁っています。その暗黒水に手を突っ込み、原型を留めている部分を拾い上げます。


基本的に、人間の死体というものはすさまじくて、臭すぎてビビります。
小さい動物の死体ですらかなりの異臭を放っているので、それの数倍~数十倍の大きさである人間の死体であれば、当然なのですが…


その悪臭が原因で、死体が発見されるレベル。
そして、死体の体液が床を貫通し、下の階に垂れてきたりする事例もあるくらいです。バッチリ人間の形に床にシミが残っていたりもします。


また、死体には大抵死ぬほど虫が湧いており、部屋に入ると『テラフォーマーズ』終盤のバトル並みにエライことになっています(特に夏場)



◆本当に恐ろしいのは…

電車に飛び込んだ死体処理の現場での時のこと。

いつものように作業をしていると、駅のホームにいた人間が
「うわ、本当に死んでる!パシャパシャ」とスマホで写真を撮っていました。


それを見て、僕は怖くなりました。


僕らのように死体回収をしていて、死体に慣れている訳でもないのに、死体を見て笑っている人間が。


本当に恐ろしいのは、死体ではなく「生きている人間」なのだと…



死体回収あるある

・初現場は、グロ過ぎ・臭過ぎで、ゲロ吐きまくって何もできない
・初現場での死臭が取れず、しばらくメシが食べれなくなる
・そのせいで激瘦せする
・ほとんどが最初の現場を経験し、耐え切れずに辞める




4.事故物件

しばらくして、死体回収のバイトにも慣れてきて、死体を見ても『名探偵コナン』の登場人物程度のリアクションになってきた頃


バイトで収入を増やすだけではなく、支出を減らすことも必要だということにも気が回るようになりました。


一般的には、支出の割合が高いのは食費と家賃。


しかし、味覚が喰種と化した僕は、完全食の粉しか食べません。
そんな僕の食費は雀の涙程度。
なので、最大の支出である家賃を削りにいくことにしました。


しかし、ネットでいくら探しても、今住んでいる部屋よりも1・2万程度しか安くない物件しかありませんでした。


とある日、直接不動産屋に行って聞いてみようと思い、足を運びました。


いわくつきでも構わないので、死ぬほど安い物件ありませんか?

不動産屋

本当ですね?

とセリフを残し、ある物件の資料を出してきました。



意図的に狙っていたのと、予想はしていましたが、案の定事故物件でした。


紹介された物件のスペックはこちら

・過去、家族2セットが全員死亡(計8人)
・前の前の家族の死亡に関する情報はなし ※あえて、調べませんでした
・前の家族は4人家族で、両親が子供一人を絞殺、もう一人をベランダから突き落として殺害。両親はその後首つり自殺。


連続殺人鬼もビックリな、圧倒的な実績を誇る殺人ハウス。



本来、1つ前の入居者の情報しか開示しなくて良いみたいなことを言っていましたが、その物件はヤバすぎるため、2つ前の入居者も死んでいることを教えてくれました。


しかし、日常的に死体と触れ合っており、その時点で合計15人以上を「回収」していた僕にとっては「へぇ~、8人か」程度のリアクションでした。


今の部屋よりも圧倒的に広くて、家賃も半分くらいだったので、即決でその物件がいいことを告げました。不動産屋も「マジキチやんけ…」とビックリした顔をしていました。


というのも、事故物件というのは、老衰でおじいさん・おばあさんが一人死んでしまったパターンなどが多く、この物件のように呪われているのでは?と勘繰るレベルの連続殺人ハウスはあまりないからだそうです。


そして、1つ前の入居者までしか開示しなくていいので、僕が入居することで、その次からは普通の物件として取り扱うことが可能になります。


また、過去に2つの家族が全員死んでいることもあり、近所では有名な部屋だったらしく、引っ越し後の挨拶をしていた時には「こいつ…正気か?」「近々こいつも死ぬから注意しなきゃ!」という奇異の目で見られました。


こうして僕は、
事故物件に住みながら、死体回収のバイトをすることになりました。



事故物件あるある

・とんでもない不運な出来事が立て続けに起こる
・夜中はポルターガイスト祭り
・帰宅したら、窓ガラスが割れている
・インチキ霊能者みたいな胡散臭い霊媒師が、除霊の営業に来る
・隣人が生死の確認のために、頻繁に差し入れをしにくる




5.特級呪霊




金玉喪失 × 死体回収 × 事故物件


という、オリンピック金メダル級の希少なアイデンティティーを手に入れた僕ですが、これらのことを友達には内緒にしたまま生活していました。


ある日、僕の家が事故物件であることを伝えずに「めっちゃ広いから!」と友達を家に呼んだ時に、(後から分かったんですが、霊感が強かった)一人がその場で突然気絶して、ぶっ倒れてしまいました。



そいつに話を聞くと、

部屋に入る前から明らかにヤバイ雰囲気は感じていたけど、
入った瞬間に体が動かなくなっていた
あんなところに平然と住んでいるお前の方が、俺は恐ろしくてたまらない

と言っていました。


そして


確実にとんでもない霊がいるので、除霊してもらった方がいい

とアドバイスをくれました。



しかし、



死体回収のバイトをしている僕からすると、

いや、この家で合計8人も死んでる訳なんだし、
霊的なものがいない方がおかしいだろwww

と思っていました。


とはいえ、
仲の良い友達が倒れてしまったし、ドン引きされてしまったので、除霊をすることにしようと思いました。







でも、お金が勿体ないので除霊するのは、やっぱりやめました。



死体回収してるので、毎回除霊してたらキリがないですし…


んで、そのまま特に除霊とかはすることなく、放置して今に至ります。
途中で死体回収のバイトは辞めてしまいましたが、大学の残りの3年間くらいはこの物件に住んでいました。




6.まとめ

今回のお話、いかがだったでしょうか?





金玉喪失 × 死体回収 × 事故物件住み × 特級呪霊憑き


という少年漫画の主人公みたいなスペックを誇っていた、僕の大学生時代のお話でした。


フォロワー激減するだろうな~と思いながら、書きましたw


ボーナスで60インチのTVを買ったら、地震がきてそれが倒れて、少し前に買い替えたPCに直撃して両方ブッ壊れたりと、とんでもない不幸は継続して発生しているので、特級呪霊は今も僕に憑りついているのではないかと思います。



異常

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