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こっちの方が豪華?7〜9月の10選から惜しくも漏れたアルバムたち

どうも。


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どうも。

いつもは10月に入ってやるんですけど、今回は9月最後の配信が早かったので、月末ですけど、3ヶ月に1度のアルバム10選、やりたいと思います。

ただ、今回もいいアルバム多かったですね。そういうこともあり、前回4〜6月に続いて、「10選に入り損ねた10枚」から紹介していくことにしましょう。

こんな感じになりました!

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はい。

見た感じ、なかなか豪華でしょ?もしかしたら、僕が10選に選んだものよりこっちの方がカッコよく見えるかもしれません。

アルバムの名前を左上から書いていきますと

Any Shape You Take/Indigo De Souza
Happier Than Ever/Billie Eilish
King's Disease II/NAS
Editorial/Officia 髭男dism
Montero/Lil Nas X
A Beginner's Mind/Sufjan Stevens & Angelo De Augustine
Star-Crossed/Kacey Musgraves
Thirstier/Torres
If I Can't Have Love, I Want Love/Halsey
Fever Dreams/Villagers

まずはこれですね。

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まずはビリー・アイリッシュ。これ、評判も良かったし悪くはないと僕も思います。ただ、彼女くらい若いアーティストが「安定」狙いに行った感じは正直ちょっと寂しいんですよね。ビリーは、普通のインディのアーティストができないメインストリームでの成功を手にできる曲が書けるわけで、その才能、恵まれてるんだから活かす方向で行ってほしいんですよね。今回みたいな作品を作るのは、あと3枚くらい後でも良かったかな。こういう作品が続いてしまうと、4枚目か5枚目くらいで、他のインディの人気アーティストと変わらない「初登場だけ高く、あとは猛スピードで下降していくアーティスト」になりかねないですからね。そうなってほしくないんですよね。

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逆にケイシー・マスグレイヴスの方は、「攻め」は感じさせるんですけど、グラミーのアルバム・オブ・ジ・イヤー受賞の「Golden Hour」で感じられたフォーク、カントリーとの絶妙な折衷感覚が薄れて、単なる「趣味のいいインディ・ポップ」になってしまっているのが惜しかったかなと。テイストを下げずにポップにクロスオーバーしていく感覚は「1989」「Reputation」の頃のテイラー・スウィフトよりうまいんですけど、カントリー出自のバックグラウンドの特異さはもう少し生かしていいかなと思いました。

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それでいくと、最大の冒険はホールジーですね。これ、なんてったって、ナイン・インチ・ネールズのトレント・レズナーとアッティカス・ロスとのコラボですからね。これまでもロックに興味ある発言し続けてきたんですけど、どうも初期にEDMでのフィーチャーに駆り出されすぎだり、パーティ・ガール的なイメージが消えないせいで軽く見られがちだった彼女がいきなりハードル高くした感じですね。面白い試みだし、彼女の今後につながりはsyるのでそこは評価したいんですけど、まだこういう曲を歌うのには声に迫力と貫禄がないですね。今後本格的に行きたいなら、この「声の軽さ」をどう対処するかだと思います。

 あと、今回はほかにも、もうここ数作評価が安定しているトーレスや、黒人の女性インディロッカーのインディゴ・デ・ソウザも評判のアルバムを出しました。前者は90sのオルタナ・ギターロック、後者は90sのオルタナ・ギターロックに黒人ゆえの別の視点から音色効果に独特のクセのあるアレンジがされてて面白いですね。メロディもすごく強くていい。ただ、彼女たちの問題は、どのメディアがフックアップしてくれるのか。そこのつながりが見えてくれば、もっと評価できるんですけどね。

続いて

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相変わらずすごいジャケ(笑)のリル・ナズX。これ、エンタメ性の観点でいえば今アメリカで売れてるほかのヒップホップの何百倍も面白いです。「ラッパーでゲイ」の特性を最大限に利用した特異な話題作りと、うちの小学生の子供でも繰り返して歌いたくなるフックの強烈さは非凡なものがあると思います。ただ、惜しむらくは「ポップ・ラップ」の域を出ず、サウンド的な新規っぽさがちょっと物足りないんですよね。キッド・ラロイやマシンガン・ケリーのソングライターでもあるオマーフェンディのギターフレーズは武器になってるとは思いますが、もっと目立たせてもいいくらいかな。ただ、「時の人」なのは認めるところなので、年間ベストの際には50位内のどこかには入れると思います。

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NASのこれも良かったですね。90sの天才ラッパーも00sに入って倦怠期か伸び悩んで表舞台では名前聞かない人になってたんですけど、前作の「King's DIsease」で感触がつかめたのか、今作はビヨンセ、ジェイZのファミリー御用達のHit-Boyが全面プロデュース。ニュー・ソウル的なオーガニックなサウンドはやはり相性いいのか、NAS本人がすごくやりやすそうにラップしてるのが心地よいですね。前作もグラミー取りましたけど、波に乗って復活できそうな感じになってますね。

 あとは、スフィアン・スティーヴンスのアンジェロ・デ・オーグスティーンとの共作は「安定の出来」といった感じですね。取り立てて彼の作品の中で傑出こそはしてないものの、透明感あふれるフォーク・メロディに徹した時の彼はやはりはずさないというか。それからアイルランドのフォーク・ロックのヴィレッジャーズも健闘しましたね。バロックポップ・アレンジっぽい曲の美しさは近年聞いたものの中でもかなりの完成度だと思いましたからね。

そしてそして

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ヒゲダンですよ。特集記事書いたから10選入ると思われた方もいらっしゃったかもしれませんね。実際僕もこのアルバム、一時期繰り返して聞いてたし、あいかわらず印象はいいです。とりわけ藤原聡の声のダイナミックな音域の広さは何度聞いても圧巻です。

 ただ、「日本の作品としてはトップレベル」なのは認めても、洋楽の優秀な作品と比べた際に、やっぱまだJポップ色が強い楽曲テイストなのは少し気にはなるかな。同じ邦楽でも、そこの楽曲センスで聞き劣りしないものがあればそちらを優先したくなるんですけど、今回はある1組の日本のアーティストとの争いには勝てなかった感じですね。

 ただ、本当にパフォーマンスの地力は非常に強い感じなので、まだまだ期待はできますけどね。年間アルバムの50位入りの可能性はまだあると思います。

 あと、この圏外の10組に入り損ねた大物リリースでいうと、ビッグ・レッド・マシーン、そしてLordeは正直期待はずれだったかな。テイラー・スウィフトの「Folklore「Evermore」のプロデュース・チームの作った前者は音色のテクニカルな完成度の高さは認めるんですけど、「新種の最新型アダルト・コンテンポラリー」なエッジの鈍さがちょっと気になったというか。Lordeはフォークを意識したとは思うんですけど、なんかフォークの持つ熟成した枯れ具合とか根源的なグルーヴとか、そうした深い部分を学ばないままアコースティック・ギターだけを手にしてしまった感じが残念だったというか。まあ、彼女みたいに早くから「天才」と謳われたアーティストでも、こういう失敗があるのが音楽界の面白いところではあるんですけどね。

 では、明日はいよいよ7〜9月のアルバム10選です!



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